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使者の恋心(1)

ユニークPVが5000件突破しました。

ありがとうございます。

記念に番外編を書いてみました。

サブタイトルの通りあの人です。


「サダカネ、お主に北の町へ行って貰いたい」


お館様に呼ばれそう告げられた。


「北の町と言いますと、この頃よく耳にするあの町でしょうか?」


「そうじゃ、あそこの取りまとめ役はなかなか有能なようでな。一度顔を見てみたい、使えるようなら臣下に加えてもいいと思っておる」


「!!」


お館様の言葉に思わず驚きを顔に出してしまう。

コジュウロウがこれを見たら眉を顰めるだろうが、それほどに動揺したのだ。


本来であるならばお館様の臣下になれるのは、武家か公家出身者の者だけだ。

慣例といった訳でもないが教養を積んでいるのは両家の者ぐらいだからだ。

商家や町民の中にも裕福な者は学問を学ぶ事もあるが、それでも臣下に使える下位の職に就く位だろう。


「承りました。必ずやその者をお連れ致します」


純粋に興味が沸いた。

噂では聞いていた程度だが、新しい施政を引き二年という短期間で町を発展させたという者。

お館様が興味を持たれると言う事は、噂には信憑性がありなおかつ有能なのであろうと。


その日のうちに馬を連れコジュウロウに一言伝言を残して目的の場所へ旅立った。


北の町へ近づくにつれ驚きが自分を支配して行くのを感じた。


進んで行った先に城下周辺とは比べ物にならない立派な道があるのだ。


土を踏み固めただけの道から、人の手によってつくられた道へ代わっていたのだ。

蛇行する道ではなく木々や岩を廃してまっすぐにのびる道、その走りやすさに驚愕した。


更に進むと宿場がありそこで一泊する。


整備された街道に入って二日目も驚くべき速さで馬を駆りすすむ。


途中途中で開墾されている土地を見る。


人の手など今までは入る筈のなかったそれらに人が居て畑を耕しているのだ。


三日目になると唸るしかない。


道に石畳があるのだ。


そんな馬鹿なと思える光景だ。


石畳など城にある他は武家や公家の庭園内にあるのを見るのみだが、ここにはそれが「道」として使われているのだ。


自分の中で驚愕が警戒心に変わってきている。


ここまで道を整備する意味やそれを出来る財力など不明な点も多いが脅威に成り得る存在だと。


さらに町について憶測は確信に変わった。


町並みや町の中にある道の太さ、人々の活気などだ。


自分は使者として各地を回る機会が多いが、これほどまで整地の利いた町は城下以外では見たことが無い。


建物もほぼ2階建てというのも、自分の常識から言えば有り得ない。


気を引き締めて、目的の人物がいる建物に向かう。


かなり広い町を人に訪ねながら要約辿り着く。


門に立つ守衛に声を掛ける。


「この地を治める御大名のナガマツ様よりの使者である。町の責任者へ申し伝える事があるゆえ、呼び出せ」


出来る限り威厳を出して話をし、大名の紋所を見せて取次を促す。


紋所の効果は高かった用で、慌てた様子で一人が中へ入って行く。


「少々お待ちください。直ぐに案内のも者が参りますので」


「うむ」


暫くして、案内の者がきてついて行く事になった。


建物は見た事も無い造りになっており、所々不思議な物がある。


質素だが雑な作りで話しく質実剛健といった印象を受ける。


随分歩いて奥の部屋に通されると大きな机に座っている者がいた。


その者を見た瞬間、出そうなった威圧的な物言いを抑えた。

目に耳・・・鬼の血を引いているのが伺える。

しかしそのほとんどが粗野である筈が、話の分かる知的な雰囲気を見せているのだ。


「お館様が、あなたにお会いになるそうですので直ぐに拝謁に来るように」


「何の用で?」


返された言葉に顔が顰められるのを自分で感じ問い返す。


「なに?」


「いや、だから何の用で呼ばれるんだ?」


「きっ、貴様!!お館様がお呼びなのだぞ。それなのに何の用だと無礼であろう!!」


その横柄な返答に、一度でも礼節を期待した自分が馬鹿であった。


「こっちも暇じゃないんだから、重要な用でなければご遠慮したいんだが」


「この・・・・」


無礼にも程があると握る拳に力が入る。全身が嘶く。


「少々お待ち下さい」


こちらの様子を見てなのか何やら紐のようなものを引いた。


暫くしたら一人の女が扉から入室してきた。


こちらにに綺麗な礼をしてこちらに横にくる。

この者は礼儀を弁えているか。


「お呼びでしょうか」


そのまま女は置くに行き小声で話を始めた。


《大名からの呼び出しの理由って聞いたら駄目なのか?》


《呼び出された事は無いですけど、お上のやることに意見するとかは基本しないものよ。お家とり潰しとかあるから、権力者は敵にするなって事》


《じゃあ不治の病で動けないって事にしてさぼろう》


《それ、今更無理なんじゃない?》


《いけるいける。会ったこともないんだから大丈夫》


小声で話しているのだがこちらには筒抜けであった。


「いやいや申し訳ありませんでした使者殿、実はワタクシ少々病を患って降りまして。

ごほ、ごほ・・・失礼。

大名様という高貴なお方にお会いするには不釣り合いな体調なのです。

なので火急かつ重要な内容で這ってでも行かねばならない時以外は、登城を控えた方がご迷惑をお掛けしないと思いまして。

当然お館様にお目通りが叶うのは恐悦至極にございますがなにぶん非才の身ゆえお館様をご不快にするのも失礼ですので」


そのもの言いに堪忍袋の緒が切れた。


「愚か者!!手前等の口上聞こえておったわ、手打ちにしてくれる!!」


そのまま刀へ手を伸ばし引き抜こうとする。


次の瞬間胴に衝撃が走ったかと思うと身体を押し倒されたような衝撃が襲い意識を失った。

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