第二逃 イシス=シエロ
と、まぁイキってはみたものの、これからどうするかなぁ。
「おや、起きたかね。」
部屋の中に優しそうな雰囲気の老人が入って来る。
その姿は神様イシスを彷彿とさせる。
「ふむ怖がっておるな、まぁ無理も無い。生まれてすぐ、お前さんは捨てられてしまったんじゃからな。」
そう言うと老人は赤ん坊イシスを抱き上げる。
「大丈夫じゃお前さんは...シエロ君は僕が守る。」
神聖魔法『スキャン』
ERROR 認証されませんでした。
な、馬鹿な神聖魔法が拒絶された!?
こんな事、ネフティス以来だ。そういうスキル...なのか?
「わぁ、この子が園長先生の言ってた赤ちゃん!?」
「可愛い。」
他の孤児院の子供達がイシスもといシエロを囲んでいた。
なんだよ。よってたっかて。
「こらこらあまり圧をかけると怖がらせてしまうよ。」
.......状況確認をしようか。
神聖魔法『チュートリアル』
空間上に文字が浮かぶ。
あなたは現在シエロとして活動しており、生まれてすぐ、孤児院に捨てられた。
ただいま、同じ孤児の子供達に囲まれている。
なるほどね。
浮かんだ文字が閉じられる。
神聖魔法『エリアスキャン』
今度は子供達の頭上に文字が浮かぶ。
ジャックス=エジェリー
勇敢な赤毛の男の子。7歳
セラ=エジェリー
黒髪の女の子。12歳のわりに発育が良い。
ネイア=エジェリー
青い髪の女の子。言葉をあまり覚えていない2歳
スカーレット=エジェリー
可愛らしい紺色の髪の女の子。5歳
ステア=エジェリー
黄色の髪の女の子。ある人にはささる。6歳
初めて使ったけど、なんで髪色と性別出んだよ。名前だけでいいだろ。あと少なくない?
「あと、学園に居るのが、5人くらいじゃな。」
へ〜学園か!天界には学園なんて無かったからなぁ、興味はあるな。
「じゃあ、自己紹介して行こっ」
ステアが言う。
「まだ理解できる年齢ではないよ。」
「えーそんなぁ。」
「まぁいずれね。」
全員が退出したあと、シエロは一人になっていた。
神聖魔法『チュートリアル』
本当に便利だな、この魔法。
魔法と剣と神の世界『ケイル』
『千年に一度、世界を滅亡に引き摺り込む厄災が現れ、それと同時に世界を救う英雄達が現れる。』という伝承が古くから残されており、この伝承は外れることはない。そろそろくる。
現人神と呼ばれる神獣がおり、使役または契約することで、操作が可能になる。
(契約に限り、神獣のステータスを自身に上乗せする神獣合体というスキルが使える。これは主従どちらかが心得ていればできる。)
主に一つの国『ユニファイ』で成り立っており、天下泰平王国として、約二千年間もの間それを保っている。
多種多様な生物が生存しており、今まで絶滅してきた生物はない。表面上、差別はないが、実際はある。
人々は『ギフト』と呼ばれる神々からの祝福を得て就職する。
職業は、特殊なもので冒険者がある。冒険者は世界中を旅しながら魔物と呼ばれる神の反逆者を殺している。
この世界においてのスキルと魔法の違いは、
魔法が魔力を用いて状況に応じて使うもの。(簡単に言えば人体に例えると、手を動かす、走る、ジャンプする等)
スキルが基本常時発動しているもの。オンオフは出来る。(簡単に言えば人体で例えると、心臓の活動、脈等)
魔法は学び、知識を得て使用する。応用も効き、才能あるいは努力で高みへと行ける。ただし、属性を得ていない場合、魔法は使えない。
魔法の使用方法は、全身に魔力を巡らせた上で頭に魔法陣をイメージし、完成したところで魔力を手に集中させると魔法陣が発現し、魔法が出る。詠唱は、魔法陣をイメージするための手助けツール。
魔法には属性があり、火、水、地、光、闇、神聖がある。
スキルは、オリジナル型もあれば、共有型もある。応用は効かないが、スキルによって進化はする。
ギフトは、8歳になったとき教会へ行き、運命の神から賜る。例外として、転生者は生まれたてからギフトを得ている。英雄に限るが。
その時なりたい職業や、憧れ、願いなどが反映される。
ギフトは二度は得られない。
なるほどね。分かんないことはその都度見よう
そう思い、文字を閉じる。
今は、このベイビー生活をしっかり堪能しよう。
そう思って横になるが、なかなか寝付けない。
しっかし、ギフト...ね。数少ないであろう(そうあって欲しい)神との接触機会だ。しかもモイライに直接の可能 性がある。対策を練んないとな...
ふと横を見ると、窓越しにジャックスが素振りをしているのが見えた。
あの赤毛は確か...ジャックスだっけか。
神聖魔法『よく聞こえる』『よく見える』
「20...21...ふっ」
「姿勢がなってないよ。」
「師匠!」
「園長じゃよ。」
「もう一度っ指導をお願いします。」
それからジャックスと園長の鍛錬が始まったが、見ている感じは師弟のソレだった。
「なにもんだよ。あのじいさん」