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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
1章 村造り
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007 その結果

連れ帰った三人組は目を覚ますと直ぐに暴れ出したので少し痛めつけてようやく大人しくなった。


「今日からこの村の住人になってもらう」


「ふざけんな!!なんでおれらがこんな寂れたとこで暮らさなきゃなんねえんだよ」


「村人が少ないからだろ?」


首を傾げて応答するがさらにぎゃーぎゃー騒ぎだした。


「まじめに働けば住む場所と食べる物を保証するんだから問題ないだろ」


「べ、別に食うに困ってるわけじゃねえ!!」


「そうはいっても町にいても先が在るわけでもないでしょう?」


横からツバキが口添えをしてきた。


「ツバキ・・・てめえなんでこんな所にいやがる」


知り合いなのか?とツバキを見やるが笑顔のまま返事がない。


「私もこの村に住んでるからよ」


「顔見知りか、なら問題ないか」


「ええ、問題ないわ」


「勝手に決めてんじゃねえ!!」


ふむ・・・


「軒下に半日吊せば素直になるかな?」


「そうね、一中夜吊した方がとても聞き分けが良くなるんじゃないかしら?」


そういうものかと頷いた。


「じゃあそういう事で、明日改めて話をしよう」


「そういうことじゃねえよ!!ふざけんな」


「いつも真面目なんだがな?」


「よけい質が悪いじゃねえか!第一俺たちは仕事にもあぶれるようなはみ出し者なんだ。こんなとこで暮らせるわけがねえよ」


そうだそうだと残りの二人も頷く。


「問題ない、力が余っているんだから十分に使える。使えなくて干からびてもその分食費が減るだけだから」


最悪働くだけ働いて倒れればいいのだ。

というわけでもなく、若い男である程度ガタイがあるのだからやれる事は沢山ある。


人間知らんことは覚えれば良いだけの話だ。


どうしようもなく使えない人間というのもいるんだが最初から諦めてはいけない。

諦めるのはいろいろ試してからでよいじゃないかと。



最終的に確認したところ、三人はツバキと同じ孤児院の出身だったらしい。

昔から頭が上がらなかったようだ。


どうでもいいので翌日から畑を散々耕すよう指導した。

指導が足らなくてサボって逃げようとしたので説得してしっかりと労働させた。


労働は尊いものかどうかは別として、人手は増えたようだ。


三人とは別で三倍の早さで耕していると対抗心で必死になって三人も耕し始める。

おもしろいな。


一ヶ月もすると三人とも無駄な肉が削げてきたのが解るようになっていた。

もともと贅肉はなかったので、筋肉の付き方が良くなったと言うべきか?

そして畑仕事にも目覚めたようだ。


単純なのか、根が純朴だったのか?

兎に角仕事が一つ手を離れた。


畑仕事が減った分建築関係に力を入れてみた。


時折続けている土建屋のアルバイトのお陰もあり建築技術が段々と上がってきていた。


村に三階建ての建物が建つほどに。



数日後、食卓にて


「さて、金の話をしようか」


「何をいってるんだお前は・・・」


「いや、なんとなく?」


食事の席でそう言った事に対して的確につっこまれた。


つっこみを入れたのは新人の1人、ノブヨシだった。


「野望の実現には金が要るのだが、貯蓄が足らないという話だ」


「野望って・・・。何やる気だよ」


「好き勝手生きる!!」


馬鹿かとジト目で言われてしまった。


実際問題だが資金が無いと施設増加にも限度があるな。

投資しようにも元手がいるのだ。


構想している組織を運営するには一体どれほど資金がいるのやら。


仮に日本円で10億ほど必要とする。

ここでの通貨は、金銭、金小銭、銀銭、銀小銭、青銅銭、銅銭となっている。


金属価値は高いようなので、稀少金属で貨幣としているようだ。


さすがに石銭はなかったようでなによりか。


金銭で10万円相当なので一万枚は必要という。


今の村の収益は諸経費を引いて純利益は一日銀銭一枚(一万円)ぐらいだ。


10万日とか気が遠くなるな。

日当といっても人数割りするとさらに純利益が低くなるという。


金を稼ぐというのは厳しいものだ。


愚痴はさておき久々に肉の確保に向かった。


山脈はどこまで続いているのか解らないが、かなり奥まで進んでも平地に出る事はなかった。


聞いてみたところとても深く帰れない人もいるようだ。


そんなわけで狩猟用の獲物には事欠かない。


狩りすぎるのも良くないのだが、やっぱり肉が食べたいので頑張る。


現代日本では縁のない、血抜きなどの絞める作業も手慣れたものになってきた。


まあ肉を持ち帰ると子供達も喜ぶからいい気分になれるのだ。


そんなわけで健脚で素早く捕まえた兎を処理しようとしたところ。


【ま、待ってくれ!!】


何か声がしたような?うむ気のせいか。


ナイフを首元へ持っていく。


【だから待ってくださいお願いしますよ!!】


「ふ・・・む?」


掴んでいた兎を目線の高さまでもってくる。


ジーっと見てみる。


【そんなに見つめられると照れるじゃないか】


・・・気のせいだな。


【気のせいじゃないってば!!お願いだから殺さないで!!ほんとお願いします】


「喋るウサギか、変化でもしている物の怪の類か?」


【かみ、神様だよこう見えても】


「人を騙すとは悪質だな。手早く処理せねば」


【言葉が解る生き物を処理しようとすんなああああああ】


よく聞く意見だが、処理すれば肉に変わりはないからな。

しかし、食って影響はないんだろうか。


【え、影響あるから。ものすごく体に悪いから、おなか壊すから!!下手すると死ぬから!!】


だがしかし、肉としてこっそり町で捌けば問題ないな。


「というか考えている事が解るのか。超常現象ではあるな」


だが逃がしても得がない。


【利益があればいいんだね、願いを一つ何でも叶えるからお願いだよ】


やはり考えが読めるようだが、そんな力があるなら自力で逃げれるだろうに。

やはり悪魔的な罠と考えるべきか。


【そうじゃなくて、君に捕まえられて所有権が君に発生したせいで『逃げる』為の力が使えないんだよ!!】


所有物になっているわけか、ならこのまま手元で飼うか。


【山から出たらそのうち力を失って普通の兎になるから意味ないよ】


「普通の兎になる。ということは肉になるわけか、食えるじゃないか」


【余計な事言ったあああああああああ】


ぎゃーぎゃー言いってますます暴れ出した。


うるさい。


「五月蠅いから離してやるが、願いは叶えてもらうか」


何が良いか・・・。


ほしい物をと思ったとき頭に浮かんだもの。


【わかった。それを叶えるからね、約束したからね】


そういとするっと手から放れものすごい勢いで木々の間に消えていった。


逃がしたか。しかし約束といっても何を叶えるやら。


神はいたようだが、本当に神なのかどうか。

真偽は確認のしようがないな。


その後、猪を一頭狩って村に戻った。

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