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神滅者  作者: おまめ
神の地
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処理

神とは、絶対である。

触れることすら許されない存在。

だが――それを滅ぼし、力を奪う“例外”が現れた。

そのものは止まらない。

ただ前へ進み、神を越えていく。


そして今――


その先へ踏み込む

神の園は判断を変えた。単体では足りない。排除の確度が足りない。そのものはすでに“対処される側”ではなく、“対処を越える存在”へと変質している。ゆえに処理方法を更新する。


統合。


新たに顕現した『地震』『腐敗』『夢幻』は増援ではない。既存の権能を再編するための素材に過ぎない。空間が鳴る。それは揺れではなく、構造そのものが組み替えられる際に発生する歪みの音だった。見えない接続が張り替えられ、定義が重ね直される。世界の骨組みが一段深い層で噛み直される。


『地震』は『海王』へと重なり、流動と振動が一体化する。液体の支配に固体の揺らぎが加わり、境界は溶ける。生成されるのは『海皇(ポセイドン)』。支配は単なる水域を越え、血液や体液、地殻の振動、圧力の変動といったあらゆる“流れるもの”へと拡張される。流れは奪われ、振動は制御され、安定は許されない。


続いて『侵食』と『腐敗』。外殻を侵しながら内部を崩壊させる二重の破壊が同時進行する構造が成立する。名は『腐這(キノトグリス)』。触れた瞬間に始まるのではない。“存在しているだけで侵される”。境界は薄れ、外部が内部へと滑り込み、同時に内部から朽ちる。再生は常に一歩遅れ、修復は間に合わない。


さらに『夢想』と『夢幻』が重なり、現実と非現実の境界を曖昧にする『幻想(モルペウス)』が形を取る。距離は意味を失い、順序は崩れ、結果だけが遅れて到達する。当たっていないはずの攻撃が内部に残り、避けたはずの衝撃が後から身体を破壊する。因果は連続しない。


三柱。だがそれは数ではない。“弱点を消し去った完成形”。そのものは理解する。だが理解が終わるより早く、攻撃は始まる。


踏み込んだ瞬間、足場が流動し、踏みしめた力がそのまま地面の内部へと逃げる。支点が成立しない。わずかな崩れ。それを逃さず、体内の血流が外部から干渉され、筋肉の収縮と循環が噛み合わなくなる。腕を振り上げる動作は途中で力を失い、次の瞬間、圧力の変動が内側から叩き込まれる。


肺が潰れる。肋骨がきしむ。内臓が押し潰され、呼吸という行為そのものが成立しなくなる。喉に上がる鉄の味。視界がわずかに暗転し、意識が揺れる。


そこへ『腐這』が重なる。触れていない。だが皮膚という境界が機能しない。外部がそのまま内部へ侵入する。細胞同士の結合がほどけ、繊維が裂け、組織が崩れる。腐敗が進む。再生を試みる間もなく、修復より速い速度で分解が進むため、形を保てない領域が広がる。


さらに『幻想』。視界の奥行きが消え、遠くにあったはずの攻撃がすでに身体の内部にある。避けたはずの一撃が、遅れて神経を焼くように届く。時間と結果の順序が逆転し、回避という行為が意味を失う。


そのものは受ける。ただ受けているのではない。観測している。どの干渉がどの順序で重なり、どの瞬間に歪みが生じるのか。思考は止めない。筋肉は裂け、骨格は歪み、内側から押し潰されながらも、崩壊には至らない状態を維持する。


やがて結論に至る。最優先で排除すべきは『腐這』。これを残せば、いずれ確実に存在そのものが維持できなくなる。


そのものは流動と侵食の中を無理やり押し進む。崩れ続ける足場を踏み直し、流れを力でねじ伏せる。『永劫』を発動し、その効果を直接『腐這』へ叩き込む。侵食と腐敗は絶えず変化し続けることで成立しているが、そこに“変化しない状態”という概念が流れ込む。


固定。


細胞の崩壊が止まる。侵食が進まない。腐敗が広がらない。崩れ続けるはずの構造が、その瞬間だけ完全に固定される。崩れるはずのものが崩れないという矛盾が、均衡を内側から破壊する。


その隙を逃さず、『殲滅』に『不明』と『封緘』を重ねて叩き込む。固定された状態のまま干渉を封じられ、処理不能な破壊が内部へと流れ込む。『腐這』は抵抗できない。侵食も腐敗も起動できないまま、内部から崩壊し、その存在は完全に断ち切られる。


間を置かず、『幻想』へ。曖昧であることが本質なら、それを現実へと引きずり出せばいい。『神獣』を発動。フェニックスを顕現させる。


炎が広がる。熱ではない。存在を現実として確定させる力。


曖昧だった領域に輪郭が与えられ、夢として逃げる余地が削られる。フェニックスが羽ばたき、炎を叩き込む。曖昧だった存在が現実として焼き付けられ、そのまま破壊される。夢として逃げることはできない。現実として壊されるしかない。


『幻想』崩壊。


残るは『海皇』。空間全体が敵。足場は流れ、圧力は絶えず変動し、内部からの干渉も止まらない。


そのものは『凌駕』を発動する。筋力が引き上がり、骨格が強化され、崩れかけた身体の維持が可能になる。流動する地面を踏み潰し、揺れを力で押さえ込みながら前進する。


『複製』。三叉の矛を再現する。完全ではないが、構造は十分。手に取った瞬間、重量が腕に乗る。そこへ『éclair rapide』を重ねる。雷撃が収束し、矛の先端に圧縮される。


踏み込む。


流動する空間を力で裂く。圧力を押し返し、距離を無理やり詰める。


突き込む。


三叉の矛が『海皇』の中心を捉える。強烈な反発が返る。だが止めない。さらに押し込む。


雷撃が内部へ流れ込み、支配していた流れと振動が逆流する。制御が崩れる。内側から裂ける。外側から崩れる。


そのものは最後まで押し込む。完全に貫くまで。


やがて均衡が破断する。


『海皇』崩壊。


静寂。


だが神の園は止まらない。むしろ理解する。統合では足りない。さらに上位の処理が必要。


そのものは息を整える。崩れかけた身体を維持する。


次に来るものが、これまで以上に苛烈であることを理解しながら。

第31話いかがでしたか?


統一権能の神を3柱滅ぼし最終到達点にあと一歩まで近づいてきています


次回もお楽しみに♪

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