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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
3章 領内外
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040 結果

例の指針から一月が経過した頃だ。

元の部署に戻る事も無く、されとて交渉ごとのテーブルに着く事も助言する事も無く。

そんな手持ちぶたさな時間を過ごした。


時間が空いたので、製紙技術の向上に向けてギルドや学院に手配を進めて結果報告をにまにま見ながら過ごすといった所なのだが。


働いてる時は休みたいと思っていたのだが、

実際一ヶ月も余暇になると案外やる事がない。


贅沢な悩みだが、日本であったなら娯楽なんて腐るほどあった現実を知っていると退屈は毒にもなる。


案外自分が仕事中毒ワーカホリックだったのだと思い知ったものだ。


自堕落に生きるにはここは文化が成熟してないんだなと改めて実感させられた。

しかし日本のように腐りかけの平穏を作るのもいかがなものか、

自分の手がける娯楽普及はその点大丈夫だろうかと少し不安になる。


まあ自分の為だから他人がどうなるか大した問題じゃないか。


腐っていく時は腐るだろうし、それを良しとしないなら誰かがなんとかするだろうと。

無責任にも程がある結論だけだして納得した。


余暇が出来た所で暇潰しの一環で庭を手入れしてみた。


建物のガタはさすがに直せなかったので職人に手入れしてもらい

庭を日本庭園よろしく趣のあるものにしようと四苦八苦してみた。


結果はそこそこ見れる庭程度なのだが、雑草が生える乱雑なものよりはまだましだろう。


こういったものも才能や技術の一つだと思い育成課程や仕事として確立させるにはと思いを馳せた。


こちらに来てからいろいろとやったが、まだまだ自分が不便に感じる事は多く生活水準に関わるかは解らないが改善していけたらと思う事がある。


海外ボランティアや国外での活動する日本人はこんな気持ちなのかねと思ったが、

自分の好意が必ずしも良い結果にならないと逡巡してしまう。


隣国とか恩を仇で返される例を思い出すと利己的な考えなのかもなと思うのだが、

思い悩むだけで自分の不便さを解消したいとう衝動には勝てない模様。


未だにここでは遠慮するほどの理由が自分の安全だけしかないので、止まらないな。


そろそろアレにも何とか対応出来そうだしと思う。


そんな一月の安息は、城からの先触れによって終わる。


城に来いとのお達しだ。

まったく一ヶ月ほったらかしだったのに、呼び出し一つで出て来いとかあいも変わらず理不尽だ。




登城して言い渡されたのは、特使として隣国に行く事。


なんでこうなると頭を抱えそうになるが、あれやこれやと準備されてそのまま出発する事に。


色々間違っている。

と断言できる。

政治や外交なんてのは専門家の仕事で、一般人の仕事ではない。


強要する方も頭がおかしいが、誰も止めれない政治構造も狂っているのだろう。

鬱積すると革命でも起きそうというか、いっそのこと起こすか。


まずはゲリラ戦を仕掛けて各地で反乱を起こし国力を疲弊させてる。

隙が出来た所で頭を潰しに行くのはどうだろうか。


馬に揺られながらぶつぶつ妄想を膨らませるが現実は改善しないし、

事体も好転しない。


革命といっても実際伝手も大して無いし、統率力も無いだろう。

第一に血の流れる戦場なんて気がめいる。


日本人は特にそういったことから離れて久しいのだから無理無理無理。


平和的に生きたいのだ。


生きたいのだが、現状は面倒ごとの方が多くてストレスが貯まる。


風船みたいに限界が来て弾けるといった事体にならなければ良いがと自分の事ならがら心配になる。


「ところで、特使はいいんだけども。具体的に何をやればいいので?」


一緒についてきているアチガワに尋ねる。


「聴かされていないのですか?」


「聴いてない」


なんせ行き先言われてそのまま出された形だったし、


「外交問題なんて、正直知識も経験もまったくないので何やるべきか検討もつかないかな」


「私達は特使として隣国の国主に会いに行きます」


国主ってことは大名でナガマツの同類か、碌な目に合わないフラグが・・・。


「そんな所にいっても何も出来ないと思われるが」


「実際の交渉ごとは私がやりますが、向こう側からのご指名がありまして」


「指名ですか?」


指名一本で出向かねばならないとか、指名料は高いぞ。


「あちらにも噂は流れていますからね。本来であれば断れるところですが、全快の件にあなたが関わっている事が洩れていたようで断りきれなかったのです」


身から出た錆ではあるわけか。


望まぬ状況ではあったのだが、恨みは別のとこに持っていこう。


興味本位で呼ばれているとなると、仕事らしい仕事は無いと見ていいのやらどうやら。


考えるだけ精神負担が大きいので、向こうへ着いてから考えるとしますかね。


投げやりに思考を放棄して、流れ行く景色に目をやって旅路を進める。

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