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戻る日常
一週間で母は退院してきた。
その日は学校があった。家に帰ると、まるで戦場の後のような部屋がきれいになっていた。
「お母さん!大丈夫なの?」と声をかけると
「大丈夫じゃないのは、この部屋の方よ」と、皮肉っぽくも少し笑顔を見せて僕の顔をみた。そして
「ただいま」
と一言声をかけてくれた。
その一言は、今まで当たり前だった日常が戻った瞬間に少し感極まって、少し声を上ずらせて
「…おかえり」
と返した。
「なによー!中学生のくせに、さびしかった?」と茶化すように、母はこずいてきた。
何も言い返せないまま、その日母が作ってくれた夕食を食べた。
その日の夕食は、きっと永遠に覚えているんだろうなと思う。母が帰ってきた安心という記憶と一緒に。




