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魔王にレクイエムを  作者: 流月
12/198

11.情報

 夏の虫の声。じめじめとした夜。

 星が輝く空を見上げていると、小さなノックが聞こえた。

 …ミコトではなさそうだ。


「失礼します。少し情報が入ったのでご報告に参りました」

 もう夜も遅くミコトは眠っている。そして今、ボクがいるのは寝室ではなく執務室だ。

 何でここにいるのかというと、もちろんベルの報告を聞くためである。

「例の奴隷売買の件についてです」

 ベルに調べてもらっている案件。スバルが持ってきた問題の一つである。


 アカツキとラグナロストとの友好な関係を築くため、魔族を奴隷などにすることは禁じられている。

 しかし農作業などでモンスターを使うことは多々ある。

 そこでモンスターと魔族の区別がつかない人間が魔族を家畜のように扱い、起訴されることもしばしば。

 魔王には魔族を支配する力があるが、モンスターは対象外である。

 魔族とモンスターの区別も魔族には簡単であるが人間には難しいのだ。

 今後の大きな課題である。

 だが今回の件は…はっきりと線引きができる。

「竜の密売が行われていました」

 竜は上位種族であり対話も可能な魔族の象徴。

 それを秘密裏に売買していたとなると、国家規模の問題である。

 …正直許せない。

 スバルも頑張ってくれているが、人間一人では限界があるのだ。

「カゲロウ家。貴族の中でもかなり地位が高いようで、勇者のスサガミ家ともつながりがあるようです」

 ミコトは…知らないだろうな。

 貴族層の腐敗。これはどうにもならない。

 スバルもベルもまだ決定的な証拠は掴めていないという。ならもう少し調べてみるべきだろう。

「…泳がせておけ」

 放っておけばいつか尻尾を出すはずだ。

「よろしいのですか?ひょっとしたら…側付きになれる可能性もありますが」

「キミがそう言うのは珍しいな…能力は?」

「今ある情報で分かることは…竜と吸血鬼のハーフである、とのことです」

 これはまた異様な混血だ。

 しかしもしかしたら。

「…ならこちらも動くしかないな」

 引き出しから煙管を取り出し、雁首に煙草を詰める。

 スバルにもらったもので、オーダーメイドらしい。

 マッチをすって火をつけ、ゆっくりと吸う。

 ふぅ、と息を吐けば、白い煙の匂いが部屋に広がった。

「また煙草ですか。お体に悪いですよ?」

「こんなもので寿命が縮んでくれたら万々歳なのだがな。たまにくらいいいだろう?」

 口に満たすくらいに軽く吸い、空を見上げた。


「…死ねない呪いですか」

 魔王の力と共に刻まれる呪い。

 これにより殺されるまで死ねないのだ。

 自殺も許されないのは酷なものである。

「魔王としての話し方だと、まるで別人のようですね」

「どちらも同じに決まっているだろう。裏表などない」

 そう、ボクは魔王なのだから。

 


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