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13.

「詳しく教えて」


 スズの背中に向かって小声で依頼する麻弓に対して、二人の服が擦れる音と足音しか聞こえてこない。


 なんて答えようと迷っているのだろうかと思っていると、スズが振り向かずにポツリと口にした。


「詳しくって言われても……一瞬だからねぇ。しかも、遠かったし」


 スズと知り合ったのは今年に入ってからで、その時「どこかで見たことがある」と言われなかった。今も覚えていなさそうなので、正体がばれていない麻弓はホッと胸をなで下ろした。


 その安心感から、教室に入ったスズに向かって麻弓は余計な質問をした。


「なぜ図書室にいるのが魔法使いかもって?」


 一瞬だが、スズが歩みを止めて体が前のめりになった。でも、歩みを再開した彼女は、自席にたどり着くとショルダーバッグを手にした。


 先ほどの動きと無言が気になる麻弓は、スズを横目にショルダーバッグを手にして、両腕に持ち手を通してリュックのように背負った。そうして、立ち止まったまま床に目を落とすスズを見ていると、彼女がふと顔を上げた。


「私、魔力――感じるんだ」


「えっ!? 嘘!?」


 驚いて体が固まる友達を観察するかのように、スズはじっと麻弓を見つめていたが、数秒後にニコッと笑った。


「嘘嘘」


 緊張が解けて体が動いた麻弓は、破顔する。


「なーんだ。信じちゃった……」


「でもね」


 まだ続きがあるようで、麻弓は再度緊張する。


「オカルトに()まっているからか、ビビビッって感じるときがあるんだ。それが魔力かなって」


「どこで?」


「この教室でなぜか感じるんだよね。魔女でもいるのかしらねぇ」


「今も?」


 そう言った後で、麻弓は『しまった』と後悔した。


「うん。……なんでだろうねぇ」


 麻弓は悪寒が走った。


(きっと、何か隠している……)


 スズを見ている自分の表情が読まれていないか気になったところで、スズがニコッと笑った。


「ま、気のせいかも。帰ろっか」


「う、うん」


「怖がらせた?」


「……ちょっとね」


 麻弓は、別の意味でそう答えた。

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