表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
2章 宮仕え
28/61

026 噂程度の情報

しかし困った。

催事の為に三葉山に行けと言われたが、何処かわからない。


それよりも贄とはどんなことをやらされるのやら。


一月と期限を切るぐらいだから人柱の様に命の危険は無いのだろうが、面倒だし訳が解らない。


とりあえず一月留守にするのは決定事項の様なので大まかな支持だけ伝えておくよう準備をする事に。


自分が楽を出来るように部下を育てて来ているのだが、いまだ後任人事は決まらないので書類と格闘する羽目になっている。


最初の頃はこちらの意図を理解出来ないのが多かったのだが、順々に人員の入れ替えを行って組織として使いやすい構成に変化させてきた。


部下の中には臣下のドラ息子なども入っていたのだが、丁重に。そう丁重に役職から外れて貰えるように説得して去って行って貰った。


それもあってか未だに臣下陣とは仲良く無いわけだが。


緊急連絡様の準備もして最後に自分の仕度を始める。


基本は大して多く無い荷物なのだが、暇が出来た時に読む本をピックアップする。


二年でここで手に入る本はほぼ読んでしまったのだが、その中からお気に入りの物をいくつか包んで持っていくと事にした。


仕度はさほど時間がかからなったのだが、どう行くか何をするかを相談するためコジュウロウに会いに行く。


「で、三葉山ってどこになるんです?」


地図を広げつつ確認をして行く。


日も暮れ夜になったのにまだ城下に残っていたコジュウロウを訪ねて話を進める。


地図で示されたのは行った事の無い山岳部だったが、城下からも結構遠い上に未だ街道整備がされていない山奥の方だった。


「結構時間がかかりそうな」


以前の教訓を踏まえて馬に乗れるようになっていて良かったと思える距離だった。


「で、最終的に三葉山に何しにいくんですか」


未だに敬語口調が抜けないのは信頼度が無いから・・・なのか。


仕事をしている時は有能なのだが、コジュウロウはなんというか苦手なんだろうな。


「ナガマツ様も仰っていた通り、催事についてもらう」


「だからその催事の内容が詳しく知りたいのです。一月も逗留するほど長い催し物とはどんな事をするのか。自分の役割とそれを成功させる為に必要な事とか色々な事を知ってお行きたいので」


何かをするには事前準備というか、心構えというか。兎に角ぶっつけ本番で事を起こすとか恐ろしい事はしたくないので少しでも情報が欲しいのだ。


まあ派手に失敗して放逐されるのもありなのかもしれないが、小心者ですから・・・はい。


「すまないが私もそれほど詳しくないのだ。もともとは宮司や巫女が選ばれ一月の間逗留してくるという流れがあるだけだ。ただし豊穣をの為の大事な催事である事は確かなのだが」


「解ってる事だけでもいいので何かありませんか?」


うむと一つ頷いてコジュウロウは続けた。


「まず、催事は一年に一度だ。その年に宮司か巫女が選ばれて一月の間三葉山に逗留する。具体的に何をしているのかは詳しく知らされないのだが、逗留の間は人里との交流は一切しないらしい」


それ飯どうするのだ。


「もちろん食糧などは指定の食糧庫に納めておいくので食うには困らないし、逗留用の社があるので住む場所にも困らないのだが。具体的にそこで何をしているかは、伝え聞かぬし漏れてこぬ」


「謎の催事というわけなのか」


「ただし、翌年の豊穣を決める大事な催事なので疎かにされる事はまず無い」


「その豊穣を決めるというのは?オロチという人が何かするという事に?」


豊穣を祈願するのなら解るのだが、一月間ひたすら祈るというのは有りそうな事なのだが"決める"という事は豊穣に関する事柄を左右できる何かが有るという事になる。


この世界ではまだ魔法を見た事が無い。天候を操る装置があるというSFな設定も目にした事が無い。祈るというのではなく、具体的に左右するというのではあればそれは何なのか。


答えはコジュウロウから返された。


「オロチは人ではなく神だからな、水を司る龍神だと聞いている」


神・・・、ああそういえば居たなそんなの。


そう、確かに神は居るらしい。

実際捕まえて食肉にしようとした事もあるのだが、冗談の様な話だしその後天罰も無いので存在が希薄になっている。


「神様が人を呼んで何かさせてるって事?」


「そうだろうとしか言えないのだがな。具体的にオロチの姿を見た者は居ない。正確には見た筈なのだがその記憶が曖昧で姿絵を書こうとすると曖昧な像になるという話だ。大昔に確かめるため兵を出した事もあるが見つけることは出来ずその後五年間不作が続いたという」


「御伽話のような・・・、具体的に解らない何かを崇めていると事なのか」


偶像崇拝というのはあるが、実物を目に出来ないのであれば同様なものだと思う。

しかし豊穣に関してはある程度の信頼性があるから続いている風習の様なものだろうか。


何にしても神様とは、斜め上の話だな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ