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延々と続く蒼穹。
肌が痛くなる程の日差しと、カラカラに乾き切った風。
頭上には音を立てて風車が回り、その動力を基に足の生えた巨大な戦列艦がどこまでも続く黄色い大地を歩いている。
”私”はその巨大な戦列艦の甲板に立っていた。
「お! 見えた!」
つば広の帽子をかぶった美少女然とした女の子が”私”の隣で、嬉しそうに地平線の先を指さして声を上げる。
ここはどこだ?
「艦隊展開! 囲い込め!」
頭上からの声に驚いて振り返り見上げると、船の艦橋によく日に焼けた細マッチョ系のイケメンが艦隊に指示を出していた。
何がどうなっているんだと考える間もなく、”私たち”の乗る船を中心にして艦隊は鶴翼に展開し、イケメンの号令と共に砲撃が始まった。
今までの人生で聞いたこともない轟音に押しつぶされそうだったが、”私”は構わず声を発した。
「初手であらかた潰してください! あとは私が何とかします」
「ねーさんカッコイー」
隣の美少女がヒューヒューとバカっぽいセリフを言うが、それに嘆息した。
「お前も! 来るんだよ!」
まったく言う事を聞かない”私”の身体は、え? と驚く彼女の腰に手を回して巨大な戦列艦の甲板から飛び出した。