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被験体ゼロツーと私  作者: 月夜薊
3/5

生きてるよ?

 何事もなかったかのように自らの足で立つゼロツーを私は茫然と見上げていた。

 あれで生き残れるだなんて、それこそバケモノじゃないか。いったいなんてもの生み出したんだ。

 内臓をぐちゃぐちゃに潰されても死なない体。強化ガラスを破るだけの力を持った翼。兵器にしたら、人間なんて……。

 そこまで考えたところでハッと気づいた。ゼロツーはまだ動ける。殺そうと思えば自分だって危ない。

 しかし、ゼロツーはそのような素振りを欠片も見せなかった。ただただ、悲しそうな顔でこちらを見つめている。

「ゼロツー、帰ろう」

 何を思っただろう。困惑しすぎていかれたのかもしれない。私はそう言うと手を伸ばした。

 ゼロツーは大人しくそれに従った。手をおぼつかなくはあるがしっかりと握ると、私についてきた。

 本部に連絡し、水槽、窓、血だまりの処理をしてもらった。被験体を逃がさないためだろう、連絡したらすぐに人をよこしてくれた。

 ゼロツーは部屋に戻るとすぐにまた窓に駆け出そうとした。それの性質を知っていたようで、手配されてきた人達は慌てることなくゼロツーを抑え込み、麻酔のようなものを打ち込んだ。ゼロツーはがくり、と力なく倒れ動かなくなった。

「次からは気を付けてくださいね。くれぐれもゼロツーを逃がさないでください。失敗作とはいえ、彼女は大切な技術の塊です」

 そう私に言い聞かせると、彼らは帰って行った。


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