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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
2章 宮仕え
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020 まわるまわる

権力とは素晴らしい。やりたい放題出来る。


という事は当然無いわけだが、融通はかなり効く様になった。


まず調査からという事で、大名が治める土地の地図と集落から村まで、住民分布などの情報を仕入れる。


そういえば、隠密に当たるのだろう諜報活動の専属が居たようだ。


こちらの情報を集めたのも彼らだったようだが、情報収集にはかなり役立つかも。


個人のお抱えで伊賀とか甲賀とか欲しいなと思ってしまったが余談だ。


さておき、やる事は生活水準の向上とそれに伴う経済発展だ。


町は大きくしてこそ色々便利になる。


ステージ2になるんだろうか?と思ったが納得もいかん。


まず手始めにギルド(ハローワーク)を作る事に、


実際の調査で人口比率は上流階級が1割、中流階級が2割、下流階級が3割、最下層が5割という現状。


分別すると貴族、町民、村民、流民に当たるのだろうか。


流民は租税を納められなくなり家財を没収されたり、村から放逐されたり、土地から逃げたりとした民の末路。

職を探すにも伝手もなければ、当てもないという事のようだ。


確かに村を発展させていた時も流民が受け入れやすい制度を入れてから流入が多かった気がする。


まずは、直ぐに確保できる人的資材を活用する事から始めよう。


ここで一気に進めれるのが権力だな。うむ。


利便性を上げるためにまずは経済が安定していた都市へと街道を整備させる。


今までよりも精度の高い情報が手元にあるのであれこれ考えてみる。


土地事に少しは特徴があるのでそれを他へ出して外貨にする。


村の中だけではやはり経済規模が小さいのだ。


またそれが無い所は農地を拡大して、農耕地として特徴を伸ばす。


村などではやはり土地が余っているが人手が無いという問題があるようだ。


農作物にも平地に向くもの山岳に向くものなどがある。果実園や放牧地なども視野にいれて出来る限り多種多様な形態の土地色を加えて行く。


まあ勝手に押し付けているのでどこまで伸びるか解らないが、数打てば当たるの理論もある。

街道整備だけでもかなりの公共事業になるだろう。


と結構な額を一気に消費し始めた。


「正気か!!」


「馬鹿な!!」


「愚策だ!!」


等々いろいろ叩かれる訳だが、知った事ではない。


失敗したら失敗したで、本格的に逃亡するだけだ。


北は寒いから南を目指すか。


寒いのは苦手だからな。


「報告書だ」


コジュウロウは紙の束を机の上に置いた。


「置いておいてください」


大体伸び悩みの報告だろうから雑に扱う事に。


畑を耕し、街道を整備する。

治水を整えるだけでも国民の生活は豊かになるのだが、やはり階級社会だとその辺りがズボラな感がある。


ひたすら農耕を発展させそれを消費する場を整えて行く。


「それだけなんだがな」


ため息まじりの独り言にコジュウロウは眉を顰めたようだが、気にしない気にしない。


さてと。


「コジュウロウさん、馬を用意してもらっていいですか」


「かまわないが、どこに行くのだ?」


「実地見聞ですよ。土地を見て民を見る機会を作る。出来の善し悪しを判断にね」


「そんなものは報告に目を通せばいい」


「では言葉を変えて。こんな薄暗くて鬱陶しい城を出て気分転換をしたいんです」


コジュウロウは目頭をほぐしならがら俯いた。


部屋が薄暗いから致し方ないか。と適当に理解して部屋から出る。


思う所があるのかコジュウロウには特に引きとめられなかったのでサクサクと歩いて行く。


有り余るとは言いすぎだが予算が潤沢にあるので、村の頃には出来なかった事を追加でやってみた。


その成果がどこまで進んでいるかも正直気になっていたのだが、前述通りこの城での生活にもうんざりしてもいた。


大名に仕えているのは武士と公家のお偉い様だ。

ぽっとでの若造が気に入られているのが目障りなようで毛嫌いされている。

廊下ですれ違うだけでも顔を顰められて、更には悪態をつかれる事もあるので精神衛生上宜しくないのだ。


誰も好き好んでやっとらんわいと言いたいのだが、物を言える立ち位置でもないのが現状。


「カラオケでも行きたい・・・」


ストレス発散で良く行っていた一人カラオケ耐久レース。

最長記録は未だ8時間でストップしていたが、今なら12時間へ突入できるかも。


知人には一人で行くぐらいなら誘えと肩を叩かれたっけ・・・。


弱気になるとあちらを思い出してして仕方ない。


懐古主義者ではないと思っているんだけど、なかなかどうして思い出してしまう。


うし、気合いを入れてさっさと楽隠居するとしよう。


道筋と成果が出来たら業突く張りな公家あたりが手柄も含めて引き受けてくれるんだろう。


嫌らしく笑うのだけは得意そうな顔ぶれを思いながら城外までたどり着いた。

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