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20.

 麻弓は、無人の図書室の中をグルッと回って状況を把握した。


 まず、室内の広さも書架の配置も図書委員が座っている受付窓口も扉も同じ。


 違うのは、まず蔵書。多くが背表紙の色がなめし革の色で、こんな古めかしい本は自分の学校で見たことがない。しかも、背表紙に書かれている文字は、特徴的な曲線が多い何語かわからないものだ。


(うわっ、これ、アニメとかに出てくる異世界のやつかも)


 魔道書とかその類いなのだろうか。


 試しに近くの一冊を手に取って開いてみると、背表紙に書かれているような文字がびっしりと横書きに書かれていて、見ているだけでクラクラする。


 他に違うのは、監視カメラがない、時計がない、本を読むための机と椅子が足りない。それと、窓から見える景色が少し異なる。


 彼女の見慣れた景色は、太い桜の木と、手入れの行き届いた花壇、その後ろには校舎がある。ところが、ここは、見た目が同じ校舎はあるものの、桜の木は名前がわからない他の枝葉の木に植え替えられ、両側に低木が壁のように並んでいる。


(同じ学校だけど、違う世界? ……まさか、パラレルワールド!?)


 監視カメラがないことから、過去に戻った説、あるいは未来に飛んじゃった説も頭に浮かんだが、彼女の腕時計は今日の20時40分を指している。図書室へ転移する前に、チラッと確認した時刻から10分経過しているから、両方の説は吹き飛んだ。


 となると、並行世界の説が現実味を帯びてくる。


 その時、遠くから複数の女性の話し声が聞こえてきた。おそらく、この学校の女生徒かも知れない


(人に会うのは怖いけど……ここにいてもしょうがない)


 麻弓はソッと扉を開け、顔を出して左右を確認する。見慣れた廊下には誰もいない。彼女は、足音を立てないように図書室を抜け出した。

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