表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/50

28.

 震える麻弓は、足下の風に気づき、さらに震え上がった。


(もしかして、私の靴が見えていないかしら!?)


 もし見えていたとしたら、向かい合わせなので靴の向きが逆だ。これは観念するしかないのか、と麻弓は目をつぶった。


 しかし、空からやって来た二人はそれに気づかないのか、会話を続けていく。


「それはそうと、麻弓、めっちゃ早いな」「時間割間違えたとか?」


「そう、それそれ。今日、1限目も2限目も休みってこと、忘れてたから。そう言う今日子も夏子も早いじゃない? まさかと思うけど――」


「そのまさかだよ」「うちらも忘れてた」


 三人がドッと笑う。


 羽の中の麻弓は、自分を抱いているマユミの声を音として耳で捉え、マユミの胸からの振動として顔で捉え、妙な気分になっていた。しかも、体が揺れるので、少々気持ち悪い。


「じゃ、先に購買行ってる」「来る?」


「ううん、後で行く」


「んじゃ」「購買で落ち合おう」


 二人は軽く羽を広げ、一人ずつ窓枠にヒョイッと手足をかけて教室の外へ飛び出し、羽を大きく羽ばたかせて去って行った。廊下を歩くよりは、空を飛ぶ方が遥かに早いのだろう。


 羽の中の麻弓は、二人の羽音が遠ざかるのを耳を澄ませて聞きながら、彼女たちの飛び去る姿を想像した。


(この人たちって、もしかして亜人!? 鳥族の人!? それとも……羽の色からして……吸血鬼!?)


 麻弓は、「吸血鬼」の言葉が頭に浮かんだ途端、今度こそ失神した。



  ◇◇◆◆◇◇


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ