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被験体ゼロツーと私  作者: 月夜薊
4/5

その正体

 曰く、彼女は人に近い生き物がその体のみで飛ぶことを目指し遺伝子操作と改造を繰り返されているのだという。そのコンセプト通り、彼女の先代、ゼロワンは滑空という形ではあるが十五メートルを見事飛んでみせたらしい。

 しかし、先代はあまりに脆かった。筋肉組織は飛行に耐えかね飛行中に千切れ、その命は海に散った。

 その脆さを克服しようと丈夫さを考慮したのが今回のゼロツーだというわけだ。確かに丈夫になった。そして、その丈夫さゆえにその翼では飛べない重さになってしまったらしい。

 だというのに、彼女の「飛びたい」という願望は本能のレベルまで強く、放っておくと投身自殺紛いの行動を繰り返す。丈夫な体は死ぬことを知らない。血まみれになり、ぐちゃぐちゃになった体も少し安静にしていればとたんに治ってしまう。

 目的から外れてしまった、完全な失敗作。

簡単に死なない彼女の処分に困った上層部は、ゼロツーを私に任せた。

 私はため息をついた。とんだバケモノを押し付けられてしまったものだ。

 私の心労を彼女は知らない。知る由もないだろう。飛びたいと夢を見ながら、今は水槽の中で静かに眠っている。


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