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魔王にレクイエムを  作者: 流月
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62.ちょうせん

 シノに果たし状を贈った。

 少し不安はあったが、喜んでもらえたようで良かった。


「今日は天気も良いし、絶好の殺し合い日和ね」

「殺し合い日和なんて言葉初めて聞いたよ…」

 潮風に包まれる小さな島。

 草木はあまり生えておらず、だだっ広い平野である。

「ここなら思う存分暴れてええよ」

 生態系を崩壊させる、大地を操る力。まさか海底まで操作することができるなんて。

 地面も受け身が取りやすいようになってるし…本当に力の底が知れない。

「山も作ってくれないかしら?こんな端から端まで見渡せる場所じゃ戦い辛いわ」

「うむ。了解じゃ」

 シノの肩から飛び降りたグラケーノの身体に光が灯り、幾何学模様が島全体に展開された。

 するとあちこちで地面が大きく盛り上がり、山ができていった。

 やはり恐ろしい、世界の法則が破綻しかねない力である。

「便利ですね。次からはここで実験しましょうか」

「やっぱりグラケーノさんすごいっす!」

 ヒグレに褒められてちょっと複雑そうなグラケーノ。

 自信がついてくれたらいいのだが…。

 ある程度自信がないと、いざというときの判断に迷いが生じてしまう。しかし戦闘において迷いは禁物。

 自分を信じ抜く力も必要なのである。


「よし、じゃあ始めようか」

 準備運動もそこそこに、シノがマントをチョーカーに変えた。

 戦闘態勢である。

「さぁ、おいで。ボクが相手になるよ」

 金色の瞳が、いつもと違う挑発的な声音が手招く。

 胸の揺らぎ、頭の奥の興奮を抑え込んで愛刀を抜き放つ。

 握り慣れた感触に、心が凪いでいく。

 精神が統一された上で繰り出すのは、家に伝わる正統流派の技。

「【陽炎】」

 剣先が揺らぐような、予測が難しい太刀筋。目にも止まらぬ斬撃の嵐が吹き荒れた。

 しかし。

「こんな威力じゃ、ボクには通じないよ?」

 攻撃は全て鱗で阻まれ、シノは完全に無傷だった。

 【陽炎】は威力より数に重きをおく連続攻撃。シノのような防御力が高い相手には向かない。

 しかしこの攻撃の目的は、ダメージを与えることではないのだ。

 弱点箇所…鱗が弱い場所を探すためだ。

「くっそ硬いわね!」

 だが、完全に無傷で受けきられるのも想定外だった。

 シノの脇腹に蹴りを入れ、その反動で後ろに飛ぶ。

 これは次の攻撃の合図である。


「八の刻・ソウセイ」

 ベルが構えたのは二丁拳銃。

 この二つそっくりな銃に刻まれているのは特殊な魔法。

 同時に撃った弾が、任意の場所でぶつかるように弾道が調整されるのである。

 つまり、二つの弾丸が一点にダメージを与えるわけで。

「…鱗が割れたのって、久しぶりだよ」

 ぴき、と脇腹の鱗の一つにひびが入った。

 私が蹴りを入れたのは、弱点をベルに教えるため。

 しかも弾丸には私の魔力が込められており、加速させているのだ。引き金を引いてからの回避は不可能である。

 …さて、どう出る?

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