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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
1章 村造り
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002 ここでの事情

挿絵画像あり 苦手な人はOFFでお願いします。

「ここに置いてください!!」と言いそれが受け入れられてから三ヶ月が経った。


今は鍬をもって荒れ地を畑にするべく耕してる。


あの日決めた事は生きると言う事。


状況はいまだ不透明だが、衣食住を確保しない事にはすぐ野たれ死ぬ。

サバイバル技術なんてものは当然ない現代人だし、金銭の手持ちも無いから何をするにも元手が無い。


そこでまずは、家に置いてもらいなんとか情報を集めて一人立ちまでの時間を過ごそうと言うわけだ。

二人も息子が出て行って寂しかったようで、喜んで引き受けてくれた。



三ヶ月を過ぎた時点で解った事だが、まず自分の事。


変わったのは目や耳だけでなく、身体能力も上がったようだ。

とにかく力が出るようになった。


一言でいうとリンゴが握力で潰れる程度には筋力が上がったようだ。


脚力も以前の自分に比べれば高いと思うが、まだ慣れがないからもてあまし気味。


次にここでの風土などの一般常識だが基本は日本と変わらなさそうだ。

山で採れる食糧などは見た事が在るものがおおい、食べた事がないような山菜も食卓に並ぶが単に知らなかっただけだろう。


地理に関しては詳しく解らないのだが、会話が日本語で通じている事や漢字などが使われているらしいことから何かしら日本に関連した世界らしい。

文字に関しては二人とも読み書きが出来なかったようだが、書いて見せたものには見憶えがあったようなのでおそらくといった予想の域をでないが。


ここが並行世界論なのか、依然にも同様に日本人が来た事があり文化を浸透させたのか

諸説を自分で組み立てたが決定打には情報不足だった。


文明のレベルに関しては見る限り江戸時代よりも前なんじゃないかと思う。

鍬や鍋など鉄の品は確認しているし税を納めるシステムもあるようだが、

このあたりでは通貨などは流通が少なく物々交換が主流との事だ。


自給自足をしているので得にいらないんだろうな。


そんな情報を得ながら、一宿一飯の恩を返すべく働こうとしたわけだが案外役に立てた。

筋力が高い為力仕事がメインなのだが新しく畑を開拓したり、薪用の木を切りだしたりなどだが。


そうして生きる準備を進めつつ三ヶ月は経ったわけだ。

生きるだけなら自給自足できるこの状況を持続すればいいだけなのだが、


やりたい事が一つだけあった。

ここの技術レベルだけでは難しいかも知れないが

何よりかなりの財力が無ければ出来ないだろう。


とりあえずの目を付けている事はあるが、

畑もひと段落したのでそろそろ行動に移る頃合なのかもしれない。


物を売るために山道を辿って町まで降りてきた。


近隣には村も当然あるのだが

自給自足を基本としている村では取引として足らない物がある為の遠出だ。


町となっているだけあって結構な賑わいなのだが路面はアスファルトというわけも無く

建物も平屋建てが精々のようだ。


「それでは、行って来ます。待ち合わせは先ほどの茶屋で」


そう言ってタツミさんと別れた。


少し心配そうな顔をしていたが、割と個人的な活動になるので付き合わせるのは少し悪い。

なによりタツミさんにはタツミさんの用事がある事だしな。


事前に聞いていた通り町の西側にある建物を訪ねた。


挿絵(By みてみん)


ここでの役所のようだ。やくしょではなくやくどころと読むらしいが多少昔風味なんだろうな。

入り口は立派な門があり門番だろうか、二人ほど脇に立っている。


「なにか用向きか?」


片方が問いかけてくる。


「ええ、開墾に関する申請をここですると聞いて来たので」


「入って右手の建物の中に居る者に詳しいことは訊ねろ」


怪しいから追い返すという方針ではないようだ・・・、結構開放的なのか。


わりとあっさりと通されて、言われた建物を探す。


道としては町よりも整備されており建物も直ぐに在ったので、迷うことものかった。

室内は窓を大きめに取っているのかわりと明るかった。

玄関口には一人机に座った人が居て、こちらに気づいて声を掛けてきた。


「村の開拓に関しての届け出はこちらで行うと聞いて来たのですが?」


「新しく農地を広げるんですか?」


「いえ、廃村になっている村の再興とそれに伴う農地の登録です」


目的の一つは老夫婦の住んでいる山小屋から峰を一つ越えた所にある廃村を立て直す事である。

土地の所有等は基本国が管理するのだが開拓した分はその人間の所有物とされ、家屋の数や農地の広さに応じて税を取られるらしい。


山に関しては農耕は出来ないが狩猟が出来るため個人で所有している者も居るようだが手入れや税の割合も高い為ほぼ未開拓で国所有なようだ。


なんらかの理由で税が払えない場合は土地を没収されるなどもあり、

見つけた廃村も人が居なくなり保てなくなったとの事だ。


基本の手続きをしたが、こちらが文字を書けると言う話をしたらかなり驚かれた。

やはり文字の普及率は低いようだ。


廃村を再度立て直すという事でかなり変な顔をされたが、とりあえず地盤が必要だ。

何をやるにも資本が無ければ動けないしな。

誰かの下で働くのいいが、せっかくの状況なので好き勝手やってみるのもいいと思ったのだ。


役所の手続きは思ったほど時間がかからなかった為街を歩いて時間をつぶす事にした。


「確かに現代日本じゃあ無いな・・・」


町並みも木造建築の一階建てばかりで屋根も瓦を使っているものが見受けられない。

なにより時折尻尾を生やした人間を見かけるのだからファンタジーとし言いようがないだろう。


しかし・・・、文明レベルがかなり退行しているならある程度の現代知識を使えばある程度商売にしても何にしても優位性を保って行えるんだろうか。


いろいろ今後の参考にしようと思いつつ表通りから裏通りに入ってみるが町の中心から離れるほど建物もみすぼらしくなって行くようだ。


貧富の差はやはりあるようだが、町の端まで来るとかなり貧民街といった感じを受ける。

使える部分もあるだろうなと頷いて町に戻る事にしたが


「あんた余所もんだろ、こんなとこに来るなんてな。有り金全部置いてって貰おうか」


治安の悪い所まで来てしまったようだ・・・三人ほどの汚れた男達が囲むようにそう話しかける。


「面倒だから身ぐるみとっととはいじまおうぜ」


そういって右手を掴みかかられる。


「・・・さわるなよ」


掴まれた右腕を力を込めて引くとあっさり手を掴んでいた男を引き倒した。

やはり腕力は人より高いらしい。


「やろうってのかこのやろう」


残りの二人が掴みかかろうと迫ってくるがその前に距離を開ける。


帰り打ちにしたい所だが殴り合いなどした事がないのだからあまり近接したくは無い。


かといって得物を持っているわけでも無いのでどうしたものか。


「まちやがれ!!」


引き倒していた男も起き上がってこちら向かってくるようだ。


まあ、逃げるかと判断して背を向けて走り出す。

脚力にも差があるようでどんどんと距離を引き離した。


相手が見えなくなるほど走りきってから一息をついたが、


思ったほど息が上がっていない、体力が上がっていると言う事だが・・・平均と比べてどのぐらいか知る機会があるといいんだが。


体力と筋力が一般平均よりも明らかに高ければそれだけで荒事にも優位に立てる筈だが、ファンタジーであればこれぐらいの能力は良くいるのかもしれないので油断は禁物だろう。


まして荒事の経験なんてほぼないのだから経験を積んだような相手では分が悪いように思う。


なにか対応策を考えておいた方が良いのかもしれないな。


いろいろあったため時間がかなり過ぎたようなので急いで待ち合わせの場所へ向かった。



「すいません、お待たせしました」


茶屋で待っていてくれたタツミさんを見つけそう声を掛けた。


「いや、そんなに待ってないよ。それでどうだった?」


「ええ、特に問題もなく手続きが出来ましたよ」


「そうかいそうかい、おまえさんはやっぱり相当学があるんだな。山向こうの村長だって手続きには毎回苦労するって言ってたもんだが」


「そんなに大した事は無いはずなんですが、やはり文字の読み書きというのは出来ないのが普通なんですか?」


「簡単なものなら読める事は読めるんだが、書くとなるとなかなか難しいな。お偉いお役人さんか商人さんとか取りまとめをしてる村長さんぐらいだろう」


わしらは畑を耕すか狩りをするかで困らんしのと朗らかに笑顔を見せられた。


「それじゃあ戻りましょうか」


一応のやる事を終えたので帰路に就いた。

改行と文面修正、章のまとめでページ減らしかな

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