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認識阻害の外套

「こっ………こんなに美味い飯を食ったのは久しぶりだ!」


マイトは感動の余り、猛烈な勢いで朝食をかっこんでいつた。


今日の朝食を用意したのはシロ。

メニューは、

焼いたパン、

キャベツ、キュウリ、トマトのサラダ。

ドレッシングはシロの自作。

焼いたベーコンと目玉焼き。


「焦げてない卵なんて何年振りかわからん!

………あ、コレおかわりできる?」


「なくても焼くわよ、目玉焼きくらい」


シロは照れながら、ぶっきらぼうに答える。


シロとしては、今日の朝食メニューは、さほど頑張った方ではない。


よくある日常の朝食だ。

調理開始から提供までの時間をできる限り早くしようとして、手間暇は二の次にしていた。


だけど、ここまで大袈裟に喜んで貰えると、素直に嬉しい。

「人遣いの荒いご主人様だわ」なんて悪態をつくも、内心はちょっと嬉しくて仕方なかった。

上機嫌で調理場に消えて行った。


一方、対称的にクロは不機嫌だった。

シロが褒められれば褒められる程、「私だってこれくらい出来るのに………」という想いが募っていった。

ただ、シロが褒められれば褒められる程、自分はこんなにイライラするのかわからなかった。


「クロ?どうした?不機嫌な顔して?」


「………マスター、昼食ハワタシ」


「ん?ああ頼んだよ」


朝食の最中に昼食の話なんて、食事の量足りてないのかな?と、マイトは検討違いのことを想像していた。


■■■


「今日はこれから、君達の衣服を買いに行こうと思う」


朝食の終わりに、マイトが宣言した。


今現在彼女達が来ているのはマイトの服であり、サイズがあっていない。


1日2日くらいなら無理して着られても、この先ずっとこのままというのは不便だ。


「ただ、町にはまだ王国の兵士が駐留している。

だからまぁ、買いに行くのは俺が行こうと思う。」


服に限らず、食料や日用品の買い出しも自分がやるけど、と補足する。


「そこで」


マイトは紙とペン、そして巻尺(メジャー)をテーブルの上に置いた。


「サイズを書いて、俺にくれ」


「絶対イヤ。」


シロが即拒否をした。


「いや、気持ちはわかるが、サイズがわからないことには、俺だってどれを買えばいいかわからない………」


「絶対イヤ。絶対にイヤ。」


今度はセリフ被せ気味に拒否した。


けれど、クロはその隣でいそいそと自分の採寸を始めていた。


「ちょ、ちょっと!?なにしてんのよ!!」


「?カラダ、ハカル?」


「あのねぇ、そんなことしたら、この男に色々知られちゃうのよ!?」


「シラナイトカエナイ?」


クロは全く気にしてないようだった。

もしくは、意味がわかってないようだった。


「どうしてもイヤだというなら、まぁ自分で行って買えないこともない。」


「そういえば、認識阻害の外套がどうとか言ってたわね?」


「ああ。自作だが、性能はかなりいい。良すぎて困るくらいだ。

それを着ていれば、正体がバレることは、まずあり得ない。」


「そんな便利な物があるなら、先に言いなさいよ!

好きに買い物できるじゃない!」


「だから、そんなに便利じゃない。高性能だけどな。それを着て行くのであれば、俺が同行することが条件だ」


「何よ、持ち逃げすると思ってんの?」


マイトは首を横に振った。


「まず、この家には『不可視の結界』と『人払いの結界』を同時に掛けている。

一人でこの家を出れば、二度とこの家には戻って来られない。

迷わずこの家に帰れるのは、鍵を持っている俺だけだ。」


実際は、さらに3つ目『侵入者感知の結界』も掛けているが。


「次に『認識阻害の外套』だけど、まぁコイツは見てもらった方が早いだろう」


マイトはダイニングを出ると、2枚のフード付の茶色い外套を持ってきた。


「2つ目の条件は、町に行けるのは2人の内どちらか1人だけだ。

外套は2つしかない」


言いながら、シロとクロの前で外套を1枚羽織ってみる。

見たところ、ただの外套だ。


だが、フードを被った瞬間、状況は一変する。


「え!?誰?」

「ホントニマスター?」


2人の目の前には、年老いた男が立っている。

皺だらけの顔に薄い白髪をオールバックにしている。

そして、目の前で変身したにも関わらず、目の前の老人がマイトだということが、なぜだか信じられなかった。


「わかってくれたかな?」


フードを脱いで頭を晒すと、老人からマイトに戻った。


「これは変身魔法を付与しただけの外套じゃない。

姿を見た相手の違和感を刺激して、知っている人間だと思えないように感じるオプションをつけている。」


マイトはもう一度フードを被り、クロに近づく。

素早くもう一枚の外套をクロに羽織らせると同時に、両手でクロの両手を掴んだ。


「マスター!」


手を掴まれた瞬間、今度はフードを被っているにも関わらず、クロはフードの中の人物がマイトだと認識できた。


続いて、クロから外套を脱がせ、今度はシロに羽織らせ、同じように手を握った。


「!?あれ?ご主人?」


シロが驚いたところで、シロから外套を脱がせ、マイトも外套を脱いだ。


「外套を着た者同士だと、肌同士の接触、早い話が手を繋ぐことによって魔法の影響を受けなくなる。

だから最後3つ目の条件は、家から出て戻ってくるまで、俺とずっと手を繋いでいることが条件だ」


「………確かにずっと手を繋いでいるのは煩わしいけど、それ位気にしないわ」


「いやそういうことじゃなくてだな。ずっと手を繋ぐってことは………」


「わかってるわかってる!別に手ぐらいいいわよ!あ、もしかしてクロも行きたい?」


クロは少し逡巡した後、首を横に振った。


「昼食、ツクル」


「わかった!じゃあわたしが行ってくるね!

あと、アナタの分も買ってくるから、サイズはわたしに、教えてね!」


クロは無言で頷いた。


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