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魔王にレクイエムを  作者: 流月
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35.休息

 部屋についすぐミコトはどこかへ行ってしまった。

 そしてやっぱり、封印の祠にいた。

 ミコトを連れ戻すついでに確認はしたけど…特に細工を仕掛けられた様子はなかった。

 でもうろちょろしている気配も感じるし、あまり楽観視もしない方がいいかもしれない。

 …まぁ、仕掛けてくるなら叩き潰すだけだけど。


「あ、おかえりなさいマスター!」

 部屋に戻ってすぐに出迎えてくれたのはヒグレだった。

 何事もなかったようで何よりだ。

「今、先輩とトランプやってるんすけど…一方的にに打ちのめされてるところっす。このままじゃ今週のおやつが全部持っていかれちゃうっすよ!」

 うん、あの子はババ抜きも神経衰弱も最強だね。

 表情筋は鉄壁だし、一回出たカードの位置は全部覚えるし。

 悪魔って食事は不要だけど、食べることはできるそうだ。ベルも普段は食事をしないけど、おやつは結構食べてるし。

「トランプで妾に勝とうなど、百年早いですよ」

 ふふん、と得意げなベル。

 大人気おとなげないというか…。

「私もやるわ。覚悟なさい、全員のおやつをふんだくってやるわ!」

 まさかの乱入。というか…全員?

「それ、ボクも入ってるの?」

「ええ、もちろん。それが嫌なら私と勝負することね」

 にし、と挑発するように笑うミコト。

 仕方ないなぁ。

「じゃあ、ボクも混ぜてもらえる?」

 こうして、おやつを賭けた勝負が始まった。


 四人で神経衰弱を開始して数分。

 そこで気になったことが一つ。

「なんで二人は給仕服のままなの?」

 メイド服に執事服。旅館の雰囲気の中で異様な存在感を放っていた。

「うっかりしていました。この姿が普段着になってしまっていて…衣装替えした方がよろしいですか?」

「いや、キミがそれでリラックスしてるんならいいんだけど…」

「オレも好きで着てるだけっすから、気にしなくていいっすよ」

 それならいいんだけど。

 …この二人の好みも世間とずれていると思う。

「…あんたは一貫して裸マントなのね」

「その言い方はあんまりなんじゃないかな…竜族の中ではすごく慎ましい格好なんだよ?」

「…マントのスリットに色気を見出したのは私だけかしら」

 絶対キミだけだと思う。

 ときどきミコトの感性が分からなくなる。ボクを見ても何も面白くはないだろうに。

「ねぇベル。シノって情欲はないの?」

「ないわけではないと思いますが、とんでもなく鈍いお方ですから。一つ屋根の下の女の子にも手を出さない童貞ですよ?」

 なんか今すごくひどいことを言われたような気が。

 いや、手を出した方が問題だと思うのだが。

「それもそうね…ならもう夜にベッドに行くしか…」

「突飛過ぎじゃない?というかそのまま寝首を掻こうとか思ってない?」

「…あら、よく分かったわね」

 やっぱりミコトはそういう子であった。

「こんなに可愛い美少女が同居しているのに、あんたは何も思わないの?」

 自覚あったんだ。あとなんかすごく理不尽なことを言われている気がする。

「可愛いと思うよ?でも、人間の女の子に劣情を抱くほどみっともないやつなんかじゃないよ」

 …状況が変われば、違ってくる可能性もあるけど。

 しかし何故かミコトはとても衝撃を受けていた。

「男はみんなケダモノだって、本に書いてあったのに…やっぱりシノは女の子?」

「ちょっと待って何か色々と間違ってる気がする」

 大図書館の中に変な本が混じってるんじゃないだろうか。

「例えばね、キミも花を可愛いって思うでしょ?でも別に情欲とかそういうのは湧いてこないでしょ?」

「た、確かに…というか私ってお花扱いなのね…」

 嬉しいような悲しいような表情のミコト。

「だって、大切にしなきゃいけないものでしょ?」

 可愛らしく、美しく、気高く。

 あっという間に壊れてしまうのに、その一瞬を輝かせる存在。

 花のよう、というのは偽りのない本心である。

「あんたはそうやっていつもいつも…素直にもほどがあるわよ…」

 真っ赤になった顔をトランプで隠すミコト。


「…みなさん、おしゃべりに気を取られ過ぎです」

 ぴら、とベルが見せたのはトランプの最後の一組だった。

「獲得数、二十組。妾の勝ちですね」

 どや、と嬉しそうな笑みが印象的だった。

「あ!ずるい!私が気を取られている隙に!」

「これも勝負のうちですよ、お嬢」

 ベルの方が一枚上手だったか。

「もう一回!仕切り直しよ!」

「ふふ、いいでしょう。妾が何度でもお相手しましょう」

 …無論、男性陣はこれに巻き込まれるわけで。

「おやつ取られても、自分で作ればいいだけなんだけどね」

「それもそうっすね。お嬢は明日には忘れてるだろうし」

 でもまぁ勝負は楽しいしいっか、とみんなで日が暮れるまで勝負をするのであった。

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