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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
3章 領内外
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054 崩壊 その後

転がり落ちる時は一気に落ちるものだ。

という言葉をなにかで読んだか聞いた気がするが、崩れ始めると早いものだ。


絵に描いたような崩壊の様相になっていた。


まず、元々かなり繊細なバランスで成り立っていたようで大名亡き後跡目争いが勃発したようだ。

実際は何人かいる大名の息子達を旗頭に公家や武家が対立して領地内で分裂しているといった所。

そこに隣の大名からの援助という形の介入で膠着状態ができ上がった訳だ。


まあその中の一つの勢力として台頭しているのがこの都市なわけだ。

単純に他の勢力下に入るとやり難いというのと、派遣されていた末の子息が居た事。

何の因果か訪問していた隣国のサギサワが後ろ盾を申し出た事などがあってなぜがそんな流れになった。

当然末弟はお飾りの旗頭にしかならないので、無用の混乱が無いよう発言権は一切与えず上手い物を食べさせて屋敷に堂々と構えて貰っている。

回りに護衛(かんし)もしっかり置いて。


本来であれば、武力を司る武家が強行に出れば話は終わりそうなのだがそうはならなかった。

理由としては公家の方面は物資の面を抑えているという事と兵力に関しては隣国から借り受けれるという状況が合った為単純にはいかなかったそうだ。

当初からそんな理由がありなかなか決着がつかないうちに武家の内部でも強行派と保守派とでさらに分裂するなど迷走しはじめた事と、冒険者ギルド(ハローワーク)や教育を施した結果民衆に民意なんてモノが少なからず植えつけられた結果小規模な反乱めいたものまで各地で起きたのも多少なりとも影響しているのだろう。


そんこんなの状況を経て、相変わらず自由気ままな生活から外れて執務室に監禁状態だったのだが。



「疲れたから、旅に出る!!」


脇の机で仕事をこなしていたツバキにそうだけ言って、窓へ走り出し一気に飛び出した。


「ヨシカ!?まちなさい!!」


静止の声もあったが待ってなんか居られない。


窓を出た所で一気に加速して走り抜ける。

建物で出来た迷路のような道を一気に走り抜け門を抜けて行く。


「うわ!!」


「おつかれさん」


守衛が居たのだが猛スピードだった為止められる事もなく抜けだせた。


街中に出て裏道に直入り疾走する。


本来いろいろと投げ出す訳には行かないのだが、それでも限界がある。

主にストレス的なもので、今は即断即決気のままに生きたいのにそうもいかない。

どんな場所でも、どんな状況でもしがらみという奴はなんとも足枷になるものだ。


とにかく、ストレス発散の為に美味いものを食べなければ。

執務室にいると栄養バランスの取れた味気ない食事になるので、勘弁してほしい。


肉が食べたい!!ジャンクフードが食べたい!!

体に悪そうな蛍光色の着いた食材が食べたい!!


と思ったらなぜか我慢できなくなった。


20分ほど走りに走って目的の場所に着く。


「親父!!焼肉上カルビじゃんじゃんもってこい!!」


店に入って怒鳴るようにそれだけ注文する。


焼き肉屋を再現した店だ。食べたかったから無理やり作った。

労働者などにかなりの人気のようだ。肉はまだまだ高いから、贅沢の一つだな。


さておき、どうせ逃げ切れないのだから市政のつけにして肉をひたすら食べるという事にした。

一人で焼き肉・・・寂しい気がするが気のせいだ!!

とにかく食欲を満たして、明日以降の活力にしよう。


好きな食べ物で鍋物もあったのだがあれは冬場のコタツで食べるのが一番だ。

ラーメンも食べたいのだが未だに納得のいくものが出来上がっていない。

あれはスープが問題だから、研究が進めばきっと美味いものができるだろう。


出汁のとり方なんてしらないしな。出汁をとってうどんやそばとは違った形の麺類という事で提示しているのだがなかなか出来上がらない。

現物見た事なければ難しいのは当然なんだけどな。

そこは創意工夫に期待だ。


「おまたせ!!」


わりと手早く出てきた。


因みに肉が高い理由は、一つに食肉の確保がまだまだ出来ていないから。

現代のように外国からの輸入肉などが無いので国産肉に限って言えばまだまだ牧畜のノウハウも足らない事もあり大量に手に入らないのだそうだ。

そしてなにより冷蔵庫のような冷蔵設備が無いので、保存が利かないのが大きい。


必要な分を分解(ばら)して店に出すという方式だ。

肉を食べるレシピが少ないのもあるのだが。


保存食についてはまた今後の課題だな。

魔法があれば冷凍系魔法での冷凍庫や冷蔵庫への転用技術なんてのも出来るのかもしれないが、魔法ないからな・・・・・。


魔法は無い・・・か、忘れがちな自分の見た目や神様という存在を思う。

本当に魔法なんてものは無いのだろうか?

神道系が収めるこの世界観で魔法っていうとまったく合わないのだが、不可思議な存在が見受けられるこの世界ではそれもあり得るんじゃなかろうかと思う。


「黒船来航か」


日本の近代化はたしかそのあたりがきっかけだったともうが、魔法文化があるとすれば似たような形で入ってくるのだろうか。

まあ、中国あたりの仙術やらなんやらとバリエーションはかなりあるからな。

探すならまず呪い関係の日本版かね。


と妄想しながら焼けた肉をかたっぱしから腹に入れるのであった。

美味しいものが食べたいですね。

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