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多分世界に追われる日々  作者: 高橋 よう
第二章 あなたはぼくで僕は貴方
25/25

第18逃 魔法 咲き乱れ荒れ狂う。

ジャックスとメシアが木に飛び移り、猛スピードでかけ抜けていくのを見て一瞬フリーズする魔物。


「ヴ...グ...グヴァガァァァァアァァァァァァァァァァァァァアアア!!!!!!!!!!!!!!」


1秒遅れて怒号を飛ばす。「ふざけるな」と。



 ____________________魔法 『振動』!

 

 ____________________魔法 『振動』!!

 

 ____________________魔法 『振動』!!!


 ____________________魔法 『振動』!!!!


 ____________________魔法 『振動』!!!!!


魔物を中心に空間が猛スピードで震え、風に乗って崩壊しだす。

樹齢百年は下らないであろう屈強な木々があっけなく崩れ、木の粉が空気中に舞い出す。


ジャックスが方向転換して後ろ向きで跳び直す。

「どうしたぁ ジャックス! しっかり走んないと追いつかれるぞ!」

「慣れてるから大丈夫。それよりもちゃんと魔法を見てないと...」

おそらく魔物と相対するであろうアレスために魔法を学んでおくと言うジャックス。

メシアの心配も最もだが、確かにジャックスのスピードは変わっていない。どころか、メシアに合わせてペースを下げている様子すらある。


第一次『振動』によって開かれた場所から、目に見えた侵食が始まる。

既に100mは跳び進んでいたはずだが、もう半分くらいは侵食される。

「...ッ!? 速い... 速すぎる...! メシア君スピード上げて!」

言いながら森育ちのジャックスはぐんぐんスピードを上げる。後ろ向きで。

「いや、無理ーー!!!」

対して、多少鍛えているといっても森育ちではないメシアは、ここからの長い逃走距離で、いつ体力が尽きるか分からないうえ、インターバルも期待できないことから、迂闊にペースを上げられない。

 

  ......僕の想像よりも侵食が早すぎる...!

  もうなりふり構ってられないか...!

「メシア君ゴメン!」

「うおっっ!!?」

後ろ跳びを止め、両並ぶ木を並走していたメシアをジャックスが押すように抱く。

「ゴメン しっかり捕まって!」

「我は大丈夫だけど、ジャックスが駄目だろ!」

「僕は余裕だよ。...スピード上げていい?」

「...最高」

『振動』の侵食は間近に迫っていたが、ジャックスのスピードが一気に上がり、一瞬にして差がつく。

と同時に、もはや視界の端まで行っていた木の崩壊現象が止まる。

「ジャックス!侵食が止まった」

「本当!? じゃあもう追ってこないのかな!!?」

「いや...あれだけ執着してたやつがこんなに簡単に諦めるわけがねぇ。むしろこっからって考えたほうがいいんじゃ...ーーーー」


「グヴァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「やっぱ来たぁ!」

木の粉の山を潜り抜け、魔物が登場する。

視界不良になるくらい大量に存在していた木の粉の中から出てきたのにも関わらず、その体は少しも汚れていない。

「あいつ普通に走ったほうが全然速いな...?」

「グググヴグ...ーーー」

「魔力が収束してる... ジャックス!!!」

「何!?」

「まだスピード出せるか!? 体力は!」

「あとどのくらいかにもよるなぁ...!」

「多分ざっと... 48km...!」

「ちょっときついかも...!...でも...」

ジャックスの脚に一層力が入る。

「ここでやれなきゃ死ぬんでしょ!? メシア君が!」

「......!ぁあ!」

「ならやるしか無い...!」


「グググググヴヴヴググ...ーーー」


 ____________________魔法 『竜巻』!!!


『ギフト “守護者(ガーゴイル)”』!!!


一時(いっとき)は静寂になった 地面が、木の破片が、木が、葉っぱが、森が一気に巻き上がり、吹き荒れる!

同時に、ギフトを解放したジャックスが一層スピードを上げる。


「グヴゥガァァァ゛ァ゛ァァァ゛ァァァア゛ァァ゛ァァア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!」


                                     

 _____________ド_________魔法『竜巻』 

              ゴ

              オ          荒れる。

 魔法『竜巻』_______オ_______________

              オ

  荒れる。        オ

 _____________オ_________魔法『竜巻』

              オ

              オ          荒れる。

 魔法『竜巻』_______オ_______________

              オ

  荒れる。        オ

 _____________オ_________魔法 『竜巻』

              オ

              オ          荒れる。

 魔法『竜巻』_______オ_______________

              オ

  荒れる。        オ

 _____________オ_________魔法 『竜巻』

              オ

              オ          荒れる。

 魔法『竜巻』_______オ_______________

              オ

  荒れる。        オ

 _____________オ_________魔法 『竜巻』

              オ

              ン          荒れる。

 魔法『竜巻』_______ン_______________

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「いや、やべぇェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」

「メシア君ちゃんと捕まって!」

「分かってるい!」

木を登れない代わりにジャックスの周辺の木を『竜巻』で破壊しながら猛スピードで走ってくる魔物。その魔法の大味さにメシアが思わず叫ぶ。


『振動』とはまた違う大胆な侵食と崩壊。

瞬間に住まう風の刃は、森を自在に斬り開き、木々が倒れ、魔物の視界が塞がり、その瞬間に斬られ、土埃を巻き込んでむしろジャックスの視界を良好にする勢いで広がる。

「これは随分とマズいぞ...!」

自身の視界が良くなるということは相手の視界も良くなるということ。

それを()()()()()メシアが絶望の表情で呟く。

ジャックスとメシアが、魔物の視界にくっきりと入る。


一方、それに気づいていながら、空中から縦横無尽に襲ってくる風の刃を掻い潜って進むのに集中してしまっているジャックスは、なかなか対策に移れない。

踏み込んでは壊れ、踏み込んでは壊れを繰り返し、迂闊に木を掴もうものなら粉と化し壊れ、体勢が崩れる。

最初の『振動』による影響は確実にジャックスを蝕んでいた。

木の枝は完全に死んだ。

「じゃあ幹だ!ジャックス! 木の枝みたいに走る要領で飛ぶんじゃなくて、木の幹を弾く!なるべく生きてる(群生してる)森の方に移動しながら!」

「うん!!」

魔物の動きを見てメシアが指示を出しそれを忠実にこなすジャックス。

連携は完璧で、このまま魔物の包囲網を掻い潜れるとさえ思っていた。


「グルッッ!!!」



 ____________________魔法 『竜巻』



だが、その動きは魔物の罠だった。

というか、どう動いても魔物(広範囲魔法使える生物)の視界に綺麗に入った時点で、詰みである。


前を見るジャックスの目の前に突然、巨大な風の刃の渦が出現する。

「ーーーッッッッ!!!??」

声にならない悲鳴と驚きと共に『竜巻』の渦に呑まれそうになるジャックスとメシア。


「.........とは、いかないのが我らなんでね... ジャックス!今度はこっちに捕まれ!」


呑まれる直前、メシアが魔物に向けて八重歯を光らせて不適に笑い、ジャックスにだけ聞こえるように呟く。


『ギフト “伸縮”』!!

メシアが少ししか残ってない魔力を振り絞ると、腕がものすごい速さで伸び、手のひらが木の枝にかかる。

だが、枝に体重をかけた瞬間、枝がほろほろと崩れる。

魔物の『振動』の後遺症がメシアにも牙を剥けてきたのだ。

「じゃあ.........!!!」

手を下へと移動し、幹をガッチリ掴む。

今度は崩れない。

「じゃあな魔物!」

ジャックスをしっかり抱きかかえ腕を縮ませてその場から脱出を図る。

「グヴヴヴゥ...」

それを魔物が許すわけがなく、

もう一度足を上げ、『振動』を起こす動きに入る。

メシアが腕を伸ばし、掴めた木との距離はせいぜい2m。

あの時の超広範囲を巻き込んだ『振動』を出されれば、なす術はない。

どれだけジャックスが早く走ろうと、どれだけメシアの腕が早く縮もうと、スタートにアドバンテージがない今度は絶対に追いつかれる。

 



 ______死。

 



メシア、及びジャックス。


移動しながらの、幼き二人の脳裏に“死”の一文字がちらつき始め、瞳には走馬灯が上映され始める。


メシアはこれまでの辛い記憶。

「まだ死ねねぇ......!」


ジャックスはエジェリー家で過ごし、笑い、楽しんだ短い数年間の思い出。

「ごめ......ん...みんな...!」


ここまで勇敢に戦えど、まだまだ幼子、最期を悟り、静かに涙を浮かべてギュッと目を閉じる。


「グヴルルゥゥゥゥィィ......!」

それは戦士への賞賛の咆哮。「あっぱれであった」 と。



                  

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

                   |

    『

                   雷

                   切

     』

                   |

                   |

                   |


雷鳴のような猛々しい轟音。

雷光が、閉じているはずのジャックスとメシアの目を貫通してくる。

「あーあ...仕留め損なったー」

「やりすぎじゃないか シルク!? 鼓膜逝くぞ!?」

「だいじょぶだ シエロ。人族様はそんなヤワな作りしてねぇって」


「.........?」

メシアは、ゆっくりと目を開け、体をペタペタと触り、なくなっていたはずの命がまだ有ることをじっくり確認する。

ジャックスは、ぼやける視界で、自分を救ってくれた英雄の姿に目を見張る。


「シルクお姉ちゃんが助けに来たぞ〜 ジャックス...なんてな」

「大事なところで照れるなよ」


それは、こっちを向いて満面の笑みを浮かべている姉 シルク。

そしてシルクの長い髪に引っ付き、魔物を監視していてこっちを向こうともしていない、可愛くない愛する弟 シエロ。

目に映るその姿が、今はただひたすらに頼もしかった。

 

              

十連『竜巻』と『雷切』の部分は、パソコンで見ると綺麗になります。


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