捕まえる気はないんだってさ、
「ていうか、あの盗賊?って何か盗っていったりするの?」
「ううん、何も盗っていってないよ。だから別に捕まえなくてもいいかなって。」
なんで盗賊名乗ってんの?・・・・・・いや、そういえば名乗ってはいなかったな。
よくよく聞いてみたら盗む前に見つかっているらしい。何そのマヌケ。
なんでも天使だからわかりやすいんだそうだ。
天使だから。
天使だから。
「え、金髪碧眼じゃないじゃん!」
「え、その定義よくわかんないんだけど、それ君のいたとこの一般的なイメージなの?」
机を思いっきり叩きながら立ち上がったのがいけないのか、思いっきり引かれた。
やめてくれ、傷つく。
ていうかつっこむとこそこなんだね、なんて呆れた視線よこさないでください。
苛々します。精神的に良くない、ゼッタイ。翔くんと同じ悩み(頭髪的な意味で)は持ちたくないよ!
「君って変わってるよね。てか変だよね、体質含め。」
「えーそんなことないですよー。私から普通とったら何が残るんだよ。」
「敬語しゃべるかタメ語しゃべるか統一したら?君って時々キャラ定まってないよね。」
「魔王は安定のヘタレだけどね。」
ハッと笑ったらデコピンされた。止めてくれ、仲の良いカップルみたいだろ。
でもこれ地味に痛い。ジンジンするわ。そんな額を抑えながら魔王を直視した。
ホント顔だけは美形。
ギリィッ・・・!
「なにハンカチ噛んでんの、やめなよそれして歯が折れた奴知ってんだから。」
「なにそのマヌケ。」
「ついでに言うと似合わないよ。」
「魔王は似合いそうですね。」
「喧嘩売ってる?」
まぁ買わないけどね、なんて言われた。
なんだその余裕、とてもウザイ。
だがしかし美形。どんな表情でもやはり美形。眼福だね!
「あ!でも私は宰相さん一筋ですから!」
「・・・・何の話ですか?」
考えていること筒抜けだと思って言ったのにドン引いた目で見られた。
まさかそんな目で見られるなんて・・・そうか、別に常にサトリってわけじゃないのか。
まぁいいや。
「ていうかデコピンされたとこ今だに痛いんですけどー」
「は?、イッテェ!!」
仕返しに頭突きしたら、さすがに宰相に怒られました。
魔王は額を抑えてごろんごろんしてます。相当笑える。
「もう少し女性として慎みを持ったらどうです?」
「ていうかなんで君そんなダメージ受けてないの?頭、石なの?金剛石なの?」
「頭が金剛石ってちょっとカッコよくないですか?」
「聞いてます?」
「宰相さんの美声を聞き逃すわけないじゃないですか!もっと言ってくれて構いませんよ!!」
あ、でも冷たい視線はのーせんきゅーです。
※翔くんの悩みが将来の頭髪っていうのは主人公の偏見と勝手な妄想です。(`・ω・´)