第三者の目
短いです、すみません。
「……それでは、これで午前の訓練を終了する。解散!」
「よっしゃあ、お昼だあ!」
アドルフさんの言葉に思わず叫ぶと、椎奈の体の熱も吹き飛ぶ冷たい視線に突き刺された。詩緒里は苦笑している。旭先輩は無反応だ。
でも、喜んでいいと思う。時間走の後も、筋トレ(いつも部活でやっているのの軽く倍はあった)とか、ステップ(私は3回、旭先輩は5回、詩緒里は10回転んだ。難しすぎ)とか、後なんかよく分からないのをあれこれと、とにかくたくさんやらされた。
とにかくきつくって、もうふらふらだしお腹空いたし眠い。休みを喜んで何が悪い!
「……嬢ちゃん、急に元気になったな。お疲れさん」
時間走の後もいろいろとアドバイス——ズルする方法を教えてくれた騎士さん。セヴェリオ=ピルロっていう名前だそうだ——が、笑いながら話しかけてきた。
「とにかく終わりましたから! お昼食べて体力回復です!!」
「まあ、それが1番だーな。……だが、余り騒ぐと怒られるぞ?」
そう言ってセヴェリオさんが視線をスライドさせた先には、相も変わらず冷たい目で私を睨む椎奈。
「古宇田、恥ずかしい言動は1人の時だけにしてくれないか」
「いいじゃない、みんな笑ってるんだし。訓練やり切ったんだもん、ハイにもなるよ」
「……言っておくが、午後の始めは剣術の訓練だからな」
椎奈の言葉に、目を見開く。
「……午後は魔術の練習じゃないの?」
「先程ヘラーから予定を聞いたら、今日は午前いっぱい基礎練だ、剣は午後の始めの方に行うからそれに来てくれと言われた」
……終わったと喜んだ瞬間にまだ続くと分かるのって、元々あるって分かっているより辛いんだよ、椎奈……
がっくりと項垂れる。明らかに落ち込んでいる私を見て、セヴェリオさんが苦笑した。
「まあ、頑張れ。大丈夫、最初は振るだけだろうから、午前程はきつくはないさ。そうだろう? 兄ちゃん」
「……まあ、そうだ。慣れるまでは危なくて、それ以外は出来ない」
振り返って椎奈を仰ぎ見るセヴェリオさんの問い掛けに頷くのを見て、少しほっとする。
……それにしても。
「……セヴェリオさん、椎奈は女の子です。髪も長いでしょう?」
詩緒里が私達の気持ちを代弁する形でそう言った。それを聞いたセヴェリオさんが目を真ん丸にする。
「姉ちゃんだったんか!? いや、髪の長い男の神官とか多いから、その口かと思ったんだが」
驚くセヴェリオさんに、椎奈がやや苦い顔をした。
「後、私と詩緒里と椎奈は同い年で、旭先輩はイッコ上です」
私達が嬢ちゃんで椎奈が姉ちゃん。同い年なのにそれは無い。抗議するように言った。
「……年を聞いていいか?」
もはや呆然としているセヴェリオさんの失礼な言葉にちょっと顔を顰めてみせてから、きっぱりと答える。
「私達が16、旭先輩が17です」
口をあんぐりと開けて固まるセヴェリオさん。一体いくつだと思っていたのか、じっくり聞きださなきゃ。
そう思って口を開き書けたんだけど、渋い顔でそのやり取りを聞いていた椎奈がいきなり話を打ち切る。
「……古宇田、早くしないと昼食を摂り損ねるが、それでもいいのか?」
「良くない!!」
昨日も言ったなこの台詞、と思いながら、私は椎奈の後を追った。
「後で一体いくつだと思ってたのか、聞かせてもらいますからね」
すれ違い掛けに、そう囁くのを忘れずに。
読んで下さっている方々、本当にありがとうございます!
作者は本当に未熟なので、これからも温かく見守っていただけると、この上ない幸せです。
感想、評価、是非お待ちしています。