第57話 勝者セレン
スレイン様の治療を終えて、私は闘技場へと戻ろうとするとセレン様に呼び止められた。
「レン、コール先輩との戦い気をつけてね…」
「うん、手加減しないから問題ないよ（笑）」
「その…」
「寮に戻ったらさ、いっぱい話をようね♪」
そう言って闘技場へ戻ったの。
３位決定戦はスレイン様の不戦敗となり、残すは決勝戦のみとなったの。
私とコール先輩は闘場へと上がる。
「悪いが…俺は負ける事を許されないんだ。」
「私が先輩に負ける事は無いです。スレイン様以上の苦痛を与えるので覚悟してね！」
コール先輩は剣と盾、私は両手に扇を持って構えたところで戦闘開始。
先輩が剣に魔力を流すと剣から炎が出たの。魔法剣の類だと思うんだけど…これが秘策なの？と思ってると、先輩は剣で斬り掛かってくるが、私は左手の扇に水を纏わせて相殺する。先輩は盾を前に押し寄せてくるので、私は右手の扇に炎を纏わせさらに温度を上げる。そして超高温状態の青白い炎を纏った扇で、先輩の盾を両断したの。斬撃はそのまま先輩の胸に届いて、その傷は焼け焦げていたの。
「ぐっ…盾を斬るだと…」
私は続けて魔法で〚水槍〛を右肩に向かって放ち貫いたの。
「うわぁあああ…」
「ねぇ、降参なんてしないでよ？」
手元の扇を付与魔法で鉄扇に変えて、先輩の両膝に投げつけて砕いたの。
「ぐわぁあああ…お前は何なんだ…」
「前にも言ったよね？１年の学生だよ（笑）」
「俺の負けだ…降参だ…」
「えっ…もっと痛めつけたいんだけど？」
「降参だ…勘弁してくれ…」
「もういいや、お疲れ様。」
コール先輩が降参したので、私が学園史上初めて１年生での学園序列１位となったの。
➖➖➖コール視点➖➖➖
俺は負けたのか？同じ相手の学生に…
今回は負ける事が許されなかったのに…愛する妹をゼクス殿下の人質に取られた。勝たなければ命は無いと脅されていたのに…アイリス…済まない…弱い兄ちゃんを恨んでくれ。俺もお前の後を追って謝りに行くよ…
※コールは、スレイン第二皇子殺人未遂の罪を犯した事で公開処刑されるのであった。そして妹のアイリスは、水路で無惨な遺体となって発見された。
