怪物
とりあえず、プライズの使い方はなんとなくわかった。だが、いきなり怪物と戦えと言われても、あまりにも情報不足過ぎる。だからといって、いつまでもこんなことを続けていると、何も情報は集まらない。と、なるとこの説明書が言う『怪物』と戦うのが一番早いな。てか、そんなに近くにワールドなんて近くにあるのだろうか? よく分からないが、今週の期末テストが終わってからの日曜日に探しに行くことにした。
~日曜日~
早速、ワールドを探すことにした私は朝ご飯を食べて、服を着替えた。
「行ってきまーす」
「はいはい。五時半には帰ってくるのよ~~」
ということで、プライズの反応を頼りに駅まで来てしまったわけだが、案外近いところで見つかったな。ワールドは駅と建物の間の狭い場所にあった。
「なんか、よく分からないけど嫌な予感はするな。」
中に入ってから変身するのはかなり危なそうなので、ここで変身をすることにした。本当に変身しようと思ったらすぐにできてしまうのだから、もう驚きしかない。ちなみに変身をした私は黒と赤の膝上まである綺麗なドレスを着ていて、靴も黒い太ももまであるブーツに変わり、目の色はなんと赤い。髪型もツインテールになっているし、私の身の丈に合わない容姿をしている。ということで、いざワールドに入ろう!!
入る前はあんなやる気があったが、入ってみると、どんどんにやる気が無くなっていった。理由としては本当にワールドの中が不気味だという事だ。何が不気味かといえば、何か玩具をつなげて貼った虫のようなモノがうじゃうじゃいて、毛虫のように動くのが本当に気持ち悪いのだ。あれは何なんだ? と思っていると、突然虫がこっちを向いて、一斉に襲い掛かってきたのだ。
「うわああああああ‼」
どうしよう! どうしよう! とりあえず、体勢を立て直さなきゃ‼ えっと……何かこの虫を倒せる方法は……そうだ! ステータスに書いてあった鎖の顕現の技!
私は虫のほうに体を向け、鎖を顕現した。やっぱり、変身が意思でできるんだから、鎖も自分の意志で顕現できるんだ! 私は鎖を弧を描くように左右に振り回した。虫の姿はどんどん消えていった。
「今の虫がデストル? あんなに弱いなら、すぐにみんな倒せそうだけどな・・・・・・」
そう話した途端、地震が起きた。それはまるでRPGのボスキャラが出てくるような・・・・・・。そこから、出てきたのは先ほどの虫たちのボスのような大きさの怪物が出てきた。不気味さはさっきの虫以上で、とても大きくて、触手のように延びたいくつもの手に五つほどの目。気色悪いという次元だった。
コイツは雄叫びのような大声を上げ、触手をこちらに伸ばしてきた。私はそれをすぐに躱し、鎖を使って、攻撃をしようとした。だが、すぐにそれは暴風が起きたことによって、跳ね返された。そうか! コイツは触手で攻撃して、暴風で防ぐ。なら、上からの奇襲なら!! 私は後ろに回って、跳躍し、頭上から攻撃を仕掛けようとした。その時、コイツは暴風を起こし、触手を一気に伸ばしてきた。
マズい!! このままだと、触手に捕まるか、殴られる!! そう思って、すぐに逃げようとしたら、相手の触手の動きが速く、すぐに殴られた。正確にいうと、投げ飛ばしたの方が正しいのだろうかとそんなことを思ったが、そんなことは今はどうでもいい。とにかく、アイツを倒さなきゃ。どうしよう! どうしよう! 打開法が思いつかない!! この鎖をどう利用したら、アイツに勝てる? どうすれば・・・・・・ッ!!
「困ったときはお互い様~。この天香 藍夢ちゃんが助けてあげるよ~」
突如現れた魔法少女と思われる少女が目の前で跳躍をして怪物を剣で真っ二つに切った。私は何が起きたのかと思った。情報が処理できていなかったのだ。
「デストルに殺されそうになってたけど大丈夫?」
目の前の少女はそう言って、私に手を差し出した。