怪談なんて人生には必要ないものです。
いつもどおり突然こんにちは、幸奈です。
いつものように一瞬で景色が切り替わったお思ったら、真っ暗な渡り廊下。
ただっぴろいくせに人はいない。
窓からは青い月明かりが差し込みとても幻想的、素敵!
・・・・と言いたいところだが、そうはいかない。
先ほどまで毎年恒例百物語をしていたからだ。
自慢ではないが、私は怪談が苦手だ。
怪談話の途中誰かしらを怖がらせて遊んだりするけれど、それは周りがパニック状態だからだ。
ほら、周りの人が冷静じゃなかったら自分が冷静になるじゃん。それだよ。
いつもなら平気だけれど、怪談を聞いたあとな分だけ怖い。
とりあえず、さっさと人のいるところに行きたい。
「・・・・・!」
なんかぼんやり白い何かが視界の隅に入った。
え、ちょ・・・やだやだやだ気のせいだって!
なんか女の人の形していたとか気のせいだから!!
早歩きになってしまうのも仕方がない。
なんかついてきている気がするけど、それこそ気のせいだから!!
『ねぇ・・・』
「っ!!」
なんか話しかけてきたんですけどおおおぉぉ!!!
早歩きなんて生ぬるいこと言わずにダッシュした。
そして見つけた純白の翼をひろげている盗賊。
まさに飛び立とうとしているところだった。
ちょっ待って!今私を置いていくんだったらその羽根毟り取るからな!!
「て、天使ー!!むぐぅ!」
「ちょっお嬢ちゃん近所迷惑だからっ。」
逃さないとばかりに腰に抱きついた。
叫んだか口をふさがれた。というか忍び込んでいるお前が近所迷惑とか言っちゃうのか。
「え、オイ・・・お嬢ちゃん、大丈夫?」
涙目で震えている私に何かを察したであろう天使が心配そうに覗きこんできた。
もう幽霊は見たくないから指でその方向を指す。
と、天使は眉をひそめた。
「消えろ。」
と、それだけで幽霊は掻き消えた。
「質の悪いゴーストに目つけられちまったみてぇだなぁ。
あー・・・もう大丈夫だから、離れてくんねぇ?」
ぽんぽんと頭を撫でられた。
優しくすんな惚れちまうだろ!
「あれ?きてたんだ。」
とりあえず、遅れて出てきた魔王には飛び蹴りしました。