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スタンピードの後  作者: 花屋敷


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第23話


 その後も街道を北上しながら廃墟を見つけては教会で祈りを捧げる5人。廃墟に魔獣や獣人がいることもあるが、問題なく討伐をしている。ただその数は常に10体を越えるまで増えていた。


「この街にも11体いたか。これ以上増えるか、強いのが出てくるとやっかいだ」


 たった今11体目、最後の魔獣を片手剣で倒したラッセル。


「でも討伐の時間はかなり早くなった。後ろから見ているけどチームワークがよくなってるよ」


 街の中をチェックした5人は廃墟の村にある教会で祈りを捧げた。


『黒い光が木々を覆う前に5つの光でそれを包みましょう』


 啓示が終わってしばらくすると全員がゆっくりと立ち上がった。


「聞いたな?」


 ラッセルが皆を見て言った。


「ええ。黒い光って初めて聞いた」


「黒幕の事だろうな」


 ラッセルとレミーナのやりとりを聞いている3人。とりあえず教会の前の階段に腰を下ろす。そこなら周囲が見えるので敵がやってきてもすぐに見つけることができる。ローズがアイテムボックスから冷たいジュースを取り出して5人に配る。


「カイル先生の考えは?」


 ジュースを一口飲んだラッセルが言うと他の4人もカイルに顔を向ける。


「レミーナの言う通り、黒い光が俺たちで言うところの黒幕なのは間違いない。そして木々を覆うと言っているからそれは森というか山の中にあるんだろう。そこから考えるともうすぐ歩けば、この街道から右手、山の方に伸びている道があるかもしれない。なければ道がない場所を奥に進んで行ったらどうかな」


「まだ先という可能性は?」


「ローズ、その可能性は低いんじゃないかな。今までの啓示は、啓示があった場所が起点になっていた。もっと先で森か山に入るのなら、その先に一番近い廃墟で言うはずなんだ。だから俺たちはこの廃墟を出ると街道から右に伸びている道を探しながら進む。もし、次の廃墟まで森、山に入る道がなければ次の廃墟ので女神に祈る。そこで何もなければその街から山に入る」


 カイルが言った言葉を全員が自分たちの中で消化する。ラッセルは当初からカイルと動いているので女神の啓示についてはカイルと同じ考えだ。レミーナとスミスは街で待っているとカイルとラッセルがやってきた時にその経緯を聞いている。ローズは一番最後にメンバーに加わったが、彼女もカイルが言っている事についてはそちらの方が正しいと感じていた。


「そうね。今のカイルの話し聞くと、私もその通りだと思った」


「決まったな」


 ラッセルが言った。


 廃墟の街の教会の前で今後の方針について打ち合わせをする。作戦担当、参謀のカイルが自分の考えを皆に説明する。


「山の中に入ると常に周囲に注意しながら進もう。龍を退治した時を思い出してくれ。そしてあの時よりも俺たちはずっと強くなっている。それを忘れないでおこう。たいていの事態には対応できるぞ」


 自分たちが以前よりも強くなっているという自覚があるので皆が頷いている。


「明日もう一度祈りを捧げよう。もし途中から森の中に入っていくとなると、この先教会がないかもしれない」


「なるほど。黒幕討伐の勝利祈願だな」


 ラッセルが言った。

 カイルが言う通り、街道から外れて森の中、山の中に入っていくと街がないかもしれない。しっかりと女神にお祈りを捧げる事が大事だと皆考えていた。


「まだ街がないと決まった訳じゃないけどな。でも勝利祈願はしておこう」


「そうしよう」


 その夜はローズがアイテムボックスにある新鮮な料理を取り出して教会の前に置いたテーブルの上に並べる。


「これから先はまともに食事ができないかもしれないでしょ?今日は豪勢に行きましょ」


「「賛成」」


「料理はまだ残ってるの?」


「まだあるわよ。足りなかったら言ってね」


 移動中はで節約をしてきたこともあり、まだ1週間以上分の新鮮な飲み物や食料がアイテムボックスの中に残っている。皆美味しそうに食事を食べていた。


「魔獣の肉も悪くはないんだけど、やっぱりこっちの方が上手い」


「当たり前だろう。これがあるって分かっているから途中で果実や魔獣の肉の食事でも耐えられるんだよな」


「皆んな、薬品類は足りてる?アイテムボックスの中にまだあるわよ」


 ローズが言うと、スミスとラッセルがポーションが欲しいと言った。ポーション類はいくら持っていてもいいアイテムだし、戦闘中にアイテムボックスから取り出す時間はない。2人はすぐに取り出せる様にあちこちのポケットにポーションを入れ、残りは自分たちの魔法袋の中に入れた。


「カイルは?」


「まだ残っている。俺は今のところほとんどポーションを使っていないから大丈夫だ。それよりもレミーナも持っていた方がいいぞ」


「そうね。ローズ、まだ余ってる?」


「うん、余ってるよ」


 ローズから受け取ったポーションを魔法袋に収納したレミーナ。


「いよいよなのね」


「どれくらいの移動になるかは分からないが、いよいよと言えばいよいよだ。俺たちが女神から授かった能力はこの黒幕を倒すためのものだ。精一杯やろう」


 ラッセルが言った。


 黒幕はどんな姿をしているのか。本当に倒せるのか。そして倒したらこの世界はどうなるのか。ここにいる誰もがその答えを持ち合わせていない。わかっていることは自分たちはこの世界を変えるために神から能力を授かったと言う事だけだ。


「黒幕を倒さなければこの世界はずっとこのままだ。俺たちが挑戦することで何かが変わる。そう信じて全力でやるしかないよ」


 そう言ったカイル。


「私たち、黒幕を倒した後の世界を見ることができるのかな」


 食事をしているとレミーナが言った。食事をしている他のメンバー4人の動きが止まった。


 ここにいる5人は口にはしないが、皆それを考えていた。どんな理由、背景があるのかは知らないが、ここにいる5人は女神から特別な能力を授かった。それはこの世界にスタンピードを発生させた黒幕、女神は黒い光と言っているが、それを倒すことを条件にして授かったものだ。黒い光を倒した後、この世界に平和は戻るだろう。ただその時自分たちはどこにいるのだろう。授かった能力はどうなるのだろう。



 そして世界は本当に変わるのだろうか。



「レミーナは俺たちが黒幕を倒した後の世界を見てみたいかい?」


 普段よりもゆっくりとした、落ち着いた口調でカイルが聞いた。


「う〜ん、どうかな。見ることが出来るのなら見てみたい。でもどうしてもって程じゃない。みんなはどうなの?」


「俺は姉貴と一緒だ。見られなくても構わないと思っている」


「私も同じ。この能力を与えてくれた女神様にお任せするわ」


 ローズが言うと皆の表情が和む。


「俺は見られなくてもいい。とにかく黒幕をぶっ倒した。それだけだ」


 そう言ったラッセルがカイルはどうなんだ?と聞いてきた。



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