第27話
スタンピードから逃れる為にランカウイの街から島に逃げ、その島を新しい住処として生活を始めた旧ランカウイの人々。その彼らを収めている領主のエドモントンはこの日も丘の上にある領主の館で机に座って書類に目を通していた。
仕事をしていると窓の外から見える大陸の中央部から突然いくつもの光の筋が天に昇っていくのが目に入ってきた。思わず机から立ち上がると窓を開けて大陸の方を見る。
島民たちもその場で立ち止まると、大陸の中央から空に向かっ勢いよく伸びている光の筋を見ている。エドモントンがその光の筋を見ていると筋は5本あり、今や大陸と空とを繋いでいる様に見えた。
彼は時間を忘れて窓からずっとその光の筋を見ていた。
同じ頃、アルバートンの街でローズの後に領主となったマーサも大陸の中央から天に伸びる光の筋を見ていた。いや、マーサだけではない、アルバートンに住んでいるほとんどの住民がその光を見ていた。
「お姉さん、ありがとう」
マーサは光に向かって祈りを捧げる。
エドモントン達が住んでいる島、スタンピードを逃れたアルバートンの街、それ以外にも魔獣のスタンピードから生き延びる事ができた人たちがこの大陸にはいた。
彼らは山の中の小さな村の住人だったり、沖合の小さな島に逃げていた人たちであったりする。そんな人たちも大陸中のあちこちの場所から天に伸びている光の筋を見ていた。
光の筋は丸2日もの間、大陸の中央部から天に向かって伸び続けたままだった。2日後の午後、光が消えたと思うと今度は空から光の破片の様なものが花びらの様にキラキラと輝きながら地上に落ちてきた。大陸中、いやこの世界に光の破片が降り注いだ。
生き延びた人たちはその幻想的な風景を見ていたが、その光の破片を浴びた彼らは一体何が起こったのかを知ることとなる。
『5人の勇気ある若者達の活躍でこの世界から魔獣が消えました。世界に安寧が訪れたのです。皆は平和に感謝すると同時に、この世界の復興に尽くした5名の事をずっと忘れてはなりません』
魔獣がいなくなった。
皆は平和に感謝すると同時に世界を救った5人の勇者は誰なのかと推測する。
しばらくすると、大陸南西部にあるアルバートンという街の領主が勇者5人の名前を紹介し、彼らがこの世界のために何をしたのかを人々に発表した。
生き延びた人たちは5人の勇者に感謝をし、あちこちで勇者を讃える像が作られた。
5年後、勇者の最後の決戦となった場所が特定され、山の奥にあるその広場は聖域となり、そこに5人の石像が建てられた。アルバートンの街の人たちは5人と面識があり、彼ら5人を忠実に再現した。石像の下には名前が彫ってある。
盾を持っている男性はスミス。
剣を持っている男性はラッセル。
弓を持っている女性はレミーナ。
杖を持っている女性はローズ。
杖を持っている男性はカイル。
石像の5人は笑った表情をしていた。
聖域となった公園、その中央にあるそれぞれの石像の下にはいつも花や食べ物が供えられていて人が絶える事がない。
今日も綺麗に整備された道を歩いて聖域を訪ねる人の列ができていた。
〜 どこかの場所 〜
「まさか黒幕を倒した後の世界をこんな場所から見るとはね」
「でもカイルが言っていた様にちゃんと見える。皆幸せそう」
5人は皆それまで着ていたローブや戦闘服ではなく全員が白い衣装を身につけている。もちろん武器も持っていない。
「そろそろ行こうか」
カイルの声で全員がその場から立ち上がると白い道を歩く。
彼らが歩いているその先には真っ白で大きな宮殿があり、その入り口の階段の上に彼らと同じ白の衣装を来ている女性が立って彼らを待っていた。
近づくと女性が頭を下げてから言った。
「女神様がお待ちです」
【完】
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
花屋敷




