第27話 闇対影
「うっ……ここは何処だ……俺は……」
ダレンは拉致監禁され椅子に縛られた状況で目を覚ました。目の前には2人の男が立っていて、ダレンに話し掛ける。
「よぅ、お前は確か聖都シルヴァニアで護衛騎士団見習に居たダレンだったよな？そんなお前が何故こんな辺境の地に居るんだよ？」
「なっ、俺の過去を知ってるお前達は何者だ？」
「おっ、連れないねぇ〜、俺達と一緒に聖都を滅ぼした仲だろう？それより質問に答えろ！」
1人の男がダレンの顔を殴る。
『ガッン！』「グガァ！」
「なっ、お前達はレオーネ王国の【闇】の者か！俺はレオーネ王国へ寝返ってねぇ！」
「あぁん、そんな事はどうでも良いんだよ。お前がこの地にいる理由を教えてくれよっ！」
もう1人の男がダレンの鼻を殴り鼻を折る。
『ゴッ』「ぐぁああ！」
「くそっ、誰が！お前らに話すもんか！話すくらいなら俺は死を選ぶんだよ！」
「今、死なれるのは困るんだよ！」
そう言ってからダレンの口に布を押し込んで、自害を出来ないようにする。
「ここからが本番だ。堪えれなくなったら首を縦に振って教えてくれよ」
そこから【闇】達の拷問が始まった。
ダレンさんは生爪を1枚ずつ剥がされ、指も関節ごと剣で切断され、両耳を削がれても決して口を割らなかった……
「ひゅ〜♪中々の忠誠心だな！まぁ、これで天子が生きてるって事は判ったぜ。一応、これこら精神魔法でお前の深層心理を覗いて、知ってる事の全てを確認させてもらうぜ(笑)」
ダレンさんは、そうさせまいと口の布を吐き出して舌を噛み切ろうとしたが、【闇】の者に阻止されて精神魔法を唱えようとした瞬間、【闇】の者1人が剣で頭を貫かれて倒れる。
『グサッ！』
『ドサッ……』
「何者だ！」
焦りながらもダレンにダガー向けて人質にする。
「同業者だよ。2人での行動とは人手不足か？」
「か、【影】かよ……そうか、ここに天子が居るのか？いや、違う場所で生存してるんだな」
「どうでもいい事だ……お前は死ぬんだからな」
「チッ……簡単に殺られると思うなよ？」
そう言った瞬間、【闇】の男はダレンの首元にダガーを突き刺した。
『ブスッ！』「……」
ダレンの首から鮮血が飛び散る。
仲間が殺られれば、その一瞬に隙が生まれると思ったのだったが、【闇】の男かダレンを突き刺すと同時に、【影】の刃によって左胸を貫かれていた。
「なっなぜだ……そいつは仲間なんだろ……」
「それは違うな。護衛騎士団の仲間が居る筈がない。仮に仲間だったとしても主の為に命を捧げるのは当然の事だろ？」
「クソが……だが……【闇】が討たれたんだ……王家は必ず天子の生存と判断する。そうなれば王家が動くんだ……お前達は地獄底まで追い詰められるんだよ。覚悟をしとけや……」
その言葉を最後に【闇】の男は絶命した。
「やはり、あの姉弟との出会いは避けた方が良かったのか……事後処理をしてからお嬢様へ報告するとして、国外へ向かう以外は選択の余地はないな」
ポロ町に居るカルメンへ連絡する為に、【影】達は事後処理を急ぐのだった。
