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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
1章 村造り
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003 開墾の始まり

初めて町に出た感想はさておいて、戻った翌日から村作りを開始した。


基本街造りシミュレーションと同様に人口を増やす為に開拓作業を建築等の設備充実だろうか。

とはいえ基本は素人なのでまずは住む家の手直しから始める事にした。


まずは道具を借りて雨風をしのげるようにボロボロの小屋を改修する事に、

木を切り出し板を作る作業も手持ちの怪力で案外手軽にできた。


まあ精度は言わずもがなだったんだが、それでも雨露を凌げるぐらいには出来上がった。


本来釘などを使って組み立てたい所だったが、当然鉄が高価だったこともあり木組みの構造にしてみた。

どこで習ったんだとタツミさんには感心されたのだが、事情説明は曖昧でやりすごした。


仮小屋が出来たのでそこを拠点にまずは当面の食糧の確保をして一日目が終了。



二日目以降は畑を中心に下準備をして行った。


ここでも怪力さは重宝し、畑の開墾もいい汗を流したといった風情で進める事が出来た。


一週間もすると畑もある程度の面積を確保でき、譲ってもらった種植えまで終える事が出来た。


当面は水場の確保や建物を新築などやる事が山積みなのだが、そろそろ道具を新調するなどもやっていかなければならいなどボタン一つで待てば完成といったように楽はできなさそうだ。


だがなぜか充実感はゲームなどよりはある。


作るというのは本当はこういった事なんだろうなと思いながら、

日々の中に楽しみを見出せている自分に驚いているのだが。


半月も経つと食糧の備蓄や小屋の増築などある程度の基礎ができ上がり生活サイクルも出来てきた。

そして人手不足も・・・・


ある程度の畑を村の居住区の平地作業が終わったので必要な道具購入なども踏まえて日銭稼ぎの方法を模索した。


一次加工品が作れると一番利率がよさそうだが、現状手に入るのは木材関連のみで製鉄技術など稼げる所は場所も設備も人手もない。


ということで薪の納入などで当分稼ぐ事にした。


燃料としては木炭の方がよさそうだが、後日設備を作ってみるかね。


あとは村人の確保先だが・・・、多少は当てがあるので町に行った時にそれも当たってみるか。


薪は買い取りして貰えたが値段は大して高く無かった。


日銭といった金額だったので次回は木炭に加工してから持ち込むべきかと思案中。


とりあえず地盤固めが先だが利潤を上げるには生産性を上げるのと後は販売流通の確保か、

この町での顔見知りも居ないのでなかなかハードルが高そうだが指針の一つにしておくには

いいかもしれない。


挨拶回りといっていい顔出しを終えて町の端へと移動する。


町で確認したがこの町の外れにある区画はやはり町民にもなれない貧民層があばら屋のようなモノを建てて住みついているらしい。


町のあぶれ者という位置づけなのだが、役所で確認した所ここの人間を村人にする事も可能なようだ。


「とはいえ、この間の例もあるからな」


ため息交じりに独り言が口から洩れた。

あぶれているだけあって、やさぐれ者が多いらしいので話が出来る人間が居るとよいのだが。


当たりとしては孤児院のような場所があるようなのでまずはそこから顔を広げるしかないのだが


調べておいた大まかな場所を頼りに目当ての建物を探し当てた。


この区画に置いては立派な建物が目に入る。


塀で囲まれた建物自体がここでは異質だが、よく見るとあちこと崩れており廃墟の様な印象もうける。


とにかく中に入ってみる事にした。


色の剥げた古びた門をくぐって中をみると予想に反して手入れがされており、

敷地内に畑も見受けられる。


一番大きな建物に向かって行き塗装も剥げた扉を叩いてみる。


『は~い』


家屋の中から女性らしき声が帰ってくる。

暫くしてから鈍くこすれる音と共に扉が開いた。


「はいはい、どなたさんだい?」


出てきたのは以外にも若かった。


おおざっぱに束ねた長い髪とほつれた服をみると苦労はしていそうだが

それでも精力的であり、健康美を持っていると思わせる顔つきだ。


「役所の紹介もあって来たのだが、少し話をする時間を貰えないだろうか」


「役所から?うちは納税だって最低限だがしっかりしてるんだよ」


役所の言葉がひっかかったのか嫌そうな顔をこちらに向けてくる。


「役所とは直接関係ないんだが、条件に合う人手を探した結果ここを紹介されたんだ」


「人手っていっても・・・ここは孤児院でまだ働くのも難しい子供しかいないよ?」


うむ、胡散臭そうな顔をされたな。


「端的に言うと新しく開墾した村に人を受け入れたと思ってな、誰でもいいから手伝いが欲しいといった状況だ」


「開墾したてじゃあ、もっと子供じゃ意味がないだろ・・・」


説明するのが難しいな・・・


「知っているか知らないが、私は先祖返りで力仕事は一人でも出来るんだ。だが畑やらの維持には力仕事以外の細かい作業があるんだが、そこは手数がいる。到底一人では出来ないのが、逆に子供でも可能だ。

幸い私は読み書きも出来るので、衣食住を提供もさせてもらいもろもろの手続きもこちらでやらせてもらう」


「・・・・・」


「困っているのは、新しく村人を募るにしても開拓間もない村では人を呼び込めないと言う所だ。

当然条件は悪いので近隣の村から転居を勧めても人が来ない。

町の人間などは特に無理だろう、という所で目を付けたのがこの区画だ。

町民としても登録が難しく仕事を手にするのも難しい人間が多いと聞いて来たんだが、

ここを最初に訪ねて来たのは孤児院という金にならない事をやっているからだ」


「!!」


「こんな場所で良い意味で他人の為に何かが出来る人間、そしてそこで育った人間は信用出来るのではないかと思ってな」


「・・・・・・あなた口下手ね」


「話をするのは苦手な方だよ」


「口が美味すぎる人は信用出来ないけど、あなたほど口下手な人もある意味信用出来ないんだけど」


「まあ今日明日の話ではないので、一度村を訪ねて欲しいと交渉に来たんだ。あわよくば知り合いにも声を掛けてくれとな。」


「捻りのない交渉ね、でも面白わね」


「とりあえず場所を教えるから検討してみてくれ」


道順の説明と簡単な地図を地面に書き込むとそれを見た彼女は解ったとばかりに頷く。


「とりあえず今日はこれで引き上げる。また後日顔を出させて貰うから考えるだけ考えておいてくれ」


相手の返事を待たずにその場を後にした。


交渉事とか・・・面倒だな。

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