第66話 魔物の正体
馬車乗り場から【スピカ魔洞】へ向かうと思ったら、私達のクラン【希望の光】で馬車を持っていたの。皆んなもハンター活動を頑張ってくれてたんだね！
馬車に乗ってダンジョンまで時間があるので、セレン様に魔物の事を説明する。
「人と魔物の違いは何だと思う？」
「種族の違いよね？人族と魔族でしょ？」
「それは違うよ。魔族と魔物は別なんだよ。魔族は人やエルフやドワーフと同じで種族に分類するけど、魔物はこの世界で溢れてる魔素の集合体なの、これは倒しても魔素に戻って時間が経てば集合して魔物になるの。」
「魔物は滅ぼす事が出来ないの？」
「生命体じゃないから無理だね。集合体独特の気配を持っていて感じ易いから、ダンジョンへ行ったら魔物の気配を感じる訓練からしてもらうね！」
「判ったわ。」
話が終わる頃に【スピカ魔洞】の前に到着したの。ハンター協会ダンジョン出張所で入場手続きを済ませたのでダンジョン討伐開始だ。
「セイの気配感知を覚えて貰いたいから、限界距離まで来ない限りは何もしないでね！」
セイはセレン様の事で、私はセレと呼ぶ事になったの。これはセレン様の提案なんだけど、クランメンバーもその方が判り易いみたい。
「先頭はガイ、殿はブラッドで進めるね。」
「皆さん、よろしくお願いします。」
「ふふっ…初々しいねぇ、嬢ちゃんと初めてダンジョンをきた時を思い出すねぇ。」
「セレは何歳でダンジョンへ？」
「７歳の頃だったかねぇ、あの歳で魔物を片っ端から倒すんだから驚いたよぉ。」
「セイ、気配への集中が疎かだよ！ゴブリン５体がすぐ前に来てるよ！」
「ごめんなさい…」
話に夢中になって、魔物の接近に気付けなかったみたい。討伐に慣れてないから仕方ないけど注意が必要だね。
「セイ、魔法攻撃ね。威力は斬れ味重視でマルチは撃てる？」
「無理よ！」
「じゃあ、１体任せるね。残りは私が殺る！」
「風よ刃となれ！〚風刃！〛」
セレン様の放った〚風刃〛がゴブリン１体を真っ二つ斬り裂いたの。残ったゴブリンは私の〚複数の石槍〛で串刺しにしたの。
「嬢ちゃん…更に腕を上げたんだね…」
「想像力こそ魔法の真髄だからね♪」
そう言い返すとミスティーク先生は、凄く嬉しそうな笑顔を見せたの。
「さぁ、先へ進もう！セイは気配を感じる事に集中ね。」
「判ったわ、先程はごめんなさい。」
「強襲される事は無いから気にしないでね。」
その後もセレン様の気配感知の訓練をしながらダンジョンを進みながら討伐を繰り返したの。
２階に降りる前に昼食を取る事にしたので、結界を張って魔物を近付けなくしたの。
「セイ、気配はどんな感じ？」
「うん…何か違和感を覚える様になった？」
「おぉ、それなら今日中に掴めるかもね♪」
１時間の休憩をしてからダンジョン攻略を再開したの。なんとかセレン様に気配感知を身に着けて欲しいな！
