019 なぜかそうなった
馬鹿を見ると殴りたくなる。
というのが持論かどうかはさておき、確かに馬鹿がいた。
見るからに二世、親の七光的な態度と言動と表情と着る物とか、気に入らないので全てが短所に見えるのだから不思議だ。
当の本人様は昨日説明のあった末息子らしい。
年齢は30を超えた程だと思うのだが、人の年齢とか良くわからない。
とにかくその態度と言動が目について仕方が無かったのだが、今は抑える所だろう。
町の方はかなりお役所仕事になるよう仕組みは整えているのでよっぽど、長が居ても居なくても同じだろうしギルドと学院もほぼ独立しているので行政からの影響は無いはず。
商人系も大きく成ってるから言いなりって事は無いだろう。
教育の賜物だと思いたいが、それでも心配だな。
挨拶をしてそのまま末息子は出立の準備に入るようであった。
さてこちらは登城一日目、なにやればいいんだ一体。
宮仕えといっても本当に何をやるか解らない。
登城はしてみたのだがやる事が無いのでまずは飯でも探してみるか。
城の厨房を探してうろうろとしている。
案内が無いとか酷い話だ。身の寄せどころが無いはなんとも居心地が悪い。
うう、都市に帰りたい・・・。
初日からホームシック状態であった。
結局城のなかを怪しく徘徊しているだけで時間が過ぎてしまった。
日が高くなってきた頃に男に捕獲され大名の所に連れて行かれた。
なにやら重臣がいる会議の場のような・・・、嫌なとこにひっぱられたな。
「そやつが今日からワシに仕えるヨシカじゃ。心せよ」
ざわ・・ざわ・・と場が少し五月蠅くなる。
みんな厳ついのばかりだな。嫌な感じだがとりあえず
「ヨシカです。宜しくお願い申し上げます」
出来るだけ丁寧な感じで挨拶をする。
この圧迫感というか、ストレス溜まりそうだな。
「丁度よい、意見を聞いてみるか」
そう言って今まで話していた内容についてざっと説明が為された。
議題?はどうやら石高の向上についてということだ。
単に税率を引き上げる案や、強制労働を強いて農耕地を広げる案などが出ているのだがお前ら平民階級をなんだと思っているんだとイラっと来た。
出席者の意見を一通り聞いてこちらの番に、
「私の意見としましては、まず流通の整備と雇用整備ですね」
「そんな無駄な事に金を使えるか!!」
野次が飛んだが気にしない。
「先行投資です。税の徴収方法も変えます、租税を減らし代わりに物の売り買いに対して少量の税を掛けるのです。道が整備されれば商人が行き来し近場で手に入らないものに対して金銭が動きますので収益につながります。また行き来が容易になればいままで手付かずだった土地にも人が入りますし、入植という形で城下の浮浪者へ仕事を斡旋する事ができ新たな労働力を手にする事ができます」
「あとは民の生活レベル上げる事でしょうか。娯楽を提供しそれに対して対価を払う流れを作る。人間だれしも豊かに暮らしたい、豊かであれば娯楽を求めるようになり新しい産業として発展できます」
今までの応用を口にする。
実際問題見た城下の状況では、生活環境の改善を進めないと後進国の域を出ない生活水準だと思う。
富裕層だけが良い暮らしをするのは気に入らないし、馬鹿が増える事になりそうだ。
まくしたてたこちらに対して、周りの反応は微妙なようだった。
端的に困惑してるのか、理解が追いつかないのかどちらかだろうか。
「やはり面白いのう、その件おぬしに任せるから好きにせよ。コジュウロウ」
呼ばれて返事をしたのは、あの男だった。
「その者に手を貸してやれ、解らぬ事が多いだろうからな」
にやりと笑われた気がしたが、精神衛生上良く無いので見なかった事にした。
「早速始めろ」
と言われて追い出された。部屋は次の議題に移るようだ。
というか、こんなにあっさりした流れでいいのか大名。
やはり馬鹿の一人なのか・・・。
「あの・・・」
横を歩くコジュウロウに声を掛ける。
「なんだ」
なんと言ったものか、
「率直に聞きますが、大名様は何をお考えなのでしょうか。私のような素生も知れぬ者にあの様な大役を任せるなど、迷わ・・・荷が勝ちすぎております」
おっと危ない危ない。
「・・・ここ十年この国は繁栄とは程遠いのだ。重臣が知恵を絞り治政を敷いているが流民は増え、とうとう城下町にも浮浪者が出る始末。そして近隣の国も不穏な動きを見せておる、そこに来てお主の行った事を知れ聞いたのだ。二年で村を町にしたその手腕をお館様は期待しておられる」
ご期待を裏切るなと発破なのか脅しなのかわからない声をかけられた。
知らんがな・・・。
まあしかし、権力とは良いものだ!!
早速調査から入るとしよう。
調査・・・間諜、スパイ、ここだと忍者とかいるのかな?
タイトルと内容が有ってないかもだが気にしない。
展開がループしてる気もするのだが




