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43.
カナミが麻弓の召還に使われた魔法が書いてあるページをもう一度読んだところ、そこに書かれている呪文を唱えるだけで召還も返還もできることがわかった。床に魔方陣を書いたり、ロウソクなどの儀式の道具を用意したり血を捧げることは一切不要らしい。
「麻弓さん、やってみる?」
本に目を落としたままのカナミの言葉に、召還された方の麻弓が手を横に振った。
「いえ、その文字は読めませんし、こちらで私の魔法がなぜか使えないのです」
そう言って、空中からロッドを出現させようとして出来ないところを見せた。
ところが、後ろにいる麻弓の方を振り向いたカナミは眉尻を下げて吹きだした。
「あなたじゃないわよ。うちの麻弓よ」
麻弓は赤面し、「ごめんなさい、ごめんなさい」と頭を下げた。
微笑む雪肌の麻弓は、カナミから開いたままの本を受け取り、小麦色の麻弓の方へ目を向ける。
「準備はいい? さっそく向こうの世界に戻してあげるから」
「はい」
帰還出来ることに喜ぶ麻弓は微笑んだ。