021 これだと思ったが?
いかにも側近な感じのコジュウロウがお供をしたのは以外だったが、どのみち土地勘が無いので案内としては良かったのかもしれない。
最初に目指したのは一つの村だ。
そこは最初から村が在ったわけではなく、新しく作った所だ。
都市増築時には手に入れられなかったのだが、今回は後ろ盾があったので可能になった。
鉄の精錬を主体にする村だ。
工業革命とまでは行かないが金属加工は近代化の一歩だと思った。
鉄製品は様々な用途で使われるが未だに流通量が少なく高額なのである。
日本なら鍋に穴が空いたら、新しいのを買うという選択肢だろうがここでは塞いで再利用というエコロジーなのである。
穴を塞ぐだけでも大きな町に行かないと加工職人が居ないのだがら良い道具が出回る事が無い。
本来は鉱山ふもとに製鉄所を作るのが良いのだろうが、小規模な鉱山が点在しているため一番資材運搬に適した所を選んで街道で繋ぎ村を建て職人を移住させた。
ほぼ引き抜きのような形になって職人にとってはかなり不愉快だったようだが。
「わしゃ死んでもここから離れない!!」
とまでのたまう人間も出るほどで大概にして頑固者が多かったのだ。
職人気質ここに在りかと思うとため息が出たのだが。
弟子含めて何とか人を集めて製鉄をお願いしている。
その出来映え視察といった所だが。
村に到着すると鉄と焦げる匂いがした。
近所の工場地帯で嗅いだような臭い。
鉄鋼業においては大きな溶鉱炉が必要だがそれに加えて高温にする為の石炭などの燃料など多くの者が必要だ。
経済において消費に勝るものは無いと思うのだが、そう言う意味でもこの村には期待と予算を割いている。
ただし見て回った結果は余り芳しく無い。
職人はやはり頑固で閉鎖的社会を形成するようで、自分の工場でのみその技術を振るい新たな革新的技術向上の兆しは少なそうなのだ。
一子相伝という言葉の通り弟子のみその技術を引き継ぐスタイル。
ただしそれで利益があるのは一品物の工芸品のような形のものだけだろう。
好事家がこぞって買っても民の暮らしは豊かにはならない。
ここで応用となる。
ギルドの下部組織として工業職人用のギルドを立ち上げよう。
工業関係全般の運営管理を一元化して、各職人には工房として場を提供する。
必要に応じて仕事も依頼して行く形にし、原料である製鉄関連は一手に引き受けていく。
実際製鉄作業は、弟子クラスや雇われ職人でも十分出来る筈だ。
そのためには施設や作業の簡略化などいろいろあるのだが、量産となるとそうしなければならないだろう。
鉱類関連とは別にガラス細工も担当する村も作りたい所。
工芸品括りで考えるべきだけど、ガラス・・・見た事無いな。
日本だと技術は海外からの輸入だったのか?
日本風とはいえ地図は内陸部の大名統治付近のものしか無い。
逃亡用にも一枚欲しい所だが、そもそも地図の精度が怪しいので測量技術が足らないのではなかろうかと危惧している。
工業地の下地を見た後は次に行く。
もうひとつ考えていたのは水路関連の水回り。
ローマの水路作りではないが、やはり井戸水に頼る所が多いのと雨季乾季があり農作物の育成にも影響のある土地があるようだから。
人口の貯め池の他、川から支流を引いて農耕地を広げるようにしていくのだ。
もちろん街道に加えて工事規模が大きいので公共工事の一面もあるのだが、水がある土地はやはり豊かになるだろう。
しかし、こちらの方は難航しそうな感じが現場からはした。
まず用水路を作る為の石の切り出しやその運搬など人手を割いても遅々として進まないのだ。
そう考えると現代技術のアスファルトやコンクリートといった整形がしやすいという素材が無いのが嘆かれるがこればかりは知識が無い。
科学プラントがあるような世界なら用途に合わせて素材を集めることが出来たかもしれないのに残念だ。
これに関しては長期的な視野で進めないと駄目だろう。
十年二十年の大事業になるかもしれないが、それだけでも人手が居ると言う事。
魔法でぱぱっと終わると楽ではあるが、神様居るぐらいだから何かしら使える人材落ちてないのかね。
無いものを強請っても仕方が無いので、堅実に行く事に。
不便に感じる事が多いが、日本の現代技術との差分なので致し方ない。
海外で同じ事をやっても、同じような壁に突き当たるのだろうか?
でも、情報は入るからここよりはましか。
巡回視察は二ヵ月を要して一巡して、大名の居る城下へ戻って来た。
都市と道が繋がった事もあり、城下は当初より活気づいているようなそんな気がした。
裏路地に横たわる浮浪者も減り、新しい建物も建ち始めた。
改善は・・・されてるのかなこれは?
この仕事を始めて季節は一回りしていた。
誤字脱字の指摘があれば宜しくお願いします。
勢いで書いてるので修正はたぶん後日後日になるかと。
展開がスローですが、実際は凄い速度で開拓されているような・・・。