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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
2章 宮仕え
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029 邂逅

目が覚めた。


町中とは違って木々の匂いが濃い気がする。

朝露が匂うといった表現が出そうな濃度だろう。


掛けていた布団から出ると、朝の冷気で身振るえした。

平野にある町に比べて標高が高いからなのか山間部だからなのか気温が低いようだ。


真夏にはちょうど避暑地としていいかもと思いながら着替えて社を出る。


さてどうしたものか。


出発前に聞いた話だと滝裏に洞窟がありそこでオロチに会う事が出来るようだが、本来昨日の内に会っておく予定が疲れて寝入っていたのできまづい。


よっぽどの事が無ければ帰される事は無いとはいえ、機嫌悪くなってないといいが。


むしろ山越えでもして、隣の所領へ逃げた方がいろいろ面倒が無くなるかもしれないなと後ろ向きに考えが進んでいく。


逃げてもこれまで苦労して築いた財産と人脈が無くなり一から作り直しが必要だ。

幸運と時間を掛けたモノを手放すのは躊躇われる。


こういうところで躊躇するのは損しているようだが、後悔しそうだと思うのだから仕方が無い。


こういったときにざっぱり切り捨てる決断力があればもっと人生を面白おかしく生きれるんだろうなと思ったが、やられる側としては迷惑な人物だと判断できてしまう理性が憎いか。


あれやこれやと考え事をしている内に目的の滝へ到着した。


言われていた通り社の裏側から続く小道を登って言って暫くした所で滝の音が耳に入った。


実際に着くと滝壺で巻き上がった水滴のせいなのか湿度が若干高いようだ。


木々の間にも苔が見て取れるから常時このような湿度なんだろう。


滝の裏の洞窟だともっとじめじめするのではなかろうかと心配になる。


日本でもこれほど大きな滝は見た事が無く少し見入ってしまう。


壮大な風景の滝というとアメリカにあった滝だろうか、名前忘れたけど。


わりと現実逃避的な時間を過ごした後、のそのそと洞窟へ入る。


暗いかと思っていた洞窟内はそこそこ光量があるようだ。

湿気もそれほど無い。


どこか地上に繋がる穴があるようで空気の流れが良いのだろうか。


わりと快適な空間なのを確認しながら奥へ進んでいく。


人口のものではかもし出せない雰囲気がとても幻想的でちょっとうきうきとしてしまう。


行為場所だからこそ、神がいるのだろうか。それとも神がいるからこうなるのか。

なんにしても眼福だろう。


そこそこ奥に行き着くと社務所のような家屋に行き着く。

決して豪勢ではない建物だ。だが仮にもこんな所に神がいるのかという疑問が出る質素っさだ。


引き戸を開け建物に入るが、ものすごい違和感だ。


他人の家に入る違和感なんだろうが、声を掛けるのもはばかれる。


「申し訳ございません、だれかいらっしゃいませんか?」


一応声を掛けてみるが返事は無い、神様仕えの誰かが居るのを期待したのだが誰も居ないようだ。


しかし神様にこんな建物がいるものかどうか。祭る為なら祭壇だろうが、そうするとそれを維持管理する人の建物だろうか。


なんにしても、待っていても誰も返事をする気配も無いので勝手に上がる事にした。


失敗してもその時考えればいい。

詳しい事情を話さなかった側が悪いという事でごり通そう。


廊下を適当に奥へ進んでいく。

表から見た感じだと小さい建物だった筈だが、結構廊下を歩いていても行き止まりには行き着かない。


何度目かの角を曲がって進んだ所で耳に自分の足音以外の音が入る。


グググググというような音だ、いびきのような感じだが。


音の元へ向かう事にして耳を頼りに音の元へいく。


暫く進んだ先の襖を開けて部屋に入る。


うむ、だらしなく寝ているな。


部屋の中には、少し布団をはだけた格好で寝ている男が居た。

わりと整った顔だが少し彫りが深いようだ。


渋めの男と言った所だろうか。


「すみません、すみません」


一向に起きる気配の無い男を少し揺すって声を掛けるが駄目だった。


貴重な情報源だが寝ていては意味が無い。


起こし方を検討するが水桶はなかったので水を掛けて起こす方法は選択できないようだ。

残念だ。


仕方がないので次案を実行。


ドスンと音を立てて男は床に転がった。


「い、痛い」


布団ごとひっくり返して放り出した男は痛みでようやく起きたようだ。


「うう、いったいなにが・・・・」


「おはようございます」


こちらに気づく前に布団を畳んで状況証拠を隠滅しておく。


「寝相が悪いようですね」


「・・・・・・」


寝ぼけているような顔をしている。

どうやら状況の把握が出来ていないようだが大丈夫だろうか。


「おはようございます」


改めて挨拶をしてみた。


「ああ、おはようだ」


うむ反応があった。接触に成功したとい言っていいだろう。


「でどういう状況で、君はだれ?」


「オロチさまに呼ばれてきましたヨシカといいます。こちらでお会いできると聞いてきたのですが、誰もお出にならないので勝手に上がらせて頂きました。人を探していた所を貴方を見つけて起こさせていただいたのですが、寝ぼけていたようで足を滑らせたようですね」


いろいろ織り交ぜて説明しておいた。

寝ぼけていた事にすれば問題なかろうと。

PVが20000件に届きそうです。拙い文章閲覧して頂きありがとうございます。PV数を励みに更新していきますので感想含めて展開要望も書いてくださいな。

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