3.保護
奇数話は竜視点、偶数話は少女視点でお話しします。
読みづらいかもしれませんが、よろしくお願いします。
いきなり必殺技を撃たれてびっくりした。
防御は間に合わなかったため、おでこが少しヒリヒリする。
対して少女は力尽きたようで倒れてしまった。
ど、どうしよう。なんて声をかければいいんだろう?
散々悩んだが、無難に大丈夫かときいてみた。
しかし少女は首をかしげるばかりである。
まさか、言語が違う?
いや、そんなことはない。さっき少女が使っていた言語は同じ言語だった。
膝を折り、少女の目をのぞいた。
小さく震えていて、泣くのをこらえているようで、驚きに埋め尽くされていた。
なんだろう、すごく気まずい。
「えっと、お腹すいてる?」
肯定とも否定ともとれないような、力ない動き。
とりあえず、城まで戻って休ませた方がいいだろうか。
城なら人間サイズのベッドもあるし、作っておいたお菓子もある。
少なくともここよりはいいだろう。
さっきの少女の一撃で木々が吹っ飛び、クレーターができて、フェンリルの死体が半壊して内臓がこぼれ、おぞましい絵図になっているここよりは。
モンスターに襲われたりしたら大変だし、悪い大人がいないとも限らない。
「どう?立てそう?」
しかし案の定、少女は動かなかった。
…仕方ない。運ぼう。
えっと、どう運べばいいんだろう?
人間の女性で触っちゃいけないのは…胸とお尻、だったかな。
背中と、膝を裏から支えるような形で持ち上げる。
世にいう、お姫様抱っこである。
人間の女の子を抱くのは初めてだ。
思ったよりも弱々しいのに、あたたかいことに驚いた。
壊さないようにしないと。
慎重に慎重に、ガラス細工を扱う気持ちで歩いた。
しばらくして森が開けた場所…城まで戻ってきた。
高くそびえる楼閣。一面黒塗りで重々しい風貌。雄大でありながら禍々しさすら感じる壁。
これが我が家である。
夜になれば空と地に溶け込み、より恐怖が際立つことを知っている。
重厚な扉をギイギイと鳴らしながら出迎えてくれたのはひとりのメイド。
「お帰りなさいませ。陛下」
栗色の髪はきっちりと三つ編みにされ、切れ長の瞳が眼鏡の奥からのぞく。
シンプルな白と黒の給仕服。中肉中背ではあるが、あるパーツはとても大きい。
彼女の名はベル。姿形は人間だが、人間ではない。
「お風呂の準備をしてくれないかな?この子、血まみれだから…」
ベルはボクが抱いた少女を見て。
「…拉致してきたのですか?」
「違うよ!?これには色々あって…」
何をどこから説明すればいいのやら。
「…承りました。すぐに用意いたします」
長くなりそうだと判断したベルが、そそくさと立ち去る。
なんだかどっと疲れた。
ふと見やれば、少女は眠っていることに気がついた。
図太いというか何というか。
「本当に何なんだろうこの子…」
深まりゆく謎に溜め息をつくのだった。




