女装ってのは華奢な人がやるからこそいいって思うんだ。
「はやく起きてくださいよー」
「・・・チッ」
「え、怖い!」
どうせ起こされるならライラさんみたいな美人さんがいいですー、とぶすくれながら起き上がる。
おっと思いのほか美人さんが目の前にいらっしゃる。
これはもう握手求めるしかないよね!!
「初めまして!幸奈と申します、美人さんのお名前は?」
「えっ?やだー!もう美人さんだなんてー、アイリーンっていうのぉ。よろしくねー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、はい。」
なんか相手のテンション高いと萎えるよね。
いやそれよりもさ、わざと押し上げたような気持ちの悪い高音なお声はなんでしょうかね。あ、あれですか、オカマですか。
私としたことが、顔しか見えていなかった。
ぶりぶりの可愛らしすぎる服に包まれているのは紛れもない男性の体躯だ。あれ、全然華奢じゃないむしろゴツイ。
一気に冷めたわー。ついでに覚めた眠気も再びこんにちはだわー。
「おやすみなさい。」
「え!」
あれ、ていうかなんで私魔王の執務室のソファで寝てんの。
あ、そうだそうだ。いつも通り魔王の頭にかかと落としをキメたまではよかった・・・こっちでは昼だけど、あっちではまだ早朝五時だったんだよねー。
そりゃ眠いよねっつーことでソファで寝たんだった。
とそこから、冒頭。
窓を見るともうオレンジ色に染まっていた。
寝起きにこんな寝覚めの悪くなりそうなもんよこしてんじゃねーよと悪づきたくなった。
嫌がらせ?ねぇ、これ嫌がらせ?
「クソッ!もう帰る!!」
「え、なんで!?」
と言って帰れないのが悲しいところである。