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孤高にして影の王  作者: mikaina
1章
15/72

熟練ぼっちは揺るがない2

 

 次! 次!


  じゃあ、大人しめな文化系部活グループにしようか。


「私今日部活休みだから帰りにどっかよってかない?」


「あー、合唱部今日休みなの? じゃあじゃあ、とりあえず駅前寄ってこっ。最近、なんか甘いもの食べてなくてさー、小鳥も来るでしょ?」


「あ、行く行く」


「オッケー。他誰か誘う? ゆんちゃんとか」


「うんうん誘お誘お」


  あーいい。こういうのよ。俺が求めてんのは。圧があまりない感じよね。堕天使山下とかはいらないんだよ。名前から圧がつえーし。


  帰りにどこか寄っていくのって俺あんまりしないんだよな。行くとしてもコンビニぐらい。


 行かないのにもちゃんと理由がある。


 俺レベルのぼっちになるとコンビニ店員と喋るだけで死ぬほど緊張するのだ。会計の時、手がプルプル震えてるのが自分でもわかる程に。レシート受け取る時とかガクブルやぞ。アル中なの? って自問しちゃうぐらい。


 なので俺は不用意に人と接しないように最近は通販を使う事にしている。自分でも受け取るが家族が受け取ってくれるのがいい。通販はいいよなー。ちょっとエッチなもん買ってもバレないし。梱包最強説。


「でもさー、食べ過ぎないようにしないとっ。なんかお母さんに太ったって昨日言われてさー。太ってないっての!」


「…………」


「…………」


「えっ。待って! 太ってないよね? 太って……太ってるのかな?」


「嘘だよ、嘘!」


「そうそう! 冗談だからそんな気にしないでよ!」


「そう? でもなんか心配だから今日は軽くにしとこっ」


  これはアレですね。反応に困りますね。こう言う会話は気楽にツッコメ無いからやめてほしい。


  アレじゃん? ぼっちがいきなりテンション上げてきても困るみたいな。やっぱ人が困ることは人間やらない方がいいと思うの。例えばペア組みワークとか二人組作れーとか。


 こういう会話って聞かされるほうが困るんだよね。まぁ俺の場合、盗み聞いてるんで何勝手に聞いてんだよ、って感じだけど。


「太ってる」に対して「太ってる」っていうと怒られるし、「太ってない」っていうと嘘はいらないって怒られるし。何を答えても正解がなくて行き詰まりのどん詰まり。沈黙! こういう時の正解は沈黙なんだ!


  はい次!


  よくわからんグループか……本当に関連性が見当たらない謎のグループ。


 むしろグループって言って良いのかわからないレベル。二人で行動している時もあれば四人で行動している時もある。かと思えば三人で集まっている時もある謎多きグループだ。


  今は三人だな。計五人のグループだから、あと二人居るはずなんだが。それはいいか。


「今日の放課後ってなんか用事ある? なければサッとサササッと帰ろうぜ」


「おっけ……いやまて、やんべ。知り合いから貰った金返してねっわ」


「おまえなー、そう言うところだぞ、そう言うとこ」


「それなー」


「何がそれなのかさっぱりわかんねーわ」


  普通? 普通なのかなぁ?


  俺、友達がいないからどういう会話すんのかわかんねーわ。ゲームとか女子の会話とかはなんとなくわかるんだけど、こういうなんつーの。世間話的なのがよくわかんねーんだよな。家族でする会話とおんなじ様なもんか……?


  正直、もう少し意味のある会話した方がいい気がしなくもない。


  例を挙げるとするのなら、女の子の好きな部位とかさ。俺は脚が意外と好き。こうわかるかな。陸上部の女の子の脚みたいな感じ。程よく筋肉のついた少し太めのふくらはぎと太もも。ほんと好き。


「つーか、金の貸し借りってアレかよ、えっとなんだっけ、金渡して融通聞かせて貰う……密林?」


「それを言うなら密輸やろ、密輸」


「あはは、それなー。密林ってなんだよ。バカだなー、鳥くんは」


「うっせ! 誰が鳥頭じゃ!」


「あはは、クソつまんなーい」


「うっせ!」


  あーダメだ。


 ノリが結構キツイわ。俺にとって関東人と関西人ぐらいのノリの差だわ。


 それにみんなバカっぽいわ。密林もだけど密輸ってそれも間違えてんじゃねーか。密林だと俺がちょっぴりエッチなものを頼んだりする通販サイトだし、密輸だと犯罪だ。賄賂の事か? 賄賂と密林。どうして間違えたんだろうか……。


  ガラガラ、と教室の扉が開く音がして、そちらに目を向けた。


  あ、今までいなかった謎グループの二人じゃん。彼らはニヤニヤと笑みを浮かべてグループの元へと向かっていく。


  そんな不気味な二人の会話が気になってなんとなく耳を澄ませた。


「プランコサイエルの流失を阻止。グランド連鎖はこれにて終了だ。……案外呆気ないもんだな。星ってやつも」


「デュランダル、デュランダル、デュランダル」


「そう思わないか? 相棒」


「デュランダル」


  ……。

  よーし! 次行こう。次。



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