表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
3章 領内外
40/61

035 引継ぎ

「相席宜しいかな?」


食事をしていた時に声を掛けられた。


食事時に声を掛けられるというのは、珍しいのだが。


はて知り合いだろうか・・・?


食べている最中だった為肯定を頷きで示す。


対面に座った男を観察するが、見た覚えがない。


人の顔を覚える特技は無い、忘れる特技ならあるのだが。


ようやく口の中を空にして声を掛ける事にした。


「私に何か御用でしょうか」


相手の男の行動から用があるのだろうと判断した。


相席だけなら良いのだが、他にも席は空いているし食事も頼まずこちらが食べ終わるのを待っていたりはしないだろうから。


「察しが良くて助かります」


ジーと食事風景を見られていると居心地が悪いからとは言わない事にしよう。


「それで?」


話先をお茶を啜りながら勧める。


「貴方の手腕には常々興味を持っておりました。先日のオロチ様との対話も旨くこなした様でますます面白と思いまして」


面白というのは評価としてはどうなのだろうか。


「で?」


「貴方に手伝って頂きたい仕事があるのです」


「面倒だからお断りします」


これ以上面倒ごとに首を突っ込んでも仕方が無いし、給料も上がらない。

低燃費で生きるのが良かろうと。


「・・・国の行く末にかかわる問題なのですが」


「それなら尚更ですね、重要案件なら適役が私以外にも当然居ますよ?」


「それが中々そうも行かないので」


困った表情を浮かべられても困るのだが、


ここで話をこの話を聞くとイベント強制参加になりそうだが。


→ はい

   いいえ


で「いいえ」を選んでもループしそうな。

そんな嫌な予感しかしないのだ。

ゲームでもないのでそんな事はないのだけども。


「兎に角お断りします」


「そうですか・・・残念です」


男はそういって席を去った。


粘り勝ちだろうか、ご飯時に面倒ごとを持ち込まないで欲しいものだ。



なんにしても


「誰だったんだあれは?」


疑問だけが残ったが、味噌カツの美味さは変わらないので忘れる事にした。


きっちりと食べ終えて満腹感をゆったりと堪能する。


「お勘定を」


亭主に声を掛けて会計を済ませて出て行く。


店を出た瞬間扉の横にコジュウロウが立っていて思わずうめき声を上げてしまった。


「先ほどの件の確認が取れました」


「なら城で話を聞きます」


仕事が速いのだが、コジュウロウはご飯とか食べてるのだろうか。


巨漢というほどでもないが鍛えられた身体を維持するのに2食では足らなさそうだしどうなのか。




昼過ぎに城に戻って執務室に篭る。

外が快晴だと、鬱になりそうではあるが。


手早く片付けて昼寝でもしよう。


「結果は?」


「水増しによる運送費の過度請求でしたな。下手人は町を治める公家の一党です」


悪知恵が働くと言う事か。

今までもかなりの中間搾取で私腹を肥やす輩がいたので、そういったことが出来ない様に取引上の方法を模索してきたのだが新しい方策も直ぐに抜け道を見つける。

素人の素案なので仕方がないのだが、逆に今の所は抜け道を地道に潰してその方法を学ぶ時期かもとしている。

抜け道の方法を知識として貯めていけば小手先の方法は直ぐに思い至ることが出来るようなる。

といいな程度で勧めている。


実際問題として、そういった手法を使うのは公家や武家であり取り締まる為の権限が自分には足らないのだから仕方がない。


腐敗政治とか聞くと片端から粛清した方がいいと思ってしまうのだが、ある程度の特権がないと自分の為にと仕事をしないのだから困るのだ。


そんな連中が国の中枢を担っているのだから、先行き不安だ。


今回も例に漏れず何かしらの対策を練るよう支持をだして案件としては終了。


なんとも後味の悪い仕事をしている自覚はありながら、手詰まり感があって仕方が無い。


もういっその事放り出したいのだが。


ぐるぐる暗い事を考えていたのだが大名からおよびが掛かった。


こちら側からすると思いつきで仕事を任されるので極力会いたくも無いのだがコジュウロウに強制的に連れ去れるので拒否権が無い。


わりと入り組んだ廊下を進んで大名の居る部屋に辿りつくとそこには先ほど見た顔がいた。


昼食時に声を掛けていた男は大名の傍らに座している。


城の関係者だったのか、まあ登城している人間の顔などほぼ覚えていないので廊下ですれ違って居ても気づかないだろう。


未だここでは孤立している自分には人名を覚えるのは難易度が高いのだ。


「呼んだのは他でもない、お主の手腕が必要になったのでな」


「お言葉ですが今の仕事も手に余る程です。他に掛ける余力が無いです」


「では今の仕事は引き継がせる。代わりにやって貰う」


なんだそれは、適当すぎるだろう。

仕事の引継ぎとかやった事無いし、どうしろというのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ