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2話 再開

 とりあえず部屋に戻ってきたはいいがやることがない。あえて言おう! 暇であると……。

「とりあえず飲みもんでも買ってくるか」

 誰がいるわけでもないのにそうつぶやきながら部屋を出る。

 

 

 自販機まで行くと女の子がいた。

 無言でジュースを買いすぐに部屋に戻ろうとすると声をかけられた。

「もしかして空君?」

 やばい、この人誰だっけ……。いやクラスが同じなのは分かってるでも名前が出てこない。

「覚えてない? 小学校のころ友達だった星野美久だけど」

 あ、思い出した。こういうのってパズルみたいにピースさえ揃えば簡単に思い出せるんだよな。ピースさえ揃えば。

「思い出した、美久か久しぶりだな」

「ほんと久しぶり元気だった?」

「げ、元気だったよ。美久は?」

 言えない。こんな笑顔で聞かれたら中学でイジメにあってましたーてへぺろなんて言えない。いやてへぺろなんて普段も言えないけど。

「私? 私は結構大変だったかも」

 少し恥ずかしそうに言った。

「何かあったのか?」

 ……聞いてよかったのかな。こういう話って親しい人間にするもんだし三年ぶりにあった奴に聞かれたらどう思うか。

 そんなことを考えていたが意味はなかったようだ。美久はすぐに話しだした。

「えとね、自分で言うのは恥ずかしいんだけど男子に告られてたの。でも本気で告白してくれたのは最初の数人。後はゲームみたいにただ面白がって告白してくる人ばかりだった。当然そんな私を女子は嫌ってたわ。だから空君と別れたあとは友達なんて出来なかった。だから会えてとっても嬉しい……」

「……大変だったな。俺も美久以外に友達は出来なかったよ」

「えっ?」

「じゃあまた明日なおやすみ」

「うん、また明日……」

 不思議そうな顔をされてしまった。まあ、しょうがない全部話さなかったのは俺だ。少し罪悪感はあるが、まあ寝れば消えるだろう。



「お、谷道君どこいってたのー」

「自販機」

「そか、それより恋バナしようぜ恋バナ」

「お、おう」

 お前から聞いてきたんだろーがっ。こいつやっぱイラつくわー。

 とりあえず空いている布団に入り顔だけ向ける。

「じゃあ、俺、谷道君、木曽君、三川君の順番で気になってる人言ってこうぜい。とりあえず私岡村は星野さんが気になっています。じゃあ、次」

「特にいないな」

「星野さん」

「……星野さんかな」

「皆星野さんかよーやべー」

 やべー岡村が何に対してやべーといったのか分からん。

「てか谷道君は星野さん気になんないの?」

「え、俺?」

 確かに綺麗になってはいたし、いい奴ではある。でもそれで恋愛感情が芽生えるという事はない。何しろ幼馴染だしそういうのはちょと考えにくい。

「まあ、いいや。にしても星野さんいいよなー」

 ……今はこいつの興味の変わる速さに感謝しよう。」

 にしてもなんか目の前で美久の話をされると変な気持になるな……。

「てかみ……星野さんのどこがそんなにいいんだ?」

 そう聞いた瞬間他の三人の顔がこちらにグリンと回った。

「バッカお前あんな可愛い子そうそういないだろ。実際クラスの中でもだんとつに可愛いし」

「そうだぜーめっちゃ可愛いじゃん」

「……うん」

「お、おうそうだな」

 怖い。怖いよお前らもう告って玉砕してこいよぉ。

「更にだな――」

 やばいこいつらに火が付いた。これがバーニングラブか……。

 ここからはもう話し合いというよりどれだけ魅力を語れるかの戦いだった。夜戦は無理です! もう寝たい!



 ――目を開けるると朝日が差し込んできた。

 起き上がるとそこには地獄が広がっていた。手を伸ばし唸っている者。目を抑え苦しんでいる者。「もう無理」と何かにうなされている者。……どんだけ朝弱いんだよこいつら。

「おらぁ、朝だぞお前らー!」

 なんで女なのに相川先生はここにいるんですかねぇ。

 しかも全員起き上がって準備してるし。こいつら怖がりすぎーマジうけるんですけどー。

「谷道も早くしろ!」

「はいぃぃ」

 やばい、怖い。咄嗟に立ち上がって準備しちゃったよ。

「皆準備が終わったら大広間に集合な」

 これには全員で首肯するしかなかった……。

「じゃあ急げよ!」

 それだけ言い残して嵐は過ぎ去ったのだった。

「っべーマジ怖かった。あれはマジやばいはー」

 なんなのん、このマジの多さ。まあ結婚話の時はマジでやばかったけどー。

「まあ、仕度して早くいこうぜ」

「え、まだ大丈夫だべ」

 ……こいつらまたかよ。五分前行動って知ってるか?

「じゃ、じゃあ俺は先に行くな」

「おう、また後でなー」



「遅いぞー早く並べー」

「「「すんません」」」

 ほら見ろ! 先生に注意されてるじゃんか!

「おー谷道君ここに並べばいいの?」

「そうだよ」

 何だか今勝利した感覚に陥った。

 そんなことを考えているうちに校長先生の話が始まった。

「えー今日が最終日ですが天候に恵まれており大変――――――ですから今日も一日気を抜かず――――――以上で終わります。」

「起立。礼。

 約二十分の話を終え校長の話相川先生の号令と共にが終わる。ところで一言いいか? 長い長すぎる。余りにも長すぎて自分の世界に入っちゃったよ!

 まあ、それはそれとして相川先生から号令がかかる。

「それでは各自部屋に戻ってください」

 その号令と共に生徒たちはバラバラと歩き出す。やっと帰れる。



 






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