壊れたばけものたちの楽園
かなしいばけもの
こわいばけもの
つらいばけもの
くるしいばけもの
そんなものたちが、どうか安らげる場所を得られますように。
心の無かった私に、いつしか芽生えたのが、そんな気持ち。
大切で、かけがえのない、宝物。
それは、多くのばけものたちと触れ合ううちに、育った願い。
たくさんの者達に助けてもらいながら、生きてこられた生の結果。
だから私は、ばけもの達が過ごせる楽園を作ろうと決めた。
生まれたときから死ぬまで。
ばけもの達に安らげる時間はない。
この世界にとってばけものは、忌むべき存在だから。
楽しむ事も、安らぐ事も、生きる事すら許されない。
けれど、私が触れ合ってきたばけもの達には心がある。
何もなかった私に心ができるといいねと寄り添ってくれた者達がいる。
皆、排斥されていなくなってしまったけれど、彼らを忘れたくないから、忘れないために、私は楽園を作りたい。
きっと大きな困難が伴うだろうと予想した。
そしてその通りになった。
ばけもではない者達は、楽園の建造を拒絶した。
けれど私は何度も彼らと話し合い、ばけものもあなたたちと同じなのだと言い続けた。
その努力のかいあって、とうとう明日ばけものの楽園が完成する。
人間と違う体でも、能力を持っていても、生きやすい居場所ができる。
きっととても素敵な場所になるだろう。
私は嬉しくてたまらなかった。
次の日を迎えるまでは。
楽園は無残に壊されてしまった。
夢を見ていたばけもの達と一緒に。
「ばけものを排除するなら、だまして一か所にあつめて、油断させた方が効率がいいからな」
楽園を壊した者はそう言って笑っていた。
だから生き残った私は決意するしかない。
今度こそ、ばけもの達の楽園を間違えずに作ろうと。
その楽園に、ばけものではない者達など必要ない。




