明日。
「ところでさ。私のことどう呼ぶように決めたのかい?」凛花は嬉しそうに聞いてきた。
「凛花」
「うんうん。下の名前がいいなって思ってたよかったよかった」
「ならよかったよ」
授業は言語の概要についてだった。興味深い話だった。ノートもしっかりととった。
「真面目だなぁ」と授業後、凛花は言った。
「普通だよ」
実際、普通だ。しかし、今授業を受けていた多くの学生はまだ授業が始まったばかりなのにどう楽に単位を取ろうかというのを考えているということが心を聞いてわかった。[帰りたい][遊びたい]などが飛び交うように聞こえてきて嫌になるくらいだった。
僕は違う。そんな怠けた奴らとは違うのだ。
「明日さ。写真、取り行かない?」凛花が言った。
明日は土曜だし、用事もない。断る理由がないしなにより凛花の撮る写真を見たかったところだ。
「うん。いこう」
「やった。じゃあ明日10時に正門ね」
「了解。今日みたいに遅れるなよ」
「だーかーらー。セーフだって」
「審判がアウトだって言ってるからアウトなんだよ」
「君が審判とか聞いてない」
「言ってない」
間が空く。
「つくづく興味深いなとっしーは」笑いながら彼女はそう言う。
「君こそね」
「じゃあ明日」
「明日」
明日、僕は君の見てる世界が見える。