050 私立図書館
前回
穀物関連と調味料のお話
話が出ただけで進展ないけど
それに関して何を考えていたのかというと、単に思いつきであったというしかない。
人間、権力と金を持つと狂うらしい。悲しいことだ。
広大な敷地とそこにそびえたち始めたモノを見て少し反省した。
事の起こりは数日前にふと思いついた家政婦を雇うかという所だった。
家事を任せると思ったところで問題として沸いたのが所蔵書物の問題だった。
金にものを言わせて集めたそれは城下でもそこそこ広かった屋敷をだいぶ埋めていた。
それの整理等も含めてとなるとなんとなく職務外の気もした。
本の事なら司書だろう、司書は図書館にしかいない。
だから図書館を造ろう。
となぜかなった。疲れていたんだろう。
仕事場にあいも変わらずいるコジュウロウを使って動き出した。
勢いだけだったのだが、止まる要因が無かったから突き進んでしまった。
「コジュウロウ、本を集めた施設を作りたいから土地を用意したい」
「城に在りますが?」
言われたとおり重要書類等の保管用に書庫のようなものがある。
「いや、それじゃ意味が無い」
そうコレクションの為だからなあ・・・。
「教養を広める為の施設だよ、文字に触れる機会を増やす為に必要だ」
となんとなくもっともらしい理由をでっち上げて方針とする。
「まだまだ民草の識字率が低い。計算も含めて意識改革のために好きに読む事が出来る施設を作るんだ。これによって文字に触れる機会を増やす」
機軸として絵本関連を作らせるか。
それにまぎれさせてコレクションも保管させて管理させよう。
都市にある学院のように敷地に学校施設も作り、文字を教える機会も増やしていこう。
税金を使って!!
税金を使って!!
大事な事なので二回言いました。
ということで自宅の近くの敷地を立ち退きさせその他予算を勝手に付けて施工始めた。
建屋は都市のほうから建築関連の職人を呼んで3階ほどの建物を建てる。
この城下では、3階建ては無く2階建ても少ない。それだけでも目立つのでなにかと話題になるだろう。
新しい事には話題性も必要だ。
情報戦略って奴らしい。
そうして始まった図書館計画は土地を無駄に平地に変え、資材等を含めて慌しく進行していった。
通常の建築から外れた、洋風建築は都市の職人を使う事で問題なく図面を引かれて進められた。
なにやら知らない間にその建築方法も洗礼されたようで、設計も早いが資材の手配も早かった。
着工し始めてからは早かった。
まずは土台の施工から始まり、資材の搬入と組み立てと進行して行く。
本来大型建築というとかなりの日数がかかるのだが、組み立て工法やらテコの原理を利用した資材のあげおろしなどところどころに新しい工法も混じっているらしく納期はかなり短縮されているらしい。
現代風で言うなら規格の統一された資材で組み立てる家といった感じだろうか?
規模が大きく成ると当然いろいろちがってくるのだが、支柱や壁材などの規格が同じなので手慣れている事やら組み付けも慣れている。
更には日雇い系の人員も多く雇っているなどのお陰らしい。
そのあたりもこんな方法があるという曖昧な説明を元に思考錯誤してどんどん進歩させたらしい。
職人というのは本当に凄いものだ。
この辺りの技術で一番大きく役立ったのは縮尺に使う寸法を統一するといった意識だろうか。
建築関連では基本職人の長年の勘などが元で材料の加工から組み付けなどまで行われる事が多かったのだが図面を書くという事でまずある程度の知識で完成図を共有できるようなったのだ。
(最初は木片へ書くなどだったが製紙技術の向上で更に便利になったらしい)
共通規格という概念も大分定着して来た事も大きく、材料を作る段階である程度の規格が統一されているので資材在庫を多く貯める事ができるのだ。
一品物というのは価値は高いが汎用性が低いのに対して、量産品は基準が出来ていれば応用させる事もできるし低い技術でもそれ専門でやらせれば悪くない精度の物が出来る。
大量生産・大量消費は問題もあるが経済高価を上げる上では必要なプロセスのようだ。
様々な物流において物が無ければ利益を出しにくいといった感じなので、流れ的には間違っていないだろう。
現代日本はそれでもって、あれだけ栄えていたんだろうから。
まあ、それだけ追っていても何かが希薄になっていく気もするんだけど。
便利さを追求するするならそれは致し方ないと言う事で。
駄目な方向になるのも、そうならないよう矯正できるかどうかも現代を生きてる人間の責任だから。
責任は均等割りになるに違いない。