アポ無しって果てしなく迷惑だよね。
「どこかしこでも突然現れるのやめてくれます?」
「君だけには言われたくない。」
まぁたいてい2~30分で消えるんだけど。
というか美形で見飽きることはないといっても、どうせ目の前に現れてくれるなら美人な宰相さまがいい。断然。
と、自室にいつもどおり突如現れたソウマを視界に入れつつ考えた。
「禄なこと考えてないよね、絶対。」
「この前なんかー魔王を彼氏と勘違いした友達に問い詰められて大変だったんですけどー。まじふざけんな。」
「だからさ、敬語話すかタメ語なのか統一したら?って・・・彼氏ってなに。」
「彼氏は彼氏です。恋人です。」
「・・・オレ、君の恋人になった覚えないし。まず恋人できたことないよ。」
「え!」
「え、何その反応。」
こんな美形でそれなりに優しいどころか仏すら超越しそうな懐の深いやつが、恋人ができたことがない・・・だと・・・!?
良いところあげたらわりと優良物件という今更な事実。
神は二物を与えないというけど与えすぎてたら恋人与え忘れたのか。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「いやそんなことないよ!」
「普段からじゃ考えられないくらいの即答と早口だったんだけど、逆に怪しいよ。」
「いやーだって顔はいいし性格も良いししかも王様だし?恋人とか奥さんとかいない方がおかしいでしょ。」
「・・・・・・・・・・・そう。」
なんで一瞬固まったんだ。
え、照れた?今もしかしなくても照れた?
「ちなみに言っとくけど、魔族ってのは人間と比べたらはるかに長寿なんだよ。」
「うん?」
「あと魔族って今絶賛衰退中。」
「え、」
「城にはライラとオレと、あと部下二人。」
「・・・・うん。」
「あと他に魔族っていうのは、六十くらいで・・・・まぁそれは今関係ないんだけどさ。」
「・・・。」
「訪問者なんて勇者か暗殺者か盗賊くらいしかいない城で、出会いとか・・・・ないよね?」
「ソウデスネ。」
なんかえらく軽い調子で言ってますけど。
え、魔族ってそんな深刻な事態に陥ってたの?勇者呼ぶ必要なくね?
あと訪問者意外と多いんですね!
ていうか出会いがないとか初恋すらまだですか!マジですか!
「あのちなみに宰相さんは恋人とかじゃないんですか?」
「言っとくけどうちの国は一夫一妻制だからね。」
「え!結婚してんの!?」
「2児の母だけど。」
「え、え・・・・うわあぁああ!マジかぁぁあああ!!」
「え、なんでそんなショック受けてんの?」
気持ちわるいよ?とか言ってるのは無視。
え、ウソ。マジか。あんな美人で気がきいて・・・てかそれ以前に子供産んだあとの人に見えない!
衰退中とか言ってたじゃん!子宝恵まれてんじゃん!
なんか好きなアイドルに恋人できました的な心境なんだけど!
「まぁいいけど。」
「なにその切り替え、早いな。」
「察するにみんな長寿だからもうとっくの昔にみんな結婚とか済ましてて、子供が生まれる時期もバラバラ、出会いもないし相手もいないわけなんだね。ははっ。」
「最後のは確実に馬鹿にしてるよね。」
「もう私と結婚する?」
「君のこと嫌いじゃないしオレはいいけど?」
「え、」
まさかのOKきた。
と衝撃を受けて一瞬時が止まった。と思ったら窓が勢いよく開かれた。
「幸奈は僕と結婚でしょ!?」
「モテ期な、高校生の時くらいにきてほしかったわ。」
「いや好きとは言ってないけどね?」
「こんな男のどこがいいの!?」
彼氏か。
そして魔王、好きでも嫌いでもないって興味ないってことかそうなのか。
・・・・いやそれはちょっと傷つくから実は愛してるんだってことでプラスに考えようそうしよう。
「だいたい僕のほうが絶対幸奈のこと好きだし、あと僕は今までずっと幸奈のこと好きだったから!!」
精神的にとても重い。
あとソウマさんいつの間にか消えてるんだけど、この面倒な状態放置して帰っちゃってんだけど!
「とりあえず、知世。」
「なに?」
「その拗ね顔、最早ただの女子だからやめたら?」
「・・・・安定の酷さだね、責任とって結婚してね。」
異世界トリップの逆ハーって王道だよね、なお話でした。
あと一話完結であまりにも不定期更新なので次から一話更新する事に完結設定することにしました。