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2.

 輪になって歩く六人の生徒は、喧噪に負けじと声高に話したり小躍りするから実に騒々しい。今に通行人が腹に据えかねて眉を吊り上げて注意するのではないかと、見ているこちらがヒヤヒヤする。


 時折、彼女らは自分たちが作る輪の中心を見下ろすように話しかけている。すると、少々甲高くて可愛い女の子の、()()()()が輪の中から漏れ聞こえてくる。


 おやおや、六人だけかと思いきや、実はどうやらもう一人、かなり背の低い生徒が輪の真ん中にいる七人組らしい。


 ちょうど今、集団の隙間が大きく開いて、囲まれている生徒の姿が見えてきた。


 彼女は140センチに満たない身長で、小麦色の肌の(おさな)(がお)


 夏用の制服はダボダボだが、スカートは腰の辺りを幾重にも折り返して、周囲の仲間に負けない短さのミニスカートになっている。もし紺のショルダーバッグを肩にかけず、紐の代わりにベルトが付いた濃茶色の革靴を履いていなければ、お姉ちゃんの制服を着てみました的な小学生だ。


 彼女の名前は(とうげ) ()(ゆみ)


 これでも――と言っては彼女に大変失礼だが――高校二年生なのだ。


 レベル10以上の明るめの茶髪で、腰まで届くポニーテールは先が跳ねている。それを固定する大きめの赤い蝶のバレッタは、縁取りの金属が太陽光を受けてキラキラと輝いている。


 ちょうど今、主人に(なつ)いた犬が振る尻尾のようにポニーテールが揺れた。バレッタは、揺れる頭に止まったチョウチョが振り落とされまいと、しっかり(つか)まっているようにも見える。


 よほど腹を抱えるほど面白い話をしているのだろう。彼女は、前に進まない駆け足のように足をバタバタ動かして大笑いしている。

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