それはこんな始まり
最初に誓っておきます。ここに嘘や偽りを一切書かない。ここには俺が手に入れた本物の青春とその手に入れ方を示します。
学校には集団生活になじめない人というのが必ずいるものです。体育で二人組を作れと言われれば必ずあぶれ、友達と帰路を共にすることもない。ああそれから、中でも最もつらかったのが、お昼休みの時間です。みんなが机をくっつけて楽しそうに食べているときに、自分は一人でご飯を食べていました。
所謂ヲタクだったのです。ヲタクといっても今いるようなスタイリッシュな声優ヲタクじゃありませんでした。エヴァ〇ゲリオンが大好きだったし(今も変わらず好きですが)ボーカロイドが大好き。加えて、ミリタリーヲタクも掛け持ちしていました。そもそも人づきあいが苦手で、人が怖いのです。
でも不思議なもので、煌々と胸の中では”人気者になりたい”とか、このくそくだらない学生生活をぶっ壊してやりたいとかを考えていたわけです。
学校や先生からすればテロリストですね。ええ。実際恐れられていました。
私がその状況からどうやって生徒会長になったのかを皆さんにお伝えできたらと思います。
Tw〇tterとY〇uTubeで休み時間が終わる。どこにでもいる。
当時の俺は、高校デビューを目指して中学時代から食事に気を付け、ダイエットに成功し、お風呂にも入っていたが、自己紹介をしくじった。その日の授業は社会の授業で戦争を取り上げ、教科書にはある特徴的な図示がされていたのだった。
日本空襲である。
そこに書かれていた焼夷弾が、実際のものと違う。それをあたかも本当であるかのように授業で取り扱うのはどうかと先生に指摘したのである。
そう、俺はミリヲタであった。
もう、孤立です。クラスに居所がなくなる。幸いにもいじめの対象にならなかったが、その理由は背が高かったからだろう。当時のヲタクといえば、背が低くて眼鏡をかけたイメージでどこか気持ち悪い、そんな感じである。
そしてそんな学生は、どの学年にも、どのクラスにもいた。
俺たちは日陰者だった。
ずっとそんな生活が続くと、だんだんとストレスが溜まってくる。
冷たい体育館に呼び出される全校集会など糞の掃きだめであり、今テロリストがあの鉄の引き戸を開けて突入してくれれば、このくだらない時間が早く過ぎるのにと思った。
しかしその日は、いつもと少し違った。
いつも怖そうな生活指導の先生が上がる壇上に、一人の生徒が上がっていったのである。
制服のボタンからして上級生。
整髪料で固めたおかしな髪形をし、彼はゆっくりと両手を壇上のへりにかけると、じつに雄弁に話し始めた。
体育すわりをし、きれいに並べられた俺たちの列の中、女生徒がキラキラとしたまなざしを男に向けている。先生達はその男の一言一句に頷き、実に嬉しそうだった。
その男がお辞儀をし、マイクに頭をぶつけて大きな音を出しただけで大きな笑いの渦ができた。
これだと思った。
俺が人気者になるには、これしかないと思った。
俺は生徒会長になる。そう決めた。