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プロローグ
勇者と魔王。
かたや人を導く者。かたや魔の頂に立つ者。
その称号は代々受け継がれ、今も両者は存在する。
長らく人と魔は争っていたが、それはもう昔の話。
今では和平も結ばれ、種族の壁は少しずつとけつつある。
勇者の血を引く少女は剣の道を進んだ。
魔王となった竜は穏やかな生活を望んだ。
『君と同じ場所に 僕はいけるのかな
君と一緒にいる時間は 僕の宝物
君と僕とじゃ 命の長さが違うようだ
ならさよならじゃなくて またねって笑おうか 』
この歌は、物語の終止符である。
その音色の意味を知るのは、まだ少し先の話。