【短編】ケシレース
某漫画雑誌にでも持ち込んでみたいネタでしたが、作者には画力がなかったのでここでぶちまげる。
「第94回ケシレースを制した栄えあるレイサーは、白木白夜選手に決まりました!」
偶然通りかかったテレビで見たその光景は、今でも鮮明に覚えている。
俺くらいの小学生が、優勝の壇上に登るその姿を。
華麗なゴーケシ捌きでサーキットを滑走し、大人達をぶっちぎってゴールする瞬間を。
どんなF1レーサーよりもぶっちぎりにエキサイティングでぶっちぎりにカッコいい職業。
それが『ケシレイサー』。
そんな存在に憧れてなりたくて、けれども親が「サッカー選手になれ」とか煩くて夢を挫折するしかなかった俺だったけど。
「すみません! ごめんなさい! 申し訳ありませんっした!」
今それどころじゃない。ぶっちぎりで大ピンチだ。
「鬼物契君、ですね……あなたが一体何をしたか、分かっておりますか?」
丁寧そうでいて威圧感が半端ない、スクエア型の眼鏡をかけて突き刺すようなを眼光を放つ大人の人。怖すぎる。
「ハイ、白夜くんの選手生命を傷つけてしまったことは、海よりも深く反省しております」
「はぁ……まさかレース前日にこんなことになるとは。どうします? 白夜様」
憧れの白木白夜選手の前で病室の地面を擦り削るほど土下座している俺。いやいやどうしてこうなったぁ。
友達と一緒に公園でサッカーの練習してたら、俺が蹴ったボールが運悪く角材を倒して、運悪く通りかかった白夜くんに直撃、運悪く右腕を骨折する大怪我。
どれもこれも俺の不注意が原因なんだけど、運悪すぎじゃね? すっげぇ数の警察も来たし、友達もすっげぇ正直に俺のせいにしてきたし。
「まあまあマネージャーさん、契くんをそんなに責めないであげて」
白いベッドの上で上体を起こしたのは、腕にギプスを巻いているあの白木白夜。夢にまで見た本人だぁ。
下手なアイドルや芸人よりも有名で、俺もサイン100枚くらい貰いたい。
そんなケシレース全日本チャンプ・白夜くんとこんな形で会話されるなんて、全ッ然喜べねぇ……。
そして、マネージャーとかいうのが俺のことを一瞬だけ睨みつけるような目線を向けた後。
「まあ、仕方がありませんね。子供がやったことですし、あなたにはお咎めなしで済ませましょう」
お? 意外と寛大な措置?
「なので、あなたのご両親、大人であるお父様お母様に慰謝料その他諸々およそ数百万を請求いたすまでです」
「ぜんぜん優しくなかったぁーー!」
数百……万ってやべぇ。
ポケモノとかスープラトンのようなゲームソフト2本で1万円だから、それが100組以上も買えるお金がたった一回のあやまちで消えるということかよ。
俺、死んだ。
人生終了した。
「ねえ契くん、その鞄にかけているそれ、ただの消しゴムじゃないよね」
ふと白夜くんがそう指したのは、ケシレースに出場する『レイサー』が乗る『ゴーケシ』、それのミニチュア化したキーホルダー。
「やっぱ白夜……くんなら一発で分かっちまうか」
「ふふっ、分かるさ。契くんってそんなにケシレースが好きなんだね」
「ああそうだぜ! 何つったって、ケシレースこそぶっちぎりで最高の競技だからな! ひえっ!?」
マネージャーが言葉に表せないくらい凄い形相になって思わずビビっちまった。
そりゃファンどころか慰謝料請求される立場が馴れ馴れしけりゃムカついて仕方なかったが、これじゃ熱血さが取り柄の俺の立つ瀬がねぇよ……はい。
「まあまあマネージャーさん落ち着いて。いいこと思いついたんだけどさ、今度のケシレースのグランプリ、ボクの代理として契くんが出てみるっていうのはどうかな」
「な!? は!?」
あの憧れのケシレイサーに! じゃなくて、いくら俺でもこんなに話が美味すぎると逆に困惑するんだが。
「その優勝賞金が1億円なんだよ。だから優勝すれば慰謝料は帳消し、むしろ慰謝料以上の差し引き諸々で契くんも全額貰っちゃっていいし」
「なるほど、どうせ払わせるなら手っ取り早く一括で済む方がよろしいでしょう」
なんか話の進み方が手っ取り早いどころかぶっ飛び早くないかこれ。
「ただしあくまでボク名義、つまり契くんらボクのフリということで参加してもらうことを条件にしてもらうけどね」
「って、それって成りすませってことかよ!? なんかルール的にヤバいんじゃ……? 俺だけじゃなくて白夜くんの方も……」
「大丈夫大丈夫! レーシングスーツも着るしヘルメットも被るから、下手なことしなければバレないバレない」
優男オーラしてるくせにぶっちぎりで大胆なこと言ってくるなこの人。
まあ、そこは白夜くんのこれまで疾走してきたケシレースでも同じことだったか。
「そうと決まれば、手続きその他諸々はマネージャーたるわたくしにお任せくださいませ」
「それじゃあ遠慮なくお願いしたいけど、何とかなれるよね」
「ご心配には及びません。幸い、まだ辞退の連絡は入れてはございません故、白夜様が奇跡的に無傷だったということにすれば可能であるかと」
「うんうん、これならケシレースに喜んで送り出せるよ契くん。まあもし嫌だっていうなら契くんの両親が返済の代理人になるだけだしね」
爽やかな顔して猛烈に毒吐いてくるなぁ。
腹の中に悪魔を飼ってなきゃさらりとも言えねぇだろこれ。
けれども、文字通り俺に選択の余地はない。
それに、どんな形であれ、あの憧れのケシレイサーに一度だけでもなれるってんなら願ったりじゃねえか。
「やります! 俺、やらせて下さい!」
「契くん、違うでしょ。一人のケシレイサーがケシレースに出ると決めたからには、もうやるかやらないかの話じゃない」
ああ、ケシレースマニアの俺としたことがすっぽり忘れてたぜ。
「俺は、ケシレースで絶対に優勝してみせる!」
▽▽▽
観客席からの歓声と熱気で汗が躍るように湧き出る。
テレビで見る時とは全然違う。サーキットに立つ選手って、こんな圧迫感あるところで競い合っていたなんて思わなかったぞ。
『契くん。今日はマネージャーたるわたくしが全力をもってクルーからあなたを指示、補助致します。予定を狂わされた恨みはあれど、今だけは水に流して粛々と死力を尽くすことはご了承下さいませ』
そう釘刺しながらも俺のクルーチーフとして通信しているマネージャーさん。
この人も、テレビじゃ地味でも、形は違えど担当レイサーの優勝を期待していることに変わりない。
つまり、後ろの準備は万端。
俺も前日にケシレースシミュレートを使って急ごしらえだが最低限の動作は体に染み込ませた。
俺はただ、レイサー達のいる前だけ見ていられるってことだ。
「ソイヤッ! 打倒白夜を掲げて幾星霜、今日こそは容赦なく優勝を頂きますぞ」
そう暑苦しく息巻いているのは、大柄な体格が特徴なベテランケシレイサー黒隅諾。36歳。
漆黒のゴーケシを乗りこなす、たびたび優勝候補の一角としても注目されている有名人だ。
「ショウ機はワシにあり! 練りに練ったワシのゴーケシさばきで、ケツから先ッチョまで追い抜いてやりまショ!」
次に、中盤からの疲れ知らずな追い上げに定評のある、肥満だが周到なケシレイサー練馬纏丸。69歳。
多くのレイサーが正六面体に角張ったゴーケシに乗るのが基本でありながら、大玉転がしのように丸く弾力のあるゴーケシを駆使する型破りなレイサーだ。
それ以外にも、テレビで一度は見たことのある11人の錚々たるレイサーが立ち並ぶ。
まあそいつらよりも個人的な事情的にヤバいのは……。
「ねえ少年、可愛い弟とのケシレース、今朝からずっと楽しみにしてたんだけど」
白木白夢。なんと白夜くんの実の姉までプロのケシレイサーだ。ちなみに俺より3歳年上の15歳。
当然だが俺が代理人として出場していることは事前に把握している。
俺が、この人の弟を傷物にしたことまで。
「ええっと、その節は本当にすみませんでした……」
「いいえ気にしないで。あんな弟の負傷なんて、ただ弟が不詳なだけ、なんちゃって」
ダジャレ? もしやこの人なりに俺の緊張をほぐしてくれているんだろうか。
それにしても、そのイチゴ色をした匂いつきゴーケシ、頭がクラクラするほどいい匂いだ。
もちろん白夢さん本人のフレグランスも近くで嗅ぐと……って近い近い! あとなんか圧が恐い!
「それで話は変わるけど、素人じゃ無理がある話だけど、もしあんたがあたしを追い抜かしてゴールでもしたら……」
「したら……?」
「あんたが白夜じゃないってこと、この会場にいるみんなにコクっちゃうぞ♡」
詰んでねこれ?
優勝しなけりゃ終わり、でも優勝しても終わりやんけ(口調崩壊)。
白夜一家ってこういう腹黒い奴ばっかなのか?
「ん? ななな何だ!?」
その時、サーキット全体が鈍い音を鳴らし、どんどん傾いてゆくせいでビックリした。
一瞬地震とも錯覚してしまうほどの揺れだった、けれどもまずはこれがなきゃレースは始まらない。
「う、うおおおっ! これが『ケシサーキット・ダイアゴナル』! テレビで見たやつ!」
「白夜のやつ、何で異様に興奮してんだ? いつものことなのに」
「え、いや気合い入れてんだよ気合い!」
そうだった、俺は白夜ってことになってんだった。けど平衡感覚がズレるこの体験は初めてなんだから仕方ないだろ。
そうとも、ゴーケシにタイヤなど付いているわけがないんで、ましてや平面じゃゴーケシは進めない。
だから今起こったような感じに、大がかりに斜面になったサーキットを『滑走』してゆくのが、ケシレースの全体的な流れだからだ。
『さあ、これより始まりますは、第95回ケシレースグランプリ、その頂上決戦! ルールはお馴染み、直線のコースを3周し、そしてゴールラインをきったレイサーから順位が確定します』
マイクマンが意気揚々と解説する度に、観客達は「ワー!」と盛り上がる。なんか緊張してきた……。
『いかなるケシレースであれ、スタートはもちろんこの合図! 位置につきまして……滑走開始!』
その号令と共に、周りのケシレイサー達がダッシュし、助走の勢いのままゴーケシの上に飛び乗ってゆく。
てかシミュレートの相手と機敏さがまるで違いすぎだろこれ。
「うおっ! 出遅れた!」
「スタートダッシュ失敗たぁ、白夜らしくねぇなぁ」
ほんと再確認させてくれるぜ。
ただ優勝するだけじゃねえ、しくじるほど身バレの危機だ。
気を取り直して、ケシレースのスタートダッシュをおさらいがてら実践しなきゃな。
基本的にケシレイサーは停止してる時以外はコースに足をつけてはいけない。
だから、ひと蹴りだけで助走をつけつつゴーケシの上に飛び乗らなきゃならない。
「頼むぜ俺のゴーケシ……白夜のだけど、今回は俺を優勝まで走らせてくれよな」
そう信頼したのは、縦80センチ横190センチ高さ50センチで、雪のように真っ白く着飾らないオーソドックスなゴーケシ。
右足で地面を蹴って押し出しつつ、すかさず飛び乗る。
そしたら『面』にならないよう『辺』を地面に立てるようにすれば……おおっいけた! 結構速く滑走するんだな。
とりあえず最初の関門はクリアってとこだ。
「ひゃっほーい!」
強い風が当たるこの感触、これがまあ爽快だ。
ケシレースが何十年も脈々と続くメジャーな競技になるわけだぜ。
ちなみにケシレイサーのシューズの底は、外そうと思わなければ常にゴーケシにひっつくようになっているので転落の心配は殆どない。けれども。
「吹っ飛ばされやがれええ!」
「なんのこれしきいいい!」
前にいるケシレイサー達がゴーケシの両端を掴み、サーフボードのように、独楽回しのように一回転させて並走するライバルごとゴーケシをぶっ飛ばそうと狙っていた。
そう、これはただのレースにあらず。
『クラッシュケシバトル』というしのぎの削り合いの要素もある。
誰もが追い抜くため、順位を守るために必死だ。
体当たりし、当たり負けしたレイサーからどんどん後塵を拝むことになる。
「おし、ラッキー!」
なんか不覚だが、最下位だったおかげでターゲットにされなかった俺は5着まで浮上した。
結果的にカッコ悪いチキンプレイになっちまったが、こっからだぜこっから。
「へぇ、やるじゃない、少年」
そうして4着として隣に並んだのは、甘酸っぱいイチゴの香り立つ白夜の姉。
え、まさか俺の記念すべき初のクラッシュケシバトルの相手って、そのお姉さんってことかよ。
うわぁ、そりゃない、謎の手汗がしてきた。
せめて相手が男だったら遠慮なくぶっ倒す気でぶつかれたんだが。
「お姉さんとの押しくらまんじゅう、期待しちゃった? でもごめんね、あたしってタックルみたいな野蛮なことは嫌いなの」
「へ? というと?」
俺が訊いたが早いが、白夜姉のゴーケシが瞬く間に加速し。
「こういうことよ! さあ、“あたしの後ろに着いてきなさい”!」
「なっ!?」
ケシレイサーの挑戦文句……俺に対して生で言われるなんて、なんつうか燃えてくるぜ。
そうとも、「後ろに着いてこい」というようなあのセリフこそ、トップを目指すケシレイサーとして屈辱の言葉であり、挑発に他ならない。
どのみち優勝するには越えなきゃいけない壁の一つなわけだし、その挑戦状に乗らなきゃ男がすたる!
「そんなにあたしのお尻ばっかり見ていたいのぉ? そういうやらしい視線って、女の子にはお見通しよ? しょ・う・ね・ん」
とはいうものの、あいつクソ速ぇ。
最高速を発揮できる角度、89度の平行スレスレにゴーケシを傾けても余裕綽々で煽っていやがる。
ゴーケシのスピードは、ゴーケシそのものの傾け具合で左右される。
“垂直”にしすぎれば風の抵抗で速度は落ちるし、かといって“平行”つまりスノーボードのつもりで地面にピッタリくっつければ、それはそれで摩擦がどうたらでブレーキになっちまうとか。
「あの白夜の姉なだけあるぜ……こうなりゃ俺も!」
ゴーケシの重心を下げて89度、だよな。
まあ正確な角度なんか感覚や目視じゃ分かるわけないが、とにかくこれでスピードは大幅にブーストされたはず。
速すぎてコントロールどころじゃなくなったが、多少無理しなきゃ優勝なんて夢のまた夢だ。
そしてこのままの勢いを維持して滑走していると。
「なんじゃこりゃ! でけぇ!」
やっぱ映像とこの目じゃ迫力がダンチだぜ、このラップ最後のギミックはよ。
サーキット最下部で大口開いて往く道を分断しているのは、紫の螺旋が奥へと吸い込むようにうねる『ワームホール』。
レイサーはそこにゴーケシごと飛び込めば、サーキット最上部、言い換えればゴールラインの手前にワープをするようになっている。
まああれに飛び込むくらいなら、膝を曲げてそこに力を入れて、バネの如くジャンプすれば楽勝でいける。
とうっ!
「オエッ……んっん!」
あぁこれやばい、ワープされる瞬間少しだけ酔うやつだわ。
しかも飛んだということは、ワープ先で落下するということだった。
迂闊にも一瞬酔ったせいでボケっとしてた。
着地の体勢取りを思っきし忘れたがために……。
「ほげっ! いてて……」
サーキットの地面にヘルメットから派手に激突。
ぶつかった時の衝撃が半端じゃない。ヘルメットは頑丈なんで痛くはないが、でも痛い。
『ちょっと契さん停止しちゃってますよ! 早くレースに戻って!』
「げ! ヤバイヤバイ」
ゴーケシが速けりゃ展開も早い。
まごついてる隙に次々と追い抜くケシレイサー達と、最下位に舞い戻ってしまった俺。
まあいいさ、ケシレースは過程はどうあれ最後に1着になったレイサーの優勝。2周目こそは挽回してやるってな。
さあ、コースを蹴ってリスタートダッシュ。
「待ってなレイサー共! ってあれ、レイサーは?」
ライバルレイサーで犇めいているはずの前方の光景だと思ったが、殆ど神隠しにでもあったかのように広々としている。
そこに、無線からの通信がガーガー鳴り出した。
『契君ストップです! 早くピットに戻って下さい! もう手遅れですけれども……』
「あっ、夢中になりすぎちまったぁ……」
そうとも、ゴーケシの材質とはずばり、滑りやすくした“消しゴム”。
それが滑走してるということは、その分だけ削れて表面積が減っているということ。
スタートよりも小さくなった俺のゴーケシの表面積は、残りおよそ60%とデータ解析したマネージャーさんから追加で知らされた。
だからこそ時間を犠牲にしてでもピットインして、担当のクルーチーフからゴーケシの修復をしなければならなかったんだがなぁ。
『はぁ……いいですか、最終ラップ前には必ずピットに戻るのですよ』
「すまんマネージャー。だからこのセカンドラップ、信じてくれよな!」
ゴーケシの肝こそ、クルーチーフとの信頼関係。それを俺なりに誓った。
ただし修復というよく分からんがデリケートな作業に携われるのは、クルーチーフたったの1人だけ。
俺は……というか白夜くんの場合はあのマネージャーなんだが、たとえば白木白夢の場合、ピットクルーは双子の姉である白木白昼が修復を一手に引き受ける(姉妹揃って敵に回る白夜くんって一体……)。
けれども、俺は慌てるあまりピットレーンを通りすぎちまった。
逆走は許されない。というか滑走するしかない以上まず出来ないし。
そして……ゴーケシが削りながら滑走しているということは。
「悪路か!」
そう、ゴーケシがその身を削りながら通った跡を示す『ゴーケシ・カス』が2周目以降のサーキット中に散らばっているということ。
これがケシレース中盤のキツくなるポイント。
だいたい木の枝くらいの大きさで固いものがあちこち撒かれているって感じだが、それでもその上を無理矢理通ればバランスを崩しかねない。
こんな変幻自在のゲーム性こそケシレースの醍醐味。
上手く躱して突き進むしかない。
「ちょっとやそっとの障害物くらい、乗り越えてやるぜ!」
難しいことを要求されるほど気合いが入ってくるタチでな。
というかむしろ、ファーストラップよりも走りやすいまである。
怪我の功名ってやつか、ライバルレイサーの大半は未だにピットイン中だからだ。
そのおかげで、俺はなんと3位を遠くに突き放し一気に2位にまで浮上していたのだ。
逆に言えば、現在1位で独走中のレイサーはそれだけただ者ではないことを意味する。
いや、俺にはそいつが誰かパターンとしてよく知ってるじゃねえか。
「練馬、纏丸か! やっぱ中盤といったらお前しかいねぇよなぁ!」
「ショーショショショ! 練り焦りましたかぁ? 白木白夜」
そう奇っ怪な笑い方をしたこいつの乗る丸いゴーケシ。いや、なんだ、1周目の時よりデカいぞ!?
いざ目にしてみると、中盤最強の名はダテじゃないってことか。
練馬纏丸の乗る丸いゴーケシは、いわゆる練り消しゴムと呼ばれる材質。
なのでゴーケシカスをものともしないどころか、むしろ吸収して体積を増やすという反則じみた性能をもつ。
だからただ1人ピットインしなかったか。だがむしろ――。
「ゾクゾクしてきたぜ。お前1人をぶっちぎるだけで、1位でリードしたままピットインしてやれるってことなんだよな!」
「あらま、なんて生意気な小僧でショウ。その度胸に敬意を表し、練り練りと轢き潰してしまいまショ!」
「んだって!?」
あっと、今こいつとだけはクラッシュケシバトルをするのはまずい、非常にまずい!
ただでさえ相手のゴーケシが巨大化してるってのに、半分くらい縮んでるこっちのゴーケシなんて大雑把に一蹴されるだけだし。
だったら、小回りを活かして躱しまくるだけだ。
「ぐぬぬ、ちょこまかとちょこざいなぁ……」
「へっへっへ、キャラ忘れてるんじゃねぇでショ?」
不幸中の幸いってやつか。表面積が減ってるおかげで避けやすくはなっているぞ。
このままゴーケシ・カスにだけ注意しつつ、のらりくらりとやり過ごして順位をキープ。
そんでもって、セカンドラップ終了が近いことを意味するワームホールにそのまんま飛び込む。
大丈夫だ、問題ねぇ。とにかく気をつけさえすりゃ、酔わずに着地は決められる。
同じミスは二度としねぇからな。
「これが駆け引きの妙ですよ。今でショ!」
「やばっ、ぐわああああッ!」
まずい、やられた!
ワームホール突入と同時に、俺の意識が着地に割かれる瞬間を、ゴーケシが地面から離れてコントロールしづらくなるところを虎視眈々と狙っていたってのか。
まんまと突き飛ばされて、地面より先に壁に衝突してしまった。
今回はゴーケシを盾にして俺へのダメージを和らげたのは御の字か。いや状況としては全然良くねぇよ。
「クソッ……」
「練りが鈍りましたねぇ白夜。では、さらばでショ!」
またこのパターンかよぉ。
クラッシュスピンして、サーキットの端まで追いやられるこの失敗は。
「ヘイヘイヘイ白夜よぉ! なんだかキレがねぇんじゃないのぉ?」
「この程度だったかぁ白夜!」
「なにか変ですな。体調が優れないなら、無理せず棄権するのですぞ?」
「少年……」
続々と俺を追い抜かすレイサー達。
立て直しをはかるのに手間取っている間に、もう全員が俺を追い抜かしちった。
しかも今の俺には、ファーストラップのツケとしてもう一つの課題が立ち塞がっている。
『契君、至急ピットインして下さい』
毅然としてるようでいて、哀れんでいるように宣告するマネージャーさん。
そうだ。今や俺の乗るゴーケシは、俺ん家の風呂に入れるくらいは随分と小さくなっている。
すぐにゴーケシを修復しなけりゃ……今度こそはピットインしなきゃ、可能性そのものが潰えちまう。
なぜならゴーケシの全体が削りきって物言わぬゴーケシ・カスだけとなった瞬間『機体消失』となってケシレース続行不能、失格になるからだ。
『兎にも角にも最後まで走りきることを優先しましょう。失格になるよりかは遥かにマシです』
「すまん、あんたの腕前は確かだが、それだけは出来ない相談だ」
そう断った。
ゴーケシの表面積は24%を下回っている、1周毎に1/3以上削れている。
このまま走れば単純計算じゃファイナルラップ完走までまず持たないだろうが、それでも断った。
「ここでピットインしたら、それこそ優勝が届かなくなっちまう。時間はコンマ1秒でどんどん貴重になってんだよ」
『まだ優勝を諦めてないのですか!? あなたは素人なのですよ! もう十分よくやりました。頑張りに免じて慰謝料の件は融通を利かせますから……』
「いいや、言い返すが俺はもう素人じゃねえ――」
そうだ、俺は自信がついた。
今やこれまでの俺とは違い、知識に加えて経験が身についているからこその自信。
「――なんつったって、2週も滑走しちまったからな。そうだろ、マネージャーさん!」
『はっ、はい!?』
まだいける。いくらでもいける。
こんな逆境なのに俺の心は燃えに燃えまくってるのは、やっぱ俺も“成れた”んだな。
何時間もテレビにかじりついては中継を見返してきただけのケシレースマニアのメンタルは、ここで昔話に変えてやる。
「俺はもう代理でも成りすましでもねぇ、正真正銘の『ケシレイサー』だ! いくぞゴーケシ! ぶっちぎりの一か八かを始めるぜ!」
ピットレーンを抜き去って、運命のファイナルラップに突入。
だが俺だって、元ケシレースマニアとして無策なわけじゃない。
『無茶な!? ぶっつけ本番でその“走法”は……!』
「ぶっつけ本番? 違う、ぶっちぎり本番だあああっ!」
俺がやったのは、プロのケシレイサーですら音を上げるほどの難度を誇る走法。
その名も『角立ち走法』。
ゴーケシを“面”でも“辺”でもなく“角”で立たせて、レイサーは脚の力を抜きすぎず入れすぎず、斜め45度の絶妙な角度をキープすることで成り立つ高等技術。
見よう見真似だったが辛うじて成功!
心もとないゴーケシだったが、これによりコースに触れる面積を極限まで減らしつつスピードまで出せて一石二鳥!
『あああ危ない! バランスが崩れますっ!』
「あんま騒ぐな、集中してんだ!」
ただその代償としてカーブ力はもちろん、重心も取りづらくなるから、2周目よりも多く落ちているゴーケシ・カスを一度でも踏めば確実に転倒、タイムロスは免れない。
しかもだ、滑走するほど角は削れて結局はすぐに平面となってゆく。
大仰に解説しちまったが、角立ち滑走のメリットはほんの数秒が限度ってとこだ。
「ま、数秒が一度だけの話ならな」
柄にもないことを言うが、角立ち滑走ってのは理論上は無限に続けられる。
だって、元からゴーケシの『角』は“8つ”あるんだぜ?
しかも1つの角を削るということは、また新しい角が3つも生まれるということだ。
図工や算数の勉強を真面目にやっていたおかげだ救われたぜ。
ただしだ。角を変えるためにゴーケシから降りて一旦停止させるなんて、それこそ本末転倒のタイムロス。
「ほっ! あらよっと!」
だから、滑走したままゴーケシごとジャンプして、別の角へと変えながら着地していくしかない。
当然、着地のバランス取りに失敗したら終わり。しかも瞬きするよりも早い間隔でそれを何度も、ゴールするまで矢継ぎ早に繰り返さなきゃならない。
流石は最高難度の走法、休めねぇ。
でも上等だよ。
「な、なんだ白夜のやつ!? サーカスでもあそこまでやるか!?」
「スピード馬鹿の白夜のくせに、あんなことまでできるなんて聞いてねぇよ!」
「なんつーか、別人みてぇな感じだ……」
「ショーッ!? これだから子供というのは侮りたくても侮れないでショ!」
ヘルメットの下から驚愕の表情が透けて見えるライバル達。
特に纏丸に至ってはファイナルラップでは肥大化しすぎたゴーケシが逆にスピードを落とす以上、簡単に抜かしやすい。
「……へへっ!」
心臓がバクバクする。あぁ、言葉にもならねぇくらい楽しすぎる。
何人ものレイサーをぶっちぎるって感覚は、アドレナリンってやつがビショビショに噴き出すってもんだ。
「なぁにあのゴーケシ捌き! あなた本当に初レースなの!?」
「どうだ白夜の姉さん! 着いてくるどころか、抜かしてやったぜ!」
ついに現在2位の白夢を横からぶっちぎってやったぞ。
そうだな、この腹黒にはひとつ言い返してやりたいことがあったんだ。
「今度は“俺の後ろに着いてきやがれ”!」
「いいね少年! お姉さん、ちょっとだけ惚れちゃったかも!」
なんというか、声だけでドキッとしかけたぜ。
相手の熱い心はよく伝わってんだが、対して俺のさっきまでとは別の熱さはなんなんだ、気持ち悪ぃ。
それはそれとして、後ろから迫り来ているあのいい匂いがどうやっても振り払えない。
それくらいには、あっちも再び追い抜こうと消耗覚悟で本気を出しているんだろうか。
それでも俺は惑わされない。振り向かない。
俺が見据えるべきは、ぶっちぎるべきは、現在1位の黒隅諾と表面積を多く保てている漆黒のゴーケシの背中。
『契君! あなたのゴーケシの表面積は残り10%をきってますよ!』
「大丈夫だ! かなりギリギリだが、こんだけありゃゴールまで持たせられる!」
角立ち滑走に次ぐ角立ち滑走と、俺自身の体力の消耗もサッカーの比じゃないくらいとんでもないことになってるが、1位まであとちょっとの辛抱なんだ。
せめて俺がゴーケシより先に力尽きるわけにはいかねぇ!
「はあっ、はあっ、あとはお前だけだな……」
「うおンッ!? 白夜まさか、よもや最下位からここまで這い上がってくるとは!」
そりゃビビるだろうよ。俺だってブルってる。
この最後の関門を越えつつ逃げ切れば、あの優勝がついに届くんだからな。
「仕方がありませぬ。可哀想ですがこれを食らわせてやりますぞ!」
だが相手だって黙って見ちゃいない。
俺のクラッシュを狙うためにゴーケシをスピンさせようとしたが。
「……ぶつかれないんだろ? 失格は最下位よりも恥だからな」
「してやられましたか。やはり我が宿敵!」
クラッシュバトルをしていいのはあくまでゴーケシ同士のみ。
レイサーへの身体的接触はご法度だ。
だから、ゴーケシの表面積残り6%しかなく片足から片手立ちになってる意味不明な状態の俺はもう妨害はされないと断言していい。
「ならば小細工は無用! ここはスピード勝負と臨みましょうぞ!」
「ああ、望むところだ!」
相手の対等なる挑戦状を受け取り、こうして始まったのは一歩先をも死に物狂いで進むデッドヒート。
だが形勢としては俺の方がモロに不利か。スピードつっても角立ち走法にも気を配らなきゃならねぇし。
「はぁいどうも、うちの弟が毎度お世話になっているわ」
「ぬうぅ、白木白夢ぅ……ここにきて我を牽制しに来るとは!」
いいぞ、まさかのチャンスだ!
あの白木姉が黒隅のピッタリ真後ろにマークしてきたおかげで、相手は全神経を俺だけに集中しきれていないからだ。
だがあの腹黒一家の腹黒姉貴のことだ。
どうせ俺の味方をしてるんじゃなく、俺と黒隅が共倒れになった後で美味しいところを掻っ攫うなんてことも警戒しなきゃいけない。
『残り2%! 本当にバランスよく立ててますねあなた!』
「負けねええええ!」
「ですぞおおおお!」
息も詰まるほど、ゴーケシそのものと一体化したかのような錯覚になるほど、熾烈が極まるデッドヒートを興じ、そして3度目のワームホール。
妨害も、失敗も、酔いもない。
それでもただ1つ、計算違いがあるとするならば――。
「勝った! 白夜よ、君の機体消失は着地と同時に確定しますぞッ!」
あと一歩なのに、あと1メートルちょっとなのに、どう足掻いてもゴーケシをあそこまで持たせられるイメージが……消える。
過信していたか、いや、ゴーケシの気持ちをよく考えず酷使した俺を見放したか。
だけどな、このケシレースの花型こそがゴーケシ。
対して、ケシレースに主役があるとするならば、レイサーの方なんだぜ。
つまり、レイサーだけでもゴールを通過すれば、その時点で順位は確定される。
「ここまでありがとな、ゴーケシ。消えちまう前に休んでくれ」
だから俺が直接やるしかない。
やれる! いける! いけ!
「うおらあああああ!」
跳ぶ。
小石くらいまで削られてるゴーケシを置き去りにして、ゴールラインまであと一歩という短くも長い距離を、ひと跳びで詰める。
なあ、頼むよ、これで最後になっていい。
白夜くん、マネージャーさん、ゴーケシ、最後に俺の背中を押してくれ!
「優勝は我のものですぞおおおおお!」
「ぶっちぎれえええ俺えええええ!!」
――偶然通りかかったテレビで見たその光景は、今でも鮮明に覚えている。
俺くらいの小学生が、優勝の壇上に登るその姿を。
華麗なゴーケシ捌きでサーキットを滑走し、大人達をぶっちぎってゴールする瞬間を。
たった今、俺もケシレイサーとしてその瞬間と感動をリアルに味わえた。
白夜くん、お前はこんなハラハラワクワクが止まらないレースをぶっちぎっていたんだな。
「ど、どうだ……」
グルングルン前転した。全身ボコボコに打ちつけられて気を失いそうだった。
けれども気を取り戻した俺は、祈るような面持ちで振り返ってみれば、期待通りゴールラインを飛び越えていたのだ。
『第95回ケシレースの優勝者は、黒隅諾選手に決まりました!』
最終的にビデオ判定により、俺は黒隅諾のほんの数センチ遅れてゴールしていたことが判明。
理由はシンプル、“相手も最後に同じことをした”からだ。
そんで相手の方が背も腕もでかいから、俺のような子供じゃ逆立ちしても歯が立たない。
模本のよあな判断ミス。飛び込み勝負に持ち込んだ時点で、俺の負けは当たり前になっていたんだ。
ちくしょう。悔しいな、悔しいぜ。
俺と同い年の子供だってのに優勝を掴み取った白夜くんがどんだけ凄かったか、改めて思い知ったよ。
『準優勝おめでとうございます、契くん。初めてにしては、上出来すぎますね』
「慰めてるんじゃねえよマネージャーさん。優勝しろって話だったろ……ごめん」
爺ちゃんが死んだ時以来流さなかったはずの涙が溢れ出る。
けど一生なれないと絶望していたケシレイサー、それに短い間だけでもなれたことは、どんなお金にも代えられない貴重な思い出になれた。
優勝には届かなかったが、これが最後で構わない。
だって俺に二言は……ないから……。
「夢を見させてくれてありがとう、白夜くん。俺、君のために一生かけてお金払って償うよ」
『いいえ、その話なら問題ありませんよ。何故なら準優勝者の賞金は1000万、それでも慰謝料に充てればお釣りを出しながら完済する金額になれるかと』
「お!? そうだったのか!」
なぁんだそれならそうと早く言ってくれれば……じゃないな。
「2位でもいいという思考は3位にもなれない」って、ケシレイサーの間じゃ決まり文句のように共有されているからな。
だから誰もが貪欲に優勝だけを追い求めているんだ。
そんな時、マイクを握ったインタビュアーが俺の前に近づいてくる。
『惜しくも2着となった白夜選手ですが、結果につきまして何か一言ございませんか?』
「一言!?」
しくった! マイクに俺の声が拾われた。
「ゲフンゲフン! 実はちょっと風邪気味で声が枯れてまして……」
「待て、こやつ、本当にあの白夜なのか?」
あ、1位の人からなんか察されてる。
なぜかローアングルになってジロジロ品定めしてきてる。
「打倒白夜を掲げて幾星霜。だがもしもこの子供が白夜でないのなら、この我が優勝トロフィーを受け取るなど到底認められぬわ!」
「ご明察♡」
3着の白夢がいきなり色っぽく割って入ったかと思えば。
「みなさん、よく聞いて下さーい! ここにいる白夜はあたしの弟じゃない、鬼物契くんという別人でーす!」
「ちょ!?」
目立つようにマイクにコクっては、俺のヘルメットをスポッと取り上げたのだ。
そういえばそういう脅しだったっけ……レース直前の時。
あのデッドヒート、白夢を1位にして俺が2位ならセーフだったん? いや順位を操るとかはもはや神の領域だろ。いくら熱血とかでもそこまでは無理。
ていうか。こうなりゃもう順位がどうとか関係なくなっちまってないかこれ。
俺どうなんの? 何罪で逮捕されるの?
「成りすましはいけないことです。けれども並み居るぶっちぎったダークホース、新人ケシレイサーたる彼を、どうか盛大に祝福してあげてはいかがでしょうか!」
「白夢っ! さん……!?」
腹黒ここに極まれりだと思ったところで、いい感じに話をまとめてきやがったぞ。
いくら何でも、こんなんで成りすましが許されるわけが……。
「ウム、君のような素質に満ち溢れた少年と優勝を争えたこと、我も誇りに思いますぞ」
「ショー!? ま、まあ悪くはないレースだったでショ」
「ハハハ! 俺達あんま目立てなかったが、お前をケシレイサーとして認めるぜ!」
「次のケシレースも楽しみにしてるぞ!」
ああ……みんなケシレイサーシップが輝いてるんだなぁ。
レース中は優勝を競うライバル同士でも、レースが終われば国境すら越えてリスペクトし合う仲間。これがいわゆるケシレイサーシップ。
だから俺も、その熱いよりも心地いい温かく寛大な精神に応えなきゃならないな。
「騙してたみたいですんませんでした! けれども、対戦ありがとうございました!」
「全くだね。ケシレースお疲れ様、契くん」
「お前、白夜!?」
お前までわざわざ俺を祝福してくれるのか!
まだ骨折も治ってねぇってのに、無理しやがって。
けれども、ケシレース初挑戦で、ケシレイサーとして駆け出しでしかないこの俺に全日本チャンプのお前が労ってくれるのは、感激の一言しかないぜ……。
最後にしては華々しすぎる……いや。
こんな喜びを味わっちまったら、芽生えていた「最後にしたくない」っていう熱い気持ちが止められなくなるじゃねえかよ!
『では改めまして、準優勝ケシレイサーの契選手に、皆様盛大なる拍手喝采をお送り下さい!』
▽▽▽
俺の出場したレースはテレビに生中継されてたし、後日ネットニュースに取り沙汰されてはバズりにバズった。
でもそれを見た俺のお母さんからは当然の如くこっびどく叱られて……だけど慰謝料返済した後の端金を渡したら目の色変えて褒めちぎり出したのは逆にトラウマになりそうだったぜ。
けどな。俺には憧れが一つだけ減った変わりに、新しい友達が出来たんだ。
「期待の超新星到来か。ボクもうかうかしてられないね、契!」
「白夜……いつかお前とのケシレースでも、ぶっちぎってやるからな!」
俺の夢は、まだ始まったばかりだ!
いっそのことパクりでもいいんで漫画化やゲーム化を希望(ぶっちぎりで無謀)