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その腹黒さも一面である  作者: 縁側之猫
2章 宮仕え
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016 そして時は流れ

二年が過ぎるのは長いようだが、毎日毎日忙しく仕事をしているとあっという間でもある。


二年経つと色々変わるだろうか?


実際問題村は都市になっていた。


とんとんびょうしとも言えないのだが、街道の整備を広げていくうちに村を中心に円上に民家が増え外円にあたる村との間に人がどんどん増えて行った結果だ。


もう一つ、近くにあった町が最終的にこちらに吸収される形で組み込まれたのも大きいが。


もともと町を取り仕切っていた商会を徐々に乗っ取る形で潰した時点で村と町の形成が逆転し、人口が2000人を越えたところで町からの移住者が一気に増えてきた。


税の軽さや流通の有無、あとは仕事に関する部分で大きく利便性が高かったからだろう。


それに伴って役人の流入もあり、仕事をしないでも済む環境が整い思いつきでいろいろ口出しできるようになって発展が加速した?と思う。


現代科学の粋を集めてとはいかないが、二次産業と娯楽関係に関する産業も含め進めて行ったのが良かったようだ。

道具一つにしても虚覚えの知識を元にものになるものが出来上がった。


基本発案だけというのが多いんだが、学院とギルドの株分け組織の職人ギルドがうまく潤滑したようで新しい開発という概念が根付いたようだ。


工業とも呼べないが、二次産業が活発化したことで生活に余裕が出来て娯楽産業もある程度回るようになった。


交易品となるもの出来初めてさらに遠い町へ商売が出来てそこに繋がる道も整備されていく。


倍々とまでは行かないまでも右肩上がりの経済成長と言えるだろう。


まあ、成長させすぎてもめ事が多くなるだとか裏社会的な組織が出来初めたりなど問題もあったのだがギルドがそのあたりを管理できるほど広がったのもあり村が都市になるという珍事になったのだろう。


基本的な採決はあるものの日頃は仕事を丸投げして、ふらふらするぐらいの余裕が出来たのだ。


と余裕をもってると決済仕事が貯まるんだが。


平和は平和だな。


ん・・・日本語がおかしいが、まあいいか。


それぐらいぼーとしているという事だろう。


実際平和だったのだから仕方がない。


なぜか都市にまで発展してしまったので、仕事の補佐にも人が着き書類仕事も任せれる形だ。


二年の歳月というのは色々と起こるには十分な時間なのだが三行で片づきそうな気もする。


世界を救う冒険をするでもなく、怪奇事件を解決するでもなく、日々仕事をこなすだけだとあっとゆうまに時間は過ぎるものだなと。


そういえば夏休みや学校生活も目標なくしては多くを語る出来事は起こらないものだ。


まあそんな平穏な日々も終わりが来るものだ。



その日ヨシカを訪ねて来たのは大名からの使者だった。


その日も書類仕事に追われていたのだが


「お館様が、あなたにお会いになるそうですので直ぐに拝謁に来るように」


「何の用で?」


「なに?」


「いや、だから何の用で呼ばれるんだ?」


「きっ、貴様!!お館様がお呼びなのだぞ。それなのに何の用だと無礼であろう!!」


「こっちも暇じゃないんだから、重要な用でなければご遠慮したいんだが」


「この・・・・」


ああ・・・ぷるぷるしてる。血管が切れそうというのはこういう事かな?


「少々お待ち下さい」


呼び出し用の仕掛けを作動させる紐を引っ張る。


暫くしたらツバキが扉から入室してきた。


使者の方に綺麗な礼をしてこちらに横にくる。


「お呼びでしょうか」


おおう・・・猫被ってる気がする。


(大名からの呼び出しの理由って聞いたら駄目なのか?)


(呼び出された事は無いですけど、お上のやることに意見するとかは基本しないものよ。お家とり潰しとかあるから、権力者は敵にするなって事)


(じゃあ不治の病で動けないって事にしてさぼろう)


(それ、今更無理なんじゃない?)


(いけるいける。会ったこともないんだから大丈夫)


こそこそことツバキと会話して方針をまとめる。


「いやいや申し訳ありませんでした使者殿、実はワタクシ少々病を患って降りまして。

ごほ、ごほ・・・失礼。

大名様という高貴なお方にお会いするには不釣り合いな体調なのです。

なので火急かつ重要な内容で這ってでも行かねばならない時以外は、登城を控えた方がご迷惑をお掛けしないと思いまして。

当然お館様にお目通りが叶うのは恐悦至極にございますがなにぶん非才の身ゆえお館様をご不快にするのも失礼ですので」


ああ、すらすら言葉が浮かぶものだ。


「愚か者!!手前等の口上聞こえておったわ、手打ちにしてくれる!!」


使者が腰のものに手をかけようと所作を見せたので机を越えて一気に間を詰める。


そのまま胴に蹴りを入れ脚力の限り蹴りとばした。


使者はそのまま吹き飛び壁にドンっと派手な音をさせ苦悶の声を上げて床に転がった。


「うん、正当防衛」


「打ち首獄門さらし首ですね」


「なん・・・だと・・・」


というのが驚きの表現だったと記憶する。


「しかし大名に目を付けられる事なんてなにもしてないと思うのだが」


「色々やらかしてると思うけど?」


「ふむ」


考えてみる。


村を都市にしてちゃんと税金を出している。

行政関連も含めて整備した。

街道など流通系の強化。

なにも悪いことしてないな。


「なにもしてないよ?」


「村だったものを外地の人間を多く招き入れ都市にした。

 学院やギルドといった怪しげな組織を運営して配下の人間を増やしている。

 いままでなかった方法で富をため込んでいる。

 大規模な移動手段を淡々と用意している。

 ここまで大きな町の長が大名に目通りもしていない。

 と色々やってるでしょ」


「総合すると、縄張りで商売してるんだから挨拶しにこいという事か」


「まあ大ざっぱに行くとそうかもね」


とはいえ町を吸収合併したときに役人関連も含めてなのでお上との繋がりはそれほど急激には変わって無いはずだが。


「挨拶にいけばいいのか、でも・・・」


床に転がる使者をみた。


「これをどうするかな」


「使者をこれ呼ばわりは酷いかと、でも起きたら打ち首ですが」


やはりここは


「とりあえず監禁しておこう。大名の方に使者は事故で意識不明として別便で手紙でも書くか」


使者が行方不明なのも問題だが打ち首になるのはもっと困るからな。


「挨拶か・・・面倒だな」


「あなたは大概の事を面倒がるじゃない」


はぁ、とため息を吐かれる凹むな。

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