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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
3章 領内外
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036 暗雲

単純な解雇通知だと嬉しかったのだが、実際は単なる部署変更とか物悲しい。


「詳しくはこの者が話をするから、下がってよい」


話は終わったと言ってシッシッち手を振って退場を促された。


犬じゃあるまいしその追い払い方は無かろうと思うのだが。


最高権力者は何をやっても許される理論だなと自身を騙して部屋を出る。


一緒に部屋を出てついて来たのは大名の隣に控えて居た男だ。


さてはてどうしたものか、


「宜しくお願いしますね」


わりと爽やかに挨拶されるのだが、交流のある人間ではないので気後れする。

そう、人見知りなのだから仕方が無い。


「ええ、はい」


会話を繋げ辛いので適当な返事になってしまったのだが、


「それでは早速仕事の話をしたいのですがよろしいでしょうか」


にこやかに言われてもな、


「いえその前に引き継ぎがあるそうなので、指示を出してきます」


「そう、ですか。では後ほど執務室に迎えを行かせます」


「引き継ぎといっても時間かかると思うのですが、具体的に一カ月程」


実際は配属が変わる旨を伝えるだけで問題なさそうな現状なのだが、

嫌な事は先延ばしにして行きたいのと、心の準備が必要だ!!


周り知らない人間ばかりだと距離感つかんで馴染むのに時間がかかるだろう。

むしろ馴染めない確立の方が高い気がするのだが、どうしたものか。


なんにしても時間は欲しい、数時間で全て引き継ぐとか可能なのかどうなのか良くわからないし。


「あなたの有能さは存じ上げてますのでそれほど時間はかからないでしょう?」


「どんな噂話を聞いて居るか分かりませんが、保留の案件もあるので直ぐには無理ですよ」


保留案件というかやりかけ仕事は結構あるのだが、基本支持を出しているのであとは有能な部下がやってくれてるのだが。


任せれる所は任せまくっていたら、何時の間にやら確認仕事だけになってただけだが。


「こちらも急を要しますので、夕方には迎えに行きます」


拒否権は無いのだろうか?

うむ、無いのだろう。


こういった人間しか居ない城に違いない。


ぐへーと顔を顰めてしまっているのだろうが気にしない気にしない。


「なんとか頑張ります」


「お願いしますね」


ではといって先に行こうとされたので聞きたい事を聞いてみた。


「簡単でいいので、何やる仕事かだけ教えてください」


「外交ですよ」


本当に人の良い笑みといった感じなのだが、なんか悪寒がするような気がする。

個人的に嫌いなタイプなのかもしれない、本能レベルの話で。


それはさておき、外交ね。


すでに自分の仕事場に戻ったのか先に行った方をぼんやり見ながら考える。


詳細知ってるわけでもないのだが、国益の為に他国と交渉するお仕事?

有能な人がなるってイメージが強いが日本では外交手腕がぱっとするニュースが無いから弱腰やら無能やらのイメージが大きいのか。

ネットぐらいし情報源が無いのだからどこまで信憑性があるのと言われると困るのだが。


何にしても、無理だなと確定した。


交渉事における重要な要素とは何かと考えると、口の上手さじゃなかろうかと。

その時点でもう希望が見えないのに、国の成り立ちとか他国とかの情勢やらなんやらまったく分かりませんから。


ここらで大失敗して放逐されるだけならいいけども、外交ぐらいになると責任は切腹とかありそうで怖いな。


胃が痛くなる状況になりそうなのだがとりあえずどうしたものか。

解決方法が無い・・・な。


執務室に戻った所でとにかく引き継ぎという事で部下を呼び出して話をすることにした。


「かくかくしかじかで、仕事を誰やらに引き継ぐ事になったので後はよろしく」


『わかりました』


五人居る部下は、それぞれもそう答えて特に質問もなし。


「特になしか・・・」


この部下達には嫌われているのではなかろうかと思った。


「ヨシカ様が居られなくても問題なく現在の方針を維持しますのでご安心ください」


「新しい上役のお方が来ても基本方針は変わりませんし、教えて頂いた事を忘れる事もありません」


「我々はヨシカ様の政策に感謝しているのですから、直接の上司で無くともそれは変わりません」


個々にそう宣言してくれるので胸が熱くなるのだ。


「ありがとう」


それだけ言ってみんなを下がらせる。


慕われるというのがこうも嬉しい事だなんて、涙が出そうだ。


「コジュウロウも今までありがとう」


横に控えてたいたコジュウロウにも声をかける。


「なにがですか?」


「いままで色々と補佐してもらってたから」


「ふむ、私はこのままヨシカ殿の補佐のままですが?」


・・・・なに。


「そうなの?」


「殿からはその役目を終えるよう言われておりませんので」


そうか、これでぼっち生活再開とはならなくて済むようだ。

少しだけ心が軽くなるな。

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